スミイカ (コウイカ) ・ アオリイカ ・ シロイカ (ケンサキイカ) ・ ヤリイカ ikaedomae
Apr 29, 2015 18:43:58 GMT 9
Post by 管理人 on Apr 29, 2015 18:43:58 GMT 9
江戸前の伝統的なイカのすしに、煮イカがあります。
シャリとの相性が良いすしだと思います。
でも、煮イカの一種、イカの印籠詰め (印籠づけ)を出す店はたまにあっても、
普通の煮イカを出す店は、極端に少ないです。
私も、イカの印籠詰め (印籠づけ)はたまに作りましたが、
普通の煮イカは、若い頃に江戸前の仕事を試していた時以外は作りませんでした。
我が家では、子供の頃から同じ味付けの煮イカが夕飯のおかずの定番だったので、
あまりにも日常性を感じてしまうからです。
すし店も、そう考えているところが多いのかもしれません。
煮イカにチャレンジしたいという方は、イカの印籠詰め (印籠づけ)のページを参考になさってください。
重要なポイントは、火を通しすぎて硬くしないことと、煮汁で煮ツメを作ることです。
煮イカに使われる代表的なイカは、スルメイカとヤリイカです。
現代の江戸前のすしでは、イカは生かそれに近い状態で握るのが普通です。
私はその場合、基本的には握らず、刺身で供します。
もっとシャリと相性の良いネタ(タネ)のすしを食べてもらいたいからです。
以下、東京の一定レベル以上のすし店で、生かそれに近い状態ですしにされる、主なイカについて書きます。
イカは場所によって呼称が色々で紛らわしいのですが、標準和名と築地や東京の江戸前のすし店での呼称で記します。
◆スミイカ(標準和名: コウイカ) ←定番
東京の一定レベル以上のすし店でスミイカといえば、コウイカ(標準和名)を指します。
旬は産卵期前の冬ですが、江戸前のすしの主軸ともいうべきイカで、産卵期以外の期間ずっと使われます。
歯切れの良いコリっとした食感で、粘りが少なく、甘味は少なめながら旨味があるので、
生イカでは最もシャリとの相性が良いとされ、江戸前のすしの定番中の定番となっています。
夏には子供の新イカ(シイイカ)が出てきます。
小さく、柔らかく、さっぱりしていながら旨味もあり、暑い夏にピッタリで、珍重されます。
◆アオリイカ(標準和名) ←定番
スミイカが産卵期に近づき質が落ちてくる早春あたりから、夏にかけて使われます。
旬は夏です。
アオリイカは、高級イカの代名詞的イカです。
このイカが一番好きという人が、圧倒的に多いのではないでしょうか。
料理人時代、お客さん達の反応を見て、いつもそう感じていました。
◆シロイカ(標準和名: ケンサキイカ)
スミイカの質が落ち、アオリイカがまだ今一つの春を中心に、ケンサキイカを使う店もあります。
特に、築地や東京のすし店で、シロイカと呼ばれる、山陰や九州北部の日本海側で獲れるものに人気があります。
シロイカは、他の産地のケンサキイカ(築地や東京のすし店での呼称はアカイカ)よりもズングリとしていて、
違う種類のイカのように見えます。
ブドウ色に染まって、築地場内にずらっと並ぶ光景は、とても美しかったです。
産卵期が春から秋までと長く、生まれた時期にバラツキがあるため、長い期間使えますが、
時期により大きさや味わいも若干異なり、築地では春から初夏に出回るものが特に高く評価されていました。
◆ヤリイカ(標準和名)
スミイカと並行して、旬の冬を中心にヤリイカを使う店もあります。
【参考】
ごく普通の東京のすし店で主軸になっているイカは、
モンゴウイカと称される、主にアフリカで漁獲される冷凍のイカで、1年中使われます。
柔らかく、中華料理などでもよく使われています。
ちなみに、国産のモンゴウイカとして流通するものの多くは、カミナリイカ(標準和名。築地での呼称はモンゴウイカ)で、
カミナリイカを好んで使うすし店もあります。
1.仕入れ(築地場内)
◆スミイカ(標準和名: コウイカ)
スミイカ(標準和名: コウイカ)の仕入れでやっかいなのが、
他の種類のカミナリイカ(標準和名)やシリヤケイカ(標準和名)が、
墨まみれで、ごっちゃになって販売されることが多い点です。
元々は、東京ではこれらのイカをひっくるめてスミイカとしていたので、間違いではないのでしょうが。
近年は、スミイカ=コウイカという認識が、東京では定着してきていると思います。
ちなみに、シリヤケイカは、東京の一定レベル以上のすし店では、まず使われることはありません。
築地場内の行きつけの仲卸しは、コウイカだけをスミイカとして扱っていましたが、
カミナリイカが混ざっている仲卸しもありました。
また、若い頃に仕入先にしていた、産地直送中心の比較的大型の鮮魚店では、
コウイカ ・ カミナリイカ ・ シリヤケイカがごっちゃになって、コウイカ又はモンゴウイカの名で販売されていました。
同じ時期に同じ漁場で獲れることも多いので、種類ごとに分別されないまま扱われることがよくあるようです。
見慣れていればコウイカの判別は難しくありませんが、一番確実なのは、甲羅の先端付近を触ってみることです。
コウイカのみ、甲羅の先端が尖っています。(表皮から少し出ていることが多い)
子供の新イカ(シイイカ)は、我が家では一番人気のあるイカで、
出始めから、夏を過ぎ入荷が少なくなってからも、長い期間使いました。
(すし店では、夏限定で使われることが多いです。)
小さく、しかもあっさりとしているので、品数を増やすのにも最適です。
ただし、キロあたりの単価は、大きくなったものよりもずっと上です。
特に出始めの頃は、シンコ(コハダの幼魚)と同じように、すごい値段になります。
新イカは、1パイで握り1カンになるサイズや2カンになるサイズが特に珍重されます。
大きくなったものは、我が家ではあまり人気がなく、
若い頃はよく仕入れましたが、築地場内で仕入れることはありませんでした。
東京のすし店では、肉厚になった大きなものを好む店と、小さめのものを好む店に分かれますが、
小さめを好む方が多いと思います。
産地としては、富津などの東京湾産と三河湾産(愛知)が特に評価されていました。
新イカは、東京湾産 ・ 三河湾産に加え、入荷量が多く漁獲時の扱いの良い出水産(鹿児島)が特に有名です。
◆アオリイカ(標準和名)
ネットリした濃厚な味わいが持ち味ですが、ネットリ感は江戸前のすしには合わない、と考える店も少なからずあります。
そういう店では、活けのアオリイカを締めた当日に使います。(活け締め当日はネットリ感が少ない)
私は、基本的にすしにしないので、ネットリ感歓迎です。
そして、活け物は好みません。
私も家族も大好きなイカですが、築地場内で仕入れたのは、
とびっきり素晴らしい、佐島産(三浦半島)のアオリイカにじっと見つめられた(笑)その時一度きりでした。
というのは、築地通いをする以前から上物を頻繁に仕入れていましたし、時々夕飯のおかずにもなるイカだからです。
妻は、スーパー等で信じられないほど安い値段で買ってきては、せっせと刺身にします。
安いだけに、1キロにも満たない小さなものがほとんどですが、それでも充分に美味しく食べられるのです。
また、私はマグロのトロやアナゴなど、すしには味が濃厚なものを多く使ったので、
つまみは出来るだけ淡白なものにしたいという意識があり、味が濃厚なアオリイカを避けたということもあります。
アオリイカは、厚みのある2キロ強くらいが理想のサイズです。
東京湾や佐島(三浦半島)あたりのものが、特に高く評価されていました。
◆シロイカ(標準和名: ケンサキイカ)
ケンサキイカの刺身も、我が家では夕飯のおかずとして、たまに刺身で出てきます。
でも、シロイカ以外のケンサキイカです。
つまり、シロイカに日常性はあまり感じないわけです。
時期的に、淡白な白身の高級魚にあまり良いものがなく、又特に父がシロイカを好んだので、
4月中旬あたりから新イカが出てくる7月下旬頃の間、よく仕入れました。
肉厚でずんぐりしたものの評価が高かったです。
◆ヤリイカ(標準和名)
ヤリイカも、我が家では夕飯のおかずとして刺身で出てくるイカです。
しかも、頻度が多いので、日常性を強く感じます。
更に、ヤリイカの旬(冬)の時期は、白身魚の多くも旬なので、そちらを仕入れたくなります。
ということで、築地場内では一度も仕入れませんでした。
築地場内には、冬に活け物も多く入荷され、人気があります。
すし店で、活け締め当日のヤリイカを使う理由の一つが、お客に日常性を感じさせないためだと思います。
家庭で、当日に活け締めしたヤリイカを食べることは、日常的ではありませんから。
佐島産(三浦半島)の大型のものは、特に評価が高かったです。
2.仕込みと供し方
イカは、アニサキス(寄生虫)が付いていることがよくありますので、気をつけてください。
以下、江戸前のすしの名店で行われている仕込みと供し方等について書きます。
◆共通事項
・足を下、胴を上にして見た場合、イカの硬い繊維は、左右に走っています。
サク取りやネタに切りつける際には、この点に注意します。
柔らかくするためには、繊維と交差するように包丁を入れます。
・シャリと調和させるため、必要に応じ、刃打ちするか包丁目を入れるかして、イカの硬さを調整します。
・老舗系の店など、一部のすし店では、どのイカでも、内皮をむく前に必ず湯通ししてから使います。
・ワサビは少な目に使います。(イカはワサビが効きやすい)
・握った後、煮切り醤油をつける他、塩+かんきつ果汁、塩+振りゆず等で供されることも多いです。
・ヒラメなど、淡白な白身魚と同じく、他の食材と組み合わせて握られることもあります。
(例)ウニ ・ キャビア ・ 海苔 ・ 大葉 ・ ゴマなど
◆スミイカ(標準和名: コウイカ)
・そのまま握られることが多いですが、硬めの場合は、刃打ちするか少し包丁目を入れるかします。
子供の新イカは柔らかいので、そのまま握られることが多いです。
・新イカのゲソは柔らかいので、軽く茹でてから、握られることが多いです。
その場合、煮ツメ(煮イカを作っている店では煮イカの煮ツメ、それ以外はアナゴの煮汁で作った煮ツメ)
をつけることが多いです。(振りゆずを使う場合も)
◆アオリイカ(標準和名)
・内皮が硬く、しかも剥きづらいです。
活け物はさほど苦も無く剥けますが、それ以外は薄く切り取るか、細かく包丁を入れて使われることも多いです。
・ネタに切りつけてから、裏を刃打ちし、表にも繊維に逆らって少し包丁を入れるか、
糸造り又はそれに近い形で握られます。
・すし店では見かけませんが、以下の切り方がオススメです。
ただし、握り用ではありません。
ポイントは、切断面を多くし、ネットリ感を強調することです。
(右利きで説明)
①足を下、胴を上にして見た場合、縦長にサク取りしたものを使います。(この場合は)
繊維は、サクの短辺に対して、平行に走った状態となります。
湯通しはしません。
②内皮が剥けなければ、薄くまっ平らに削ぎ切りして取ります。(切り取らなくても大丈夫です)
③サクの表と裏に0.5ミリくらい(無理なら1ミリくらい)の間隔で、
繊維と直角に浅く包丁を入れまくっていきます。
内皮をつけたままでも、ここで内皮は細かく切断され気にならなくなります。
更に、表と裏に繊維と平行に、同様に包丁を浅く入れまくっていきます。
※切りつけた時の見た目を重視するならば、繊維と平行に包丁を入れるのは、やめた方がいいです。
繊維と直角に包丁を入れる際、少し深めに入れれば大丈夫です。
④サクを足側が左になるよう横に置き、包丁を寝かせて、左の方から角度をつけて切りつけます。
最初の一切れは使いません。
二切れ目は、一切れ目の切り口のてっぺんのラインが真ん中になるようにして、
同じく角度をつけて切りつけます。
大きさは一口サイズです。
三切れ目以降も同様に切りつけてください。
サクの右端の方は使いません。
◆シロイカ(標準和名: ケンサキイカ)
・握る場合は、そのままだと少し硬いので、必ず包丁を入れます。
・糸造りかそれに近い形で握られることが多いです。
・サクを、薄く削ぎ切りして何枚かに切り分け、それを更に細く切ってから握る店もあります。
・細かく且つ美しく飾り包丁を入れ、その表面に湯をかけてすぐに氷水で冷やしたものを握る店もあります。
これだと、粘りを嫌う人にも好まれます。
塩+カンキツ果汁で供されることが多いです。
◆ヤリイカ(標準和名)
シロイカと同じように使われます。
シャリとの相性が良いすしだと思います。
でも、煮イカの一種、イカの印籠詰め (印籠づけ)を出す店はたまにあっても、
普通の煮イカを出す店は、極端に少ないです。
私も、イカの印籠詰め (印籠づけ)はたまに作りましたが、
普通の煮イカは、若い頃に江戸前の仕事を試していた時以外は作りませんでした。
我が家では、子供の頃から同じ味付けの煮イカが夕飯のおかずの定番だったので、
あまりにも日常性を感じてしまうからです。
すし店も、そう考えているところが多いのかもしれません。
煮イカにチャレンジしたいという方は、イカの印籠詰め (印籠づけ)のページを参考になさってください。
重要なポイントは、火を通しすぎて硬くしないことと、煮汁で煮ツメを作ることです。
煮イカに使われる代表的なイカは、スルメイカとヤリイカです。
現代の江戸前のすしでは、イカは生かそれに近い状態で握るのが普通です。
私はその場合、基本的には握らず、刺身で供します。
もっとシャリと相性の良いネタ(タネ)のすしを食べてもらいたいからです。
以下、東京の一定レベル以上のすし店で、生かそれに近い状態ですしにされる、主なイカについて書きます。
イカは場所によって呼称が色々で紛らわしいのですが、標準和名と築地や東京の江戸前のすし店での呼称で記します。
◆スミイカ(標準和名: コウイカ) ←定番
東京の一定レベル以上のすし店でスミイカといえば、コウイカ(標準和名)を指します。
旬は産卵期前の冬ですが、江戸前のすしの主軸ともいうべきイカで、産卵期以外の期間ずっと使われます。
歯切れの良いコリっとした食感で、粘りが少なく、甘味は少なめながら旨味があるので、
生イカでは最もシャリとの相性が良いとされ、江戸前のすしの定番中の定番となっています。
夏には子供の新イカ(シイイカ)が出てきます。
小さく、柔らかく、さっぱりしていながら旨味もあり、暑い夏にピッタリで、珍重されます。
◆アオリイカ(標準和名) ←定番
スミイカが産卵期に近づき質が落ちてくる早春あたりから、夏にかけて使われます。
旬は夏です。
アオリイカは、高級イカの代名詞的イカです。
このイカが一番好きという人が、圧倒的に多いのではないでしょうか。
料理人時代、お客さん達の反応を見て、いつもそう感じていました。
◆シロイカ(標準和名: ケンサキイカ)
スミイカの質が落ち、アオリイカがまだ今一つの春を中心に、ケンサキイカを使う店もあります。
特に、築地や東京のすし店で、シロイカと呼ばれる、山陰や九州北部の日本海側で獲れるものに人気があります。
シロイカは、他の産地のケンサキイカ(築地や東京のすし店での呼称はアカイカ)よりもズングリとしていて、
違う種類のイカのように見えます。
ブドウ色に染まって、築地場内にずらっと並ぶ光景は、とても美しかったです。
産卵期が春から秋までと長く、生まれた時期にバラツキがあるため、長い期間使えますが、
時期により大きさや味わいも若干異なり、築地では春から初夏に出回るものが特に高く評価されていました。
◆ヤリイカ(標準和名)
スミイカと並行して、旬の冬を中心にヤリイカを使う店もあります。
【参考】
ごく普通の東京のすし店で主軸になっているイカは、
モンゴウイカと称される、主にアフリカで漁獲される冷凍のイカで、1年中使われます。
柔らかく、中華料理などでもよく使われています。
ちなみに、国産のモンゴウイカとして流通するものの多くは、カミナリイカ(標準和名。築地での呼称はモンゴウイカ)で、
カミナリイカを好んで使うすし店もあります。
1.仕入れ(築地場内)
◆スミイカ(標準和名: コウイカ)
スミイカ(標準和名: コウイカ)の仕入れでやっかいなのが、
他の種類のカミナリイカ(標準和名)やシリヤケイカ(標準和名)が、
墨まみれで、ごっちゃになって販売されることが多い点です。
元々は、東京ではこれらのイカをひっくるめてスミイカとしていたので、間違いではないのでしょうが。
近年は、スミイカ=コウイカという認識が、東京では定着してきていると思います。
ちなみに、シリヤケイカは、東京の一定レベル以上のすし店では、まず使われることはありません。
築地場内の行きつけの仲卸しは、コウイカだけをスミイカとして扱っていましたが、
カミナリイカが混ざっている仲卸しもありました。
また、若い頃に仕入先にしていた、産地直送中心の比較的大型の鮮魚店では、
コウイカ ・ カミナリイカ ・ シリヤケイカがごっちゃになって、コウイカ又はモンゴウイカの名で販売されていました。
同じ時期に同じ漁場で獲れることも多いので、種類ごとに分別されないまま扱われることがよくあるようです。
見慣れていればコウイカの判別は難しくありませんが、一番確実なのは、甲羅の先端付近を触ってみることです。
コウイカのみ、甲羅の先端が尖っています。(表皮から少し出ていることが多い)
子供の新イカ(シイイカ)は、我が家では一番人気のあるイカで、
出始めから、夏を過ぎ入荷が少なくなってからも、長い期間使いました。
(すし店では、夏限定で使われることが多いです。)
小さく、しかもあっさりとしているので、品数を増やすのにも最適です。
ただし、キロあたりの単価は、大きくなったものよりもずっと上です。
特に出始めの頃は、シンコ(コハダの幼魚)と同じように、すごい値段になります。
新イカは、1パイで握り1カンになるサイズや2カンになるサイズが特に珍重されます。
大きくなったものは、我が家ではあまり人気がなく、
若い頃はよく仕入れましたが、築地場内で仕入れることはありませんでした。
東京のすし店では、肉厚になった大きなものを好む店と、小さめのものを好む店に分かれますが、
小さめを好む方が多いと思います。
産地としては、富津などの東京湾産と三河湾産(愛知)が特に評価されていました。
新イカは、東京湾産 ・ 三河湾産に加え、入荷量が多く漁獲時の扱いの良い出水産(鹿児島)が特に有名です。
◆アオリイカ(標準和名)
ネットリした濃厚な味わいが持ち味ですが、ネットリ感は江戸前のすしには合わない、と考える店も少なからずあります。
そういう店では、活けのアオリイカを締めた当日に使います。(活け締め当日はネットリ感が少ない)
私は、基本的にすしにしないので、ネットリ感歓迎です。
そして、活け物は好みません。
私も家族も大好きなイカですが、築地場内で仕入れたのは、
とびっきり素晴らしい、佐島産(三浦半島)のアオリイカにじっと見つめられた(笑)その時一度きりでした。
というのは、築地通いをする以前から上物を頻繁に仕入れていましたし、時々夕飯のおかずにもなるイカだからです。
妻は、スーパー等で信じられないほど安い値段で買ってきては、せっせと刺身にします。
安いだけに、1キロにも満たない小さなものがほとんどですが、それでも充分に美味しく食べられるのです。
また、私はマグロのトロやアナゴなど、すしには味が濃厚なものを多く使ったので、
つまみは出来るだけ淡白なものにしたいという意識があり、味が濃厚なアオリイカを避けたということもあります。
アオリイカは、厚みのある2キロ強くらいが理想のサイズです。
東京湾や佐島(三浦半島)あたりのものが、特に高く評価されていました。
◆シロイカ(標準和名: ケンサキイカ)
ケンサキイカの刺身も、我が家では夕飯のおかずとして、たまに刺身で出てきます。
でも、シロイカ以外のケンサキイカです。
つまり、シロイカに日常性はあまり感じないわけです。
時期的に、淡白な白身の高級魚にあまり良いものがなく、又特に父がシロイカを好んだので、
4月中旬あたりから新イカが出てくる7月下旬頃の間、よく仕入れました。
肉厚でずんぐりしたものの評価が高かったです。
◆ヤリイカ(標準和名)
ヤリイカも、我が家では夕飯のおかずとして刺身で出てくるイカです。
しかも、頻度が多いので、日常性を強く感じます。
更に、ヤリイカの旬(冬)の時期は、白身魚の多くも旬なので、そちらを仕入れたくなります。
ということで、築地場内では一度も仕入れませんでした。
築地場内には、冬に活け物も多く入荷され、人気があります。
すし店で、活け締め当日のヤリイカを使う理由の一つが、お客に日常性を感じさせないためだと思います。
家庭で、当日に活け締めしたヤリイカを食べることは、日常的ではありませんから。
佐島産(三浦半島)の大型のものは、特に評価が高かったです。
2.仕込みと供し方
イカは、アニサキス(寄生虫)が付いていることがよくありますので、気をつけてください。
以下、江戸前のすしの名店で行われている仕込みと供し方等について書きます。
◆共通事項
・足を下、胴を上にして見た場合、イカの硬い繊維は、左右に走っています。
サク取りやネタに切りつける際には、この点に注意します。
柔らかくするためには、繊維と交差するように包丁を入れます。
・シャリと調和させるため、必要に応じ、刃打ちするか包丁目を入れるかして、イカの硬さを調整します。
・老舗系の店など、一部のすし店では、どのイカでも、内皮をむく前に必ず湯通ししてから使います。
・ワサビは少な目に使います。(イカはワサビが効きやすい)
・握った後、煮切り醤油をつける他、塩+かんきつ果汁、塩+振りゆず等で供されることも多いです。
・ヒラメなど、淡白な白身魚と同じく、他の食材と組み合わせて握られることもあります。
(例)ウニ ・ キャビア ・ 海苔 ・ 大葉 ・ ゴマなど
◆スミイカ(標準和名: コウイカ)
・そのまま握られることが多いですが、硬めの場合は、刃打ちするか少し包丁目を入れるかします。
子供の新イカは柔らかいので、そのまま握られることが多いです。
・新イカのゲソは柔らかいので、軽く茹でてから、握られることが多いです。
その場合、煮ツメ(煮イカを作っている店では煮イカの煮ツメ、それ以外はアナゴの煮汁で作った煮ツメ)
をつけることが多いです。(振りゆずを使う場合も)
◆アオリイカ(標準和名)
・内皮が硬く、しかも剥きづらいです。
活け物はさほど苦も無く剥けますが、それ以外は薄く切り取るか、細かく包丁を入れて使われることも多いです。
・ネタに切りつけてから、裏を刃打ちし、表にも繊維に逆らって少し包丁を入れるか、
糸造り又はそれに近い形で握られます。
・すし店では見かけませんが、以下の切り方がオススメです。
ただし、握り用ではありません。
ポイントは、切断面を多くし、ネットリ感を強調することです。
(右利きで説明)
①足を下、胴を上にして見た場合、縦長にサク取りしたものを使います。(この場合は)
繊維は、サクの短辺に対して、平行に走った状態となります。
湯通しはしません。
②内皮が剥けなければ、薄くまっ平らに削ぎ切りして取ります。(切り取らなくても大丈夫です)
③サクの表と裏に0.5ミリくらい(無理なら1ミリくらい)の間隔で、
繊維と直角に浅く包丁を入れまくっていきます。
内皮をつけたままでも、ここで内皮は細かく切断され気にならなくなります。
更に、表と裏に繊維と平行に、同様に包丁を浅く入れまくっていきます。
※切りつけた時の見た目を重視するならば、繊維と平行に包丁を入れるのは、やめた方がいいです。
繊維と直角に包丁を入れる際、少し深めに入れれば大丈夫です。
④サクを足側が左になるよう横に置き、包丁を寝かせて、左の方から角度をつけて切りつけます。
最初の一切れは使いません。
二切れ目は、一切れ目の切り口のてっぺんのラインが真ん中になるようにして、
同じく角度をつけて切りつけます。
大きさは一口サイズです。
三切れ目以降も同様に切りつけてください。
サクの右端の方は使いません。
◆シロイカ(標準和名: ケンサキイカ)
・握る場合は、そのままだと少し硬いので、必ず包丁を入れます。
・糸造りかそれに近い形で握られることが多いです。
・サクを、薄く削ぎ切りして何枚かに切り分け、それを更に細く切ってから握る店もあります。
・細かく且つ美しく飾り包丁を入れ、その表面に湯をかけてすぐに氷水で冷やしたものを握る店もあります。
これだと、粘りを嫌う人にも好まれます。
塩+カンキツ果汁で供されることが多いです。
◆ヤリイカ(標準和名)
シロイカと同じように使われます。