酢 (赤酢 ・ 米酢 ・ その他) edomae akasu komesu
Dec 6, 2014 16:50:21 GMT 9
Post by 管理人 on Dec 6, 2014 16:50:21 GMT 9
酢は、シャリ(酢飯) ・ シメもの ・ ガリなど、すしの味を大きく左右する、江戸前のすしにとって一番重要な調味料です。
徹底的にこだわって、あなたの理想とするすしに適したものを、あなた自身の味覚を頼りに選んでいただきたいと思います。
業務用の酢も、今はネット通販で広く扱われていますので、簡単に入手できます。(オススメではありませんが)
1.赤酢(粕酢)
酒粕を発酵させてつくった粕酢。濃い色と独特のコクと香りが特徴です。
アルコールなどの副原料を使った軽めのものが、すし店ではよく使われています。
江戸時代に、酒粕から酢が出来ることをミツカンが発見し、ミツカンの赤酢と共に江戸前のすしが発展していったそうです。
現在は、江戸前の店でも米酢を使う店が多いですが、赤酢にこだわる名店も数多くあります。
また、シャリには米酢を使っても、シメものには赤酢を使う名店もあります。
私は、赤酢をそのまま又は米酢とブレンドして使っていた時期もあるのですが、
自分の理想にかなう米酢を見つけてからは全く使わなくなってしまいました。
赤酢は、魚のクセを取り除く力が、米酢よりも弱いと思います。
シメものに使う場合は、塩と酢の時間を長めにした方が良いでしょう。
東京の店でよく使われている赤酢は、ミツカンとヨコ井(横井醸造)のものです。
他にも赤酢をつくっている会社はあるのですが、使ったことがありません。
以下、ミツカンとヨコ井の主な赤酢を紹介します。
(あくまでも私が使用していた当時のことを書いています。)
◆ ミツカンの製品
・ 三ッ判山吹
これぞ赤酢、という感じの濃厚な純粕酢。
これでシャリをつくるとはっきりと色がつきます。
大容量の容器に入ったものはなく、すし店ではあまり使われていないようです。
・ 優選
副原料使用。軽め。
私の知る限り、ミツカンの赤酢を使う東京の名店でシャリに一番よく使われているのがこの製品です。
・ 特醸優選
副原料使用。「優選」よりも軽め。
「優選」に次いで、ミツカンの赤酢を使う東京の名店でシャリによく使われている製品です。
・ 山吹
副原料使用。米酢とのブレンド。
「三ッ判山吹」とは異なります。
ミツカンの副原料使用の赤酢の中では一番濃厚で高価です。
シャリやシメものに、この製品を使う名店もあります。
・ 富貴
副原料使用。軽い。安価。
シャリよりも、シメものに使う店が多いようです。
◆ ヨコ井の製品
・ 純粕酢 與兵衛
私が赤酢を使っていた頃、この純粕酢はありませんでした。
使ったことはありませんが、これでシャリをつくるとはっきりと色がつくようですので、濃厚だと思います。
下記の「粕酢の與兵衛」を使っていた店では、今はこの製品と他の製品をブレンドして使っているのではないかと思います。
・ 江戸丹念酢
今は販売されていませんが、当時ヨコ井が販売していた唯一の純粕酢で、家庭用の小さなビンに入っていました。
ミツカンの「三ッ判山吹」と比べると、軽く上品な感じで、シャリに使ってもほとんど色は付きませんでした。
吟醸酒の酒粕からつくられていたようです。
・ 粕酢の與兵衛 (製品名は間違っているかもしれませんが、“與兵衛”の文字は使われていました。)
副原料使用。軽め。
当時、ヨコ井の業務用赤酢の最高級品でした。
私の知る限り、当時ヨコ井の赤酢を使う東京の名店でシャリに一番よく使われていたのはこの製品です。
今は販売されていないようです。
・ 珠玉
副原料使用。
使ったことはありません。軽めだと思います。
・ 琥珀
副原料使用。
こちらも使ったことはありません。軽めだと思います。
2.米酢(白酢)
おなじみの米からつくられた酢。
アルコールなどの副原料を使った軽めのものが、すし店ではよく使われています。
東京のすし店でよく使われている米酢は、赤酢と同じくミツカンとヨコ井(横井醸造)のものです。
私は、赤酢よりも米酢の方が好みなので、ミツカンとヨコ井以外にも数多くの米酢を試しました。
日本には米酢をつくっている会社はたくさんあるのです。
造りの良い、様々な(コクがありまろやか、軽くまろやか、コクがあり酸味が強い、軽く酸味が強い等)
自分の理想にかなう米酢をいくつか見つけ、それらをブレンドしたり単独で使ったりしているうちに、
ミツカンとヨコ井の製品は、時々シメものに使う以外使わなくなってしまいました。
私がそうであったように、使う酢を真剣に見直しているすし職人もけっこういますし、
今後はますます増えてくるのではないかと思います。
以下、ミツカンとヨコ井の主な米酢の紹介、ならびに私が最終的に選んだ米酢について書きます。
(あくまでも私が使用していた当時のことを書いています。)
◆ ミツカンの製品
・ 白菊
副原料使用。軽め。
私の知る限り、ミツカンの米酢を使う東京の名店でシャリに一番よく使われているのがこの製品です。
・ 末広
副原料使用。軽い。安価。
シャリよりも、シメものに使う店が多いようです。
◆ ヨコ井の製品
・ 白寿
副原料使用。軽め。
私の知る限り、ヨコ井の米酢を使う東京の名店でシャリに一番よく使われているのがこの製品です。
・ 金将
副原料使用。
使ったことはありません。軽めだと思います。
・ 水仙
副原料使用。
こちらも使ったことはありません。軽めだと思います。
◆ 私が最終的に選んだ米酢
コクがあり酸味がまろやかなタイプで私が愛用していた米酢は、「純米富士酢」(飯尾醸造)に似た純米酢でしたが、
どこの会社の製品だったか、ネット上で調べても分かりません。m(_ _)m
軽く酸味がまろやかなタイプで私が愛用していた米酢は、一つは米と酒粕のみでつくられた千鳥酢(村山造酢)、
もう一つは、米のみ又は米と酒粕のみでつくられたものですが、どこの会社の製品だったか不明です。m(_ _)m
コクがあり酸味が強いタイプ、ならびに軽く酸味が強いタイプで私が愛用していた米酢は、
米のみ又は米と酒粕のみでつくられたものでしたが、
どこの会社の製品だったか共に不明です。m(_ _)m m(_ _)m
3.その他の酢
◆ いわゆる穀物酢
既に述べた酢の中にも、分類上は穀物酢に該当するものもあるのですが、
ここでは、スーパーなどでよく見かける穀物酢を意味しています。
代表的なのは、どこのスーパーでも扱っているミツカンの「穀物酢」です。
実は、この種の製品は、すし店ではシメものによく使われています。
ある名店では、コハダとサバを、ミツカンの「穀物酢」でシメていました。
赤酢や米酢よりも、キレのある軽い感じの仕上がりになります。
◆ 梅酢
隠し味のような感じでほんの少量、シャリ酢やネタ(タネ)を漬ける酢に加える店もあります。
私も、淡白なネタを酢に漬ける仕込み (クルマエビ、カスゴなど) をした時や、
シラウオやシバエビのおぼろの握りに使ったことがあります。
良い梅酢を使いましたが、どこの会社の製品だったかは不明です。m(_ _)m
◆ バルサミコ酢、リンゴ酢、ワインヴィネガー、シェリーヴィネガー等
私は使わなかったのですが、シャリやシメものに使っている店もあります。
◆ カンキツ類(レモン、すだち、かぼす、だいだい、ゆず等)
酢ではありませんが、カンキツ類はすし店でよく使われます。
ネタにふりかけたり、シメものの漬け酢に加えたりします。
◆ ポン酢
ポン酢にも触れておきます。
ポン酢は、ネタ(タネ) ・ 好み ・ 時期 ・ 気分に合わせて、ご自分で作ることをオススメしますが、
そこまでやる気はないという方もいらっしゃると思います。
その場合は、市販の普通のポン酢に調味料やカンキツ果汁等を加えてから1日以上置くか、
市販のフグ用ポン酢を使うと良いと思います。
私は若い頃から現在に至るまで、自宅でも自家製のポン酢を使っていて、
市販のポン酢については全く詳しくないのですが、
築地場内の仲卸し ・ 築地場外の調味料等を扱う店 ・ 築地以外の都内の市場 ・ デパートなどに置かれている、
下関 (山口)のある会社が製造しているフグ用のポン酢を、オニオコゼの薄造りや握りで使ったことがあります。
築地通いをする以前、仕入先だった上物を扱う地元の鮮魚店にそのポン酢があり、
興味深く見ていたら1本くださったわけです。
使われているかんきつ類はだいだい果汁だけで、
醤油 ・ カツオ節エキス ・ その他諸々のものが使われているのですが、
口に入れた瞬間、「あっ!これは飲食店で刺身や鍋物用によく使われているポン酢だ!」と思いました。
すし ・ フグ料理 ・ 日本料理の高級店では自店でポン酢を作りますが、
東京の高級店以外の飲食店では、そのポン酢をそのまま使っているところが、かなりあると思います。
特にオススメというわけではありませんが、
市販のごく一般的なポン酢(私はミツカンの「味ぽん」くらいしか知りませんが)よりはずっと、
オニオコゼやフグなどの淡白な白身に向いていると思いました。
徹底的にこだわって、あなたの理想とするすしに適したものを、あなた自身の味覚を頼りに選んでいただきたいと思います。
業務用の酢も、今はネット通販で広く扱われていますので、簡単に入手できます。(オススメではありませんが)
1.赤酢(粕酢)
酒粕を発酵させてつくった粕酢。濃い色と独特のコクと香りが特徴です。
アルコールなどの副原料を使った軽めのものが、すし店ではよく使われています。
江戸時代に、酒粕から酢が出来ることをミツカンが発見し、ミツカンの赤酢と共に江戸前のすしが発展していったそうです。
現在は、江戸前の店でも米酢を使う店が多いですが、赤酢にこだわる名店も数多くあります。
また、シャリには米酢を使っても、シメものには赤酢を使う名店もあります。
私は、赤酢をそのまま又は米酢とブレンドして使っていた時期もあるのですが、
自分の理想にかなう米酢を見つけてからは全く使わなくなってしまいました。
赤酢は、魚のクセを取り除く力が、米酢よりも弱いと思います。
シメものに使う場合は、塩と酢の時間を長めにした方が良いでしょう。
東京の店でよく使われている赤酢は、ミツカンとヨコ井(横井醸造)のものです。
他にも赤酢をつくっている会社はあるのですが、使ったことがありません。
以下、ミツカンとヨコ井の主な赤酢を紹介します。
(あくまでも私が使用していた当時のことを書いています。)
◆ ミツカンの製品
・ 三ッ判山吹
これぞ赤酢、という感じの濃厚な純粕酢。
これでシャリをつくるとはっきりと色がつきます。
大容量の容器に入ったものはなく、すし店ではあまり使われていないようです。
・ 優選
副原料使用。軽め。
私の知る限り、ミツカンの赤酢を使う東京の名店でシャリに一番よく使われているのがこの製品です。
・ 特醸優選
副原料使用。「優選」よりも軽め。
「優選」に次いで、ミツカンの赤酢を使う東京の名店でシャリによく使われている製品です。
・ 山吹
副原料使用。米酢とのブレンド。
「三ッ判山吹」とは異なります。
ミツカンの副原料使用の赤酢の中では一番濃厚で高価です。
シャリやシメものに、この製品を使う名店もあります。
・ 富貴
副原料使用。軽い。安価。
シャリよりも、シメものに使う店が多いようです。
◆ ヨコ井の製品
・ 純粕酢 與兵衛
私が赤酢を使っていた頃、この純粕酢はありませんでした。
使ったことはありませんが、これでシャリをつくるとはっきりと色がつくようですので、濃厚だと思います。
下記の「粕酢の與兵衛」を使っていた店では、今はこの製品と他の製品をブレンドして使っているのではないかと思います。
・ 江戸丹念酢
今は販売されていませんが、当時ヨコ井が販売していた唯一の純粕酢で、家庭用の小さなビンに入っていました。
ミツカンの「三ッ判山吹」と比べると、軽く上品な感じで、シャリに使ってもほとんど色は付きませんでした。
吟醸酒の酒粕からつくられていたようです。
・ 粕酢の與兵衛 (製品名は間違っているかもしれませんが、“與兵衛”の文字は使われていました。)
副原料使用。軽め。
当時、ヨコ井の業務用赤酢の最高級品でした。
私の知る限り、当時ヨコ井の赤酢を使う東京の名店でシャリに一番よく使われていたのはこの製品です。
今は販売されていないようです。
・ 珠玉
副原料使用。
使ったことはありません。軽めだと思います。
・ 琥珀
副原料使用。
こちらも使ったことはありません。軽めだと思います。
2.米酢(白酢)
おなじみの米からつくられた酢。
アルコールなどの副原料を使った軽めのものが、すし店ではよく使われています。
東京のすし店でよく使われている米酢は、赤酢と同じくミツカンとヨコ井(横井醸造)のものです。
私は、赤酢よりも米酢の方が好みなので、ミツカンとヨコ井以外にも数多くの米酢を試しました。
日本には米酢をつくっている会社はたくさんあるのです。
造りの良い、様々な(コクがありまろやか、軽くまろやか、コクがあり酸味が強い、軽く酸味が強い等)
自分の理想にかなう米酢をいくつか見つけ、それらをブレンドしたり単独で使ったりしているうちに、
ミツカンとヨコ井の製品は、時々シメものに使う以外使わなくなってしまいました。
私がそうであったように、使う酢を真剣に見直しているすし職人もけっこういますし、
今後はますます増えてくるのではないかと思います。
以下、ミツカンとヨコ井の主な米酢の紹介、ならびに私が最終的に選んだ米酢について書きます。
(あくまでも私が使用していた当時のことを書いています。)
◆ ミツカンの製品
・ 白菊
副原料使用。軽め。
私の知る限り、ミツカンの米酢を使う東京の名店でシャリに一番よく使われているのがこの製品です。
・ 末広
副原料使用。軽い。安価。
シャリよりも、シメものに使う店が多いようです。
◆ ヨコ井の製品
・ 白寿
副原料使用。軽め。
私の知る限り、ヨコ井の米酢を使う東京の名店でシャリに一番よく使われているのがこの製品です。
・ 金将
副原料使用。
使ったことはありません。軽めだと思います。
・ 水仙
副原料使用。
こちらも使ったことはありません。軽めだと思います。
◆ 私が最終的に選んだ米酢
コクがあり酸味がまろやかなタイプで私が愛用していた米酢は、「純米富士酢」(飯尾醸造)に似た純米酢でしたが、
どこの会社の製品だったか、ネット上で調べても分かりません。m(_ _)m
軽く酸味がまろやかなタイプで私が愛用していた米酢は、一つは米と酒粕のみでつくられた千鳥酢(村山造酢)、
もう一つは、米のみ又は米と酒粕のみでつくられたものですが、どこの会社の製品だったか不明です。m(_ _)m
コクがあり酸味が強いタイプ、ならびに軽く酸味が強いタイプで私が愛用していた米酢は、
米のみ又は米と酒粕のみでつくられたものでしたが、
どこの会社の製品だったか共に不明です。m(_ _)m m(_ _)m
3.その他の酢
◆ いわゆる穀物酢
既に述べた酢の中にも、分類上は穀物酢に該当するものもあるのですが、
ここでは、スーパーなどでよく見かける穀物酢を意味しています。
代表的なのは、どこのスーパーでも扱っているミツカンの「穀物酢」です。
実は、この種の製品は、すし店ではシメものによく使われています。
ある名店では、コハダとサバを、ミツカンの「穀物酢」でシメていました。
赤酢や米酢よりも、キレのある軽い感じの仕上がりになります。
◆ 梅酢
隠し味のような感じでほんの少量、シャリ酢やネタ(タネ)を漬ける酢に加える店もあります。
私も、淡白なネタを酢に漬ける仕込み (クルマエビ、カスゴなど) をした時や、
シラウオやシバエビのおぼろの握りに使ったことがあります。
良い梅酢を使いましたが、どこの会社の製品だったかは不明です。m(_ _)m
◆ バルサミコ酢、リンゴ酢、ワインヴィネガー、シェリーヴィネガー等
私は使わなかったのですが、シャリやシメものに使っている店もあります。
◆ カンキツ類(レモン、すだち、かぼす、だいだい、ゆず等)
酢ではありませんが、カンキツ類はすし店でよく使われます。
ネタにふりかけたり、シメものの漬け酢に加えたりします。
◆ ポン酢
ポン酢にも触れておきます。
ポン酢は、ネタ(タネ) ・ 好み ・ 時期 ・ 気分に合わせて、ご自分で作ることをオススメしますが、
そこまでやる気はないという方もいらっしゃると思います。
その場合は、市販の普通のポン酢に調味料やカンキツ果汁等を加えてから1日以上置くか、
市販のフグ用ポン酢を使うと良いと思います。
私は若い頃から現在に至るまで、自宅でも自家製のポン酢を使っていて、
市販のポン酢については全く詳しくないのですが、
築地場内の仲卸し ・ 築地場外の調味料等を扱う店 ・ 築地以外の都内の市場 ・ デパートなどに置かれている、
下関 (山口)のある会社が製造しているフグ用のポン酢を、オニオコゼの薄造りや握りで使ったことがあります。
築地通いをする以前、仕入先だった上物を扱う地元の鮮魚店にそのポン酢があり、
興味深く見ていたら1本くださったわけです。
使われているかんきつ類はだいだい果汁だけで、
醤油 ・ カツオ節エキス ・ その他諸々のものが使われているのですが、
口に入れた瞬間、「あっ!これは飲食店で刺身や鍋物用によく使われているポン酢だ!」と思いました。
すし ・ フグ料理 ・ 日本料理の高級店では自店でポン酢を作りますが、
東京の高級店以外の飲食店では、そのポン酢をそのまま使っているところが、かなりあると思います。
特にオススメというわけではありませんが、
市販のごく一般的なポン酢(私はミツカンの「味ぽん」くらいしか知りませんが)よりはずっと、
オニオコゼやフグなどの淡白な白身に向いていると思いました。