ワサビ (山葵, わさび) edomae wasabi mazuma tsukiji
Dec 27, 2014 19:53:25 GMT 9
Post by 管理人 on Dec 27, 2014 19:53:25 GMT 9
ワサビにも色々な品種がありますが、すしや刺身に最も適しているのは 「真妻(まづま)」 です。
名産地は静岡県の中伊豆(天城など)と御殿場。
築地への入荷もこれらの産地からがほとんどで、入荷量は中伊豆産が圧倒的でしたが、
高級品は御殿場産に多かったです。
築地場内にワサビで人気の妻屋(ワサビ ・ 花穂 ・ シソの実などを扱う)があって、
多くのすし店 ・ 日本料理店がそこで中伊豆産のワサビを仕入れていました。
値段が安く良心的 (古くなったワサビの組織はナイフでカット。ワサビは量り売り。) な店でした。
その妻屋は、ある日本屈指の名店 (何度か食べに行きました) の仕入先で、
そのすし店が仕入れたワサビと同じものを仕入れたことがあります。
使ってみると、値段が安い割には質が良いのですが、
私が築地の他の店で仕入れていた、100gあたり3~4倍の値段の最高級の真妻と比べると、はるかに劣っていました。
(食べた時点で、値段の割にワサビがあまり良くない店だと分かっていましたが。)
日本屈指の高級店でもあるだけに、
あの値段をとるならもっと良いワサビを使って欲しいなぁ、と思いました。
そのすし店では、マグロ ・ ウニ ・ クルマエビなどの目立つネタ(タネ)は最高級のものを使っていましたが、
他のネタはかなり妥協していましたから (他の名店にも同様の傾向あり)、
相当儲けているか経営が厳しいかのどちらかだったのでしょう。
ちなみに、他の高級すし店でも、あまり良いワサビを使っていませんでした。
「どうして、そのワサビを使うんですか?」 と聞けば、
「このワサビが一番すしに合うからです。」 とかなんとか(笑)
高級店だけに、「もっといいものを使いたいけれど高いから使えない。」 とは言えないのでしょう。
どんな高級店でも、色々と妥協しています。(悪いことではありません。)
駄目な評論家は、自分の中にきちんとした味覚の判断基準を持ち合わせていませんから、
名店の主人が言ったことを鵜呑みにして書きます (名店でなければボロクソに書きます)。
そういう評論家がマスメディアにチヤホヤされ、くだらない能書きが氾濫していますから惑わされないでください。
最高級の真妻は、緑が多めの鮮やかな黄緑色で、ワサビ本体(地下茎)についている茎は赤っぽい紫色です。
100gあたりの単価が安い2~3年物が最上だと主張するすし店もありますが、
正真正銘の最高級品はもっと太く大きなものです。(何年物かは忘れましたが、4~5年物くらいだと思います。)
その最高級品を卸すと、辛みだけでなく豊かな甘味 ・ 香り ・ 粘りがあり、色はとても鮮やかです。
そして何よりも、マグロのトロのようにワサビをたっぷりとつけるすしや刺身の場合、
最高級品を使っているか否かで歴然とした差が出ます。
ですから、私は築地では最高級の真妻を仕入れ続けました。
このような最高級品を築地で仕入れていたのは、ほとんどが日本料理の名店でしたが、
最高級品の真妻を使っているすしの名店(若手 ・ 中堅に多い)もわずかにありました。
(生産者からの直接仕入れが多かったようです。)
ワサビを卸す時にすしや日本料理のプロが通常使うのは、鮫皮か目の細かい銅製の卸し金です。
いずれの場合も、あまり力を入れず空気を含ませるように卸します。
私が江戸前のすしの初心者の頃、有名なすしの高級店は、私の知る限り全て銅製の卸し金を使っていました。
鮫皮は卸すのに時間がかかる、というのが銅製の卸し金を使う一番の理由でしょう。
私は両方共とても良いものを持っていますが、使い比べてみて、
鮫皮で卸したワサビの方が、より江戸前のすしに合うと思いましたので、鮫皮を使いました。
(銅製の卸し金を使うことについて否定はしません。)
今を時めく若手 ・ 中堅のすしの名店のご主人達が、
私が使っていたような最高級の真妻を鮫皮で卸しているのを見ると、
いいぞ、がんばれ!と応援したくなります。
お金も手間もかかるけれど、高級店にとってとても大切なことを、きちんとしていると思うからです。
最高級のワサビを使っているかどうかは、訪れるべき高級すし店か否かの重要な尺度の一つになるはずです。
ミシュランなどのガイドブックも、もっとワサビに注目してほしいと思います。
【 参考 】
「究極」をテーマにしているので、最高級の真妻などと書いていますが、若い頃は本ワサビなど手が出ませんでした。
粉ワサビを使っていましたが、スーパーの刺身売り場にあるミニパック入りのワサビを沢山いただいて、
粉ワサビとブレンドしたりもしました。
スーパーやデパートで手に入る、真妻ではない安い本ワサビを使っていた頃は、
粉ワサビ ・ ミニパック入りのワサビ ・ 少量の砂糖をブレンドして、
なんとか真妻に近づけようと工夫しました。(料理人だったので良質の真妻の味と香りは知っていました。)
真妻のようにはならないのですが、そんな遊びを取り入れながらすしを握るのも楽しいものです。
金銭的に余裕が出来てからは、生産者から直接購入することも検討しましたが、
使う量が少ないので運送料を考えるとかなり割高でした。
幸い地元の上物を扱う鮮魚店のご主人が、
私の注文に応じて魚介類だけでなく昆布や良質の真妻を仕入れてくださったので、
築地通いを始めるまでの長い間、それを使いました。
鮮魚店や青果店の方に仕入れていただくというのは、オススメの入手方法です。
名産地は静岡県の中伊豆(天城など)と御殿場。
築地への入荷もこれらの産地からがほとんどで、入荷量は中伊豆産が圧倒的でしたが、
高級品は御殿場産に多かったです。
築地場内にワサビで人気の妻屋(ワサビ ・ 花穂 ・ シソの実などを扱う)があって、
多くのすし店 ・ 日本料理店がそこで中伊豆産のワサビを仕入れていました。
値段が安く良心的 (古くなったワサビの組織はナイフでカット。ワサビは量り売り。) な店でした。
その妻屋は、ある日本屈指の名店 (何度か食べに行きました) の仕入先で、
そのすし店が仕入れたワサビと同じものを仕入れたことがあります。
使ってみると、値段が安い割には質が良いのですが、
私が築地の他の店で仕入れていた、100gあたり3~4倍の値段の最高級の真妻と比べると、はるかに劣っていました。
(食べた時点で、値段の割にワサビがあまり良くない店だと分かっていましたが。)
日本屈指の高級店でもあるだけに、
あの値段をとるならもっと良いワサビを使って欲しいなぁ、と思いました。
そのすし店では、マグロ ・ ウニ ・ クルマエビなどの目立つネタ(タネ)は最高級のものを使っていましたが、
他のネタはかなり妥協していましたから (他の名店にも同様の傾向あり)、
相当儲けているか経営が厳しいかのどちらかだったのでしょう。
ちなみに、他の高級すし店でも、あまり良いワサビを使っていませんでした。
「どうして、そのワサビを使うんですか?」 と聞けば、
「このワサビが一番すしに合うからです。」 とかなんとか(笑)
高級店だけに、「もっといいものを使いたいけれど高いから使えない。」 とは言えないのでしょう。
どんな高級店でも、色々と妥協しています。(悪いことではありません。)
駄目な評論家は、自分の中にきちんとした味覚の判断基準を持ち合わせていませんから、
名店の主人が言ったことを鵜呑みにして書きます (名店でなければボロクソに書きます)。
そういう評論家がマスメディアにチヤホヤされ、くだらない能書きが氾濫していますから惑わされないでください。
最高級の真妻は、緑が多めの鮮やかな黄緑色で、ワサビ本体(地下茎)についている茎は赤っぽい紫色です。
100gあたりの単価が安い2~3年物が最上だと主張するすし店もありますが、
正真正銘の最高級品はもっと太く大きなものです。(何年物かは忘れましたが、4~5年物くらいだと思います。)
その最高級品を卸すと、辛みだけでなく豊かな甘味 ・ 香り ・ 粘りがあり、色はとても鮮やかです。
そして何よりも、マグロのトロのようにワサビをたっぷりとつけるすしや刺身の場合、
最高級品を使っているか否かで歴然とした差が出ます。
ですから、私は築地では最高級の真妻を仕入れ続けました。
このような最高級品を築地で仕入れていたのは、ほとんどが日本料理の名店でしたが、
最高級品の真妻を使っているすしの名店(若手 ・ 中堅に多い)もわずかにありました。
(生産者からの直接仕入れが多かったようです。)
ワサビを卸す時にすしや日本料理のプロが通常使うのは、鮫皮か目の細かい銅製の卸し金です。
いずれの場合も、あまり力を入れず空気を含ませるように卸します。
私が江戸前のすしの初心者の頃、有名なすしの高級店は、私の知る限り全て銅製の卸し金を使っていました。
鮫皮は卸すのに時間がかかる、というのが銅製の卸し金を使う一番の理由でしょう。
私は両方共とても良いものを持っていますが、使い比べてみて、
鮫皮で卸したワサビの方が、より江戸前のすしに合うと思いましたので、鮫皮を使いました。
(銅製の卸し金を使うことについて否定はしません。)
今を時めく若手 ・ 中堅のすしの名店のご主人達が、
私が使っていたような最高級の真妻を鮫皮で卸しているのを見ると、
いいぞ、がんばれ!と応援したくなります。
お金も手間もかかるけれど、高級店にとってとても大切なことを、きちんとしていると思うからです。
最高級のワサビを使っているかどうかは、訪れるべき高級すし店か否かの重要な尺度の一つになるはずです。
ミシュランなどのガイドブックも、もっとワサビに注目してほしいと思います。
【 参考 】
「究極」をテーマにしているので、最高級の真妻などと書いていますが、若い頃は本ワサビなど手が出ませんでした。
粉ワサビを使っていましたが、スーパーの刺身売り場にあるミニパック入りのワサビを沢山いただいて、
粉ワサビとブレンドしたりもしました。
スーパーやデパートで手に入る、真妻ではない安い本ワサビを使っていた頃は、
粉ワサビ ・ ミニパック入りのワサビ ・ 少量の砂糖をブレンドして、
なんとか真妻に近づけようと工夫しました。(料理人だったので良質の真妻の味と香りは知っていました。)
真妻のようにはならないのですが、そんな遊びを取り入れながらすしを握るのも楽しいものです。
金銭的に余裕が出来てからは、生産者から直接購入することも検討しましたが、
使う量が少ないので運送料を考えるとかなり割高でした。
幸い地元の上物を扱う鮮魚店のご主人が、
私の注文に応じて魚介類だけでなく昆布や良質の真妻を仕入れてくださったので、
築地通いを始めるまでの長い間、それを使いました。
鮮魚店や青果店の方に仕入れていただくというのは、オススメの入手方法です。