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Post by 管理人 on Jan 2, 2015 0:52:22 GMT 9
ヒラメは、江戸前のすしを代表する白身です。
我が家では、オコゼ(オニオコゼ) ・ ホシガレイと並ぶ、人気の白身でした。(刺身として)
若い頃、亡き父とはるばる日立沖(茨城)へヒラメを釣りに行った際、バラしてしまい(針からはずした)、
初めてオデコに終わった(1匹も釣れなかった)屈辱も、今となっては懐かしい良き思い出です。
1.仕入れ (築地場内市場)
毎年11~3月頃に、活けのヒラメを仕入れていました。
2~3キロくらいが評価の高いサイズ。
寒ビラメといわれる通り旬は真冬で、その上物は厚く、身はアメ色っぽくなっています。
築地には、各地からヒラメが入荷されていましたが、特に青森産と銚子産の活けの釣り物が有名でした。
それらもよく使いましたが、私が最も気に入っていたのは、東京湾内と佐島(三浦半島)のもの。
共に仕入れ対象外の小型が多いのですが、まれに大型の入荷があれば、仲卸しのご主人のオススメもあり、
迷わず仕入れました。
2.供し方
ヒラメは、コケを引いてから(包丁で両面のウロコを切り取る)、5枚おろしにして使います。
◆仕事をしない場合
☆刺身
ヒラメは、原則として刺身で供しました。
ヒラメの繊細な味を楽しむには、それが一番。
朝、築地場内で活け締めされたヒラメは、夜になると、身はコリコリしていますが、旨味もでてきます。
皮を引き、へぎ造りにし、ワサビと醤油で。(もちろん、エンガワも。)
2日後くらいには旨味がグッとでて、身がネットリとしてきますが、その刺身も我が家では人気でした。
☆握り
仕事をしていないヒラメを握るのが、現代の江戸前の主流です。
でも、私はヒラメのすしよりも、もっとシャリと相性が良いすしを沢山食べて欲しかったので、
自分からは握りませんでした。(強めのシャリを使うことが多かったのも、大いに関係しています。)
リクエストがあった時は、以下のようにしました。
・身が柔らかい場合は、厚く切りつけ、シャリを少なくする。
・身がコリコリしている場合は、少し厚めに切りつけ、包丁目を入れて硬さを緩和し、シャリを極端に少なくする。
こうすると、見かけ上のバランスは悪くなりますが、味のバランスは良くなると思います。
◆仕事をする場合
☆握り
すしの名店の中にも、仕事をしないヒラメとシャリの相性について、真剣に考えている方が多いようです。
定番の昆布締めにして握る店が多いですが、ヅケにしたり、甘酢にくぐらせて使う店もあります。
中には、とてもユニークなすしも。
キャビアを載せる、白トリュフを振りかける、調理したヒラメの肝を載せる、ヒラメの肝でつくったソースを使う、
刻んだアサツキと紅葉おろしを使う、塩とカンキツ果汁を使う、等々。
それらを邪道だと言う人がいますが、私はそうは思いません。
少なくとも、シャリとの相性は良くなっていると思うからです。
私が握ったのは、真昆布か利尻昆布を使って、軽く昆布締めにしたものです。
身がネットリとしてからつくった方が美味しいので、最初から昆布締めにするつもりならば、
高価な活けのヒラメを仕入れなくても、野締めで充分だと思います。
とは言っても、ヒラメの昆布締めを握っていたのは、伝統的な江戸前のすしの仕事を試していた頃だけで、
以後も、使い残したヒラメで昆布締めはつくりましたが、ごはんのオカズにしていました。
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