かんぴょう (干瓢), かんぴょう煮, かんぴょう巻, レシピ kanpyou recipe edomae
Aug 1, 2015 14:22:18 GMT 9
Post by 管理人 on Aug 1, 2015 14:22:18 GMT 9
江戸前のすしで海苔巻といえば、狭義にはかんぴょうの細巻を指します。
マグロ ・ アナゴ ・ コハダ ・ 玉子焼きなどと並ぶ、江戸前の伝統的なすしです。
また、かんぴょうは太巻 ・ 中巻 ・ ちらしずし(特にばらちらし) ・ イカの印籠詰め(印籠づけ)の具や、
握ったすしの帯などにも使われます。
私は、かんぴょう巻 ・ イカの印籠詰め(印籠づけ)の具、
伝統的な仕込みを施したシラウオの握りの帯として使いました。
すし店 ・ すし職人の技量を見るには、かんぴょう巻を作らせるのが一番だと云われます。
・ かんぴょうの選択 ・ 味付け ・ 食感 ・ 温度
・ 海苔の選択と供する時点での状態
・ 米の選択 ・ 炊き方 ・ 合わせ酢の味と合わせ具合 ・ べたつき感のなさ ・ 温度
・ シャリとかんぴょうの量的バランス
・ 処理のスピード
・ 包丁の技術
・ 見た目の美しさ
・ シャリとシャリの間に含ませる空気の程度
・ シャリとかんぴょうの密着度
・ トータルな味わい
等々、江戸前のすしに求められる、多くの重要ポイントが含まれているからでしょう。
握りは何度も手返しすれば見た目はごまかせますが、巻物は一発勝負。
しかも、かんぴょうは巻物の芯としては形が不安定で、シャリとかんぴょうが見える面はみすぼらしくなりがちです。
私は、技量を見るなどという嫌らしい考えはなく、勉強の為、すし店に行くたびにかんぴょう巻を注文しました。
名店と云われるすし店でもずいぶんと食べましたが、素材の質や味の好みを除外しても、
本当に素晴らしいと思えるかんぴょう巻に出会ったことはありません。
それだけ難しいわけです。
だから面白い。
かんぴょう巻には、シンプルなものを非凡に仕上げる楽しさがあります。
1.仕入れ
かんぴょうは、皮と芯の近くを除く夕顔の実を薄く削り、乾燥させたものです。
多くの場合、その後に二酸化イオウを使って燻蒸されます。
二酸化イオウでの燻蒸は、漂白・防虫・防カビ・酸化防止などのために行われ、
製品となったかんぴょうは白く、硬く締まっているのが特徴です。
使う際は、二酸化イオウを取り除くため、ならびに硬さをとるために、時間と手間が余計にかかりますが、
その分味と香りを失います。
一方、二酸化イオウで燻蒸しないものは、「無漂白かんぴょう」と呼ばれています。
色は自然で、少し茶色がかっています。
モノにもよりますが、二酸化イオウを使ったものよりも柔らかいです。
かんぴょう本来の味・香りは、こちらが上回ります。
築地などで見る業務用のかんぴょうも、すし店が使うかんぴょうも、
そのほとんどが二酸化イオウで燻蒸されたものです。
すし店の方々に使う理由を聞くと、食感の良い仕上がりになるからだと言います。
ほど良い食感を出すためのストライクゾーンが、無漂白のものよりも広いのは確かだと思います。
私は、いかなる理由があろうと、二酸化イオウを使ったかんぴょうを家族に食べさせたくはなかったので、
無漂白かんぴょうを選びました。
色々と試しましたが、スーパー等で扱われているものに満足のいくものはなく、
最終的には玉子焼きに使う卵の仕入先でもあった地元の有機食材を扱う店で、
とても質の良い天日干しの無漂白かんぴょう(栃木産)を仕入れました。
私が選んだかんぴょうは、以下のようなものです。
・ 無漂白でも、色が比較的きれい。(茶色≒酸化、黒≒カビ)
・ 加工後、日数があまり経過していない。
(かんぴょうの原料夕顔は、夏に収穫・加工される。時間の経過と共に劣化が進む。)
・ 食感の元になる繊維質がある程度しっかりしていて、尚且つ苦みが少ない。
・ 厚さと幅がある程度揃っている。(バラバラだと調理しにくい)
中国産のかんぴょうも多く流通しているようですので、気をつけてください。
2.仕込み(かんぴょう巻)
用途によって、味付けや食感を変える必要があります。
以下は、無漂白かんぴょうで、かんぴょう巻を作る場合です。
かんぴょうの硬さもさまざまですが、戻し方はパッケージに書いてある方法・時間が一つの目安になります。
ただし、個体差がありますので、書いてある通りにやったからといって、上手くいくとは限りません。
味付けは、砂糖と濃口醤油だけというのが江戸前の本流だと思いますが、私はミリンも使いました。
ミリンや日本酒を使うすし店も少なくありません。
【レシピ】
(材料)
・ 上質の無漂白かんぴょう 適量
・ 造りの良い濃口醤油(香りは控えめで色の明るいもの) 適量
・ 白ザラメ(又は砂糖) 適量
・ 造りの良い純本ミリン (ただし熟成香が控えめなもの) 適量
・ 水(高性能の浄水器で、水道水を浄水・軟水化したもの) 適量
①まず、かんぴょうをそのまま食べてみて、硬さと苦みを確認します。
上質の無漂白かんぴょうには、あまり苦みがありません。
②海苔の幅に合わせて、かんぴょうを切り揃えます。
③かんぴょうをボウルに入れ、たっぷりの水を入れて軽くかきまぜたらすぐに水を捨て、
再度水をたっぷりと入れて軽く洗い、ザルに上げます。
※水で戻す工程を省略する仕込みでは、この段階で揉み洗います。
(二酸化イオウ使用のものは、塩もみと塩出し)
④別のボウルにかんぴょうとたっぷりの水を入れ、かんぴょうを戻し、軽く揉みます。
私は、パッケージに書かれていることは無視し、厚さ・硬さに応じある程度長時間水に浸けました。
パッケージに書かれている方法・時間だと、場合によっては長い時間茹でなければならなくなり、
不要に味と香りを失ってしまうからです。
戻したら、味をしみ込みやすくするため、ならびにアクを出しやすくするため軽く揉みます。
揉み加減は、繊維質の硬さと苦みの程度により異なります。
※二酸化イオウ使用のものは、水で戻した後に塩もみと塩出しの工程が加わります。
無漂白かんぴょうでも、苦みが強い場合はしっかりと揉み洗いしておいた方がいいです。(塩は不要)
⑤鍋に水をたっぷり入れて強火で沸騰させ、ザルに上げて水を切ったかんぴょうを、
厚みのあるものから時間差をつけて入れます。
※水で戻す工程を省略した仕込み、ならびに二酸化イオウ使用のものは、水から茹でるのが普通です。
⑥再度沸騰してきたら弱火にし、アクをとりながら茹でていきます。
⑦指で千切ることができ、爪を立てた時に爪が入る程度(といってもやや硬め)になったら、
ザルに上げ、風を送り粗熱を取ります。
茹で加減の見極めは、食感を左右する非常に重要なポイントです。
かんぴょうの厚さ・硬さにもよりますが、しっかりと水で戻しておけば、茹で時間は短くて済み、
不要に味と香りを失わなくて済みます。
⑧かんぴょうが傷つかないよう気をつけながら、手のひら等で水気をしっかりと絞ります。
ここでしっかりと脱水しないと、味がしっかりと入らず尚且つ水っぽくなり失敗します。
⑨硬い部分・柔らかすぎる部分があれば切り取り、好みの幅に切りそろえます。
⑩鍋に濃口醤油と白ザラメを入れて弱火にかけ、白ザラメを溶かし、
別の鍋で煮切った純本ミリンを加え、味を決めます。
煮汁の量は少量です。
⑪煮汁の入った鍋を強火にかけ、厚みのあるものから秒単位の時間差をつけてかんぴょうを入れ、
菜箸でかき混ぜます。
⑫強火のまま、鍋をあおりながら煮汁をかんぴょうにからめ、水気を完全に飛ばしていきます。
この工程は、食感にも大きく関係します。
焦がしてはダメですが、焦げそうなくらいのギリギリのところでの勝負です。
“煮る”というよりも、“炒める”に近い感じです。
弱火でコトコト煮ると水っぽく且つ柔らかくなり過ぎ、江戸前のかんぴょう巻には不向きです。
⑬カンピョウをザルに広げ、自然に冷まします。
時間の経過と共に、より味がしみ込んでいきます。
3.供し方(かんぴょう巻)
備長炭で炙りたての海苔を使って、海苔巻にしました。
巻き方は、握り方 ・ 巻き方のページを参照してください。
かんぴょうはヒラヒラとしているので、
海苔の上に広げたシャリに置く時に気をつけないと、シャリとかんぴょうが見える面はみすぼらしくなります。
かんぴょうの厚さ・幅にもよりますが、うまく形が整わないような時は、
重ねたかんぴょうを少しねじるようにすると丸みを帯び、綺麗になります。
ただし、極端にねじると食感が悪くなります。
切り方は三つ切りか四つ切り(戦前は三つ切り、戦後は四つ切りが主流)で、
シャリとかんぴょうの面を横に向けるのが江戸前の流儀です。
美味しく食べられる大きさでもあります。
包丁で切断しない面(両端)も綺麗に見えるよう、包丁を当てて整えます。
何もつけずに、そのまま供します。
近年は、かんぴょう巻にワサビが使われることも多々あります。(◎___◎)
お好きな方はお使いください。
マグロ ・ アナゴ ・ コハダ ・ 玉子焼きなどと並ぶ、江戸前の伝統的なすしです。
また、かんぴょうは太巻 ・ 中巻 ・ ちらしずし(特にばらちらし) ・ イカの印籠詰め(印籠づけ)の具や、
握ったすしの帯などにも使われます。
私は、かんぴょう巻 ・ イカの印籠詰め(印籠づけ)の具、
伝統的な仕込みを施したシラウオの握りの帯として使いました。
すし店 ・ すし職人の技量を見るには、かんぴょう巻を作らせるのが一番だと云われます。
・ かんぴょうの選択 ・ 味付け ・ 食感 ・ 温度
・ 海苔の選択と供する時点での状態
・ 米の選択 ・ 炊き方 ・ 合わせ酢の味と合わせ具合 ・ べたつき感のなさ ・ 温度
・ シャリとかんぴょうの量的バランス
・ 処理のスピード
・ 包丁の技術
・ 見た目の美しさ
・ シャリとシャリの間に含ませる空気の程度
・ シャリとかんぴょうの密着度
・ トータルな味わい
等々、江戸前のすしに求められる、多くの重要ポイントが含まれているからでしょう。
握りは何度も手返しすれば見た目はごまかせますが、巻物は一発勝負。
しかも、かんぴょうは巻物の芯としては形が不安定で、シャリとかんぴょうが見える面はみすぼらしくなりがちです。
私は、技量を見るなどという嫌らしい考えはなく、勉強の為、すし店に行くたびにかんぴょう巻を注文しました。
名店と云われるすし店でもずいぶんと食べましたが、素材の質や味の好みを除外しても、
本当に素晴らしいと思えるかんぴょう巻に出会ったことはありません。
それだけ難しいわけです。
だから面白い。
かんぴょう巻には、シンプルなものを非凡に仕上げる楽しさがあります。
1.仕入れ
かんぴょうは、皮と芯の近くを除く夕顔の実を薄く削り、乾燥させたものです。
多くの場合、その後に二酸化イオウを使って燻蒸されます。
二酸化イオウでの燻蒸は、漂白・防虫・防カビ・酸化防止などのために行われ、
製品となったかんぴょうは白く、硬く締まっているのが特徴です。
使う際は、二酸化イオウを取り除くため、ならびに硬さをとるために、時間と手間が余計にかかりますが、
その分味と香りを失います。
一方、二酸化イオウで燻蒸しないものは、「無漂白かんぴょう」と呼ばれています。
色は自然で、少し茶色がかっています。
モノにもよりますが、二酸化イオウを使ったものよりも柔らかいです。
かんぴょう本来の味・香りは、こちらが上回ります。
築地などで見る業務用のかんぴょうも、すし店が使うかんぴょうも、
そのほとんどが二酸化イオウで燻蒸されたものです。
すし店の方々に使う理由を聞くと、食感の良い仕上がりになるからだと言います。
ほど良い食感を出すためのストライクゾーンが、無漂白のものよりも広いのは確かだと思います。
私は、いかなる理由があろうと、二酸化イオウを使ったかんぴょうを家族に食べさせたくはなかったので、
無漂白かんぴょうを選びました。
色々と試しましたが、スーパー等で扱われているものに満足のいくものはなく、
最終的には玉子焼きに使う卵の仕入先でもあった地元の有機食材を扱う店で、
とても質の良い天日干しの無漂白かんぴょう(栃木産)を仕入れました。
私が選んだかんぴょうは、以下のようなものです。
・ 無漂白でも、色が比較的きれい。(茶色≒酸化、黒≒カビ)
・ 加工後、日数があまり経過していない。
(かんぴょうの原料夕顔は、夏に収穫・加工される。時間の経過と共に劣化が進む。)
・ 食感の元になる繊維質がある程度しっかりしていて、尚且つ苦みが少ない。
・ 厚さと幅がある程度揃っている。(バラバラだと調理しにくい)
中国産のかんぴょうも多く流通しているようですので、気をつけてください。
2.仕込み(かんぴょう巻)
用途によって、味付けや食感を変える必要があります。
以下は、無漂白かんぴょうで、かんぴょう巻を作る場合です。
かんぴょうの硬さもさまざまですが、戻し方はパッケージに書いてある方法・時間が一つの目安になります。
ただし、個体差がありますので、書いてある通りにやったからといって、上手くいくとは限りません。
味付けは、砂糖と濃口醤油だけというのが江戸前の本流だと思いますが、私はミリンも使いました。
ミリンや日本酒を使うすし店も少なくありません。
【レシピ】
(材料)
・ 上質の無漂白かんぴょう 適量
・ 造りの良い濃口醤油(香りは控えめで色の明るいもの) 適量
・ 白ザラメ(又は砂糖) 適量
・ 造りの良い純本ミリン (ただし熟成香が控えめなもの) 適量
・ 水(高性能の浄水器で、水道水を浄水・軟水化したもの) 適量
①まず、かんぴょうをそのまま食べてみて、硬さと苦みを確認します。
上質の無漂白かんぴょうには、あまり苦みがありません。
②海苔の幅に合わせて、かんぴょうを切り揃えます。
③かんぴょうをボウルに入れ、たっぷりの水を入れて軽くかきまぜたらすぐに水を捨て、
再度水をたっぷりと入れて軽く洗い、ザルに上げます。
※水で戻す工程を省略する仕込みでは、この段階で揉み洗います。
(二酸化イオウ使用のものは、塩もみと塩出し)
④別のボウルにかんぴょうとたっぷりの水を入れ、かんぴょうを戻し、軽く揉みます。
私は、パッケージに書かれていることは無視し、厚さ・硬さに応じある程度長時間水に浸けました。
パッケージに書かれている方法・時間だと、場合によっては長い時間茹でなければならなくなり、
不要に味と香りを失ってしまうからです。
戻したら、味をしみ込みやすくするため、ならびにアクを出しやすくするため軽く揉みます。
揉み加減は、繊維質の硬さと苦みの程度により異なります。
※二酸化イオウ使用のものは、水で戻した後に塩もみと塩出しの工程が加わります。
無漂白かんぴょうでも、苦みが強い場合はしっかりと揉み洗いしておいた方がいいです。(塩は不要)
⑤鍋に水をたっぷり入れて強火で沸騰させ、ザルに上げて水を切ったかんぴょうを、
厚みのあるものから時間差をつけて入れます。
※水で戻す工程を省略した仕込み、ならびに二酸化イオウ使用のものは、水から茹でるのが普通です。
⑥再度沸騰してきたら弱火にし、アクをとりながら茹でていきます。
⑦指で千切ることができ、爪を立てた時に爪が入る程度(といってもやや硬め)になったら、
ザルに上げ、風を送り粗熱を取ります。
茹で加減の見極めは、食感を左右する非常に重要なポイントです。
かんぴょうの厚さ・硬さにもよりますが、しっかりと水で戻しておけば、茹で時間は短くて済み、
不要に味と香りを失わなくて済みます。
⑧かんぴょうが傷つかないよう気をつけながら、手のひら等で水気をしっかりと絞ります。
ここでしっかりと脱水しないと、味がしっかりと入らず尚且つ水っぽくなり失敗します。
⑨硬い部分・柔らかすぎる部分があれば切り取り、好みの幅に切りそろえます。
⑩鍋に濃口醤油と白ザラメを入れて弱火にかけ、白ザラメを溶かし、
別の鍋で煮切った純本ミリンを加え、味を決めます。
煮汁の量は少量です。
⑪煮汁の入った鍋を強火にかけ、厚みのあるものから秒単位の時間差をつけてかんぴょうを入れ、
菜箸でかき混ぜます。
⑫強火のまま、鍋をあおりながら煮汁をかんぴょうにからめ、水気を完全に飛ばしていきます。
この工程は、食感にも大きく関係します。
焦がしてはダメですが、焦げそうなくらいのギリギリのところでの勝負です。
“煮る”というよりも、“炒める”に近い感じです。
弱火でコトコト煮ると水っぽく且つ柔らかくなり過ぎ、江戸前のかんぴょう巻には不向きです。
⑬カンピョウをザルに広げ、自然に冷まします。
時間の経過と共に、より味がしみ込んでいきます。
3.供し方(かんぴょう巻)
備長炭で炙りたての海苔を使って、海苔巻にしました。
巻き方は、握り方 ・ 巻き方のページを参照してください。
かんぴょうはヒラヒラとしているので、
海苔の上に広げたシャリに置く時に気をつけないと、シャリとかんぴょうが見える面はみすぼらしくなります。
かんぴょうの厚さ・幅にもよりますが、うまく形が整わないような時は、
重ねたかんぴょうを少しねじるようにすると丸みを帯び、綺麗になります。
ただし、極端にねじると食感が悪くなります。
切り方は三つ切りか四つ切り(戦前は三つ切り、戦後は四つ切りが主流)で、
シャリとかんぴょうの面を横に向けるのが江戸前の流儀です。
美味しく食べられる大きさでもあります。
包丁で切断しない面(両端)も綺麗に見えるよう、包丁を当てて整えます。
何もつけずに、そのまま供します。
近年は、かんぴょう巻にワサビが使われることも多々あります。(◎___◎)
お好きな方はお使いください。