シャコ (蝦蛄), レシピ syako recipe edomae
Mar 21, 2015 18:37:27 GMT 9
Post by 管理人 on Mar 21, 2015 18:37:27 GMT 9
子供の頃から、東京湾の小柴沖(横浜市金沢区)で釣りをしていると、よくシャコが釣れました。
小柴沖とその周辺は、質の良い魚介類が獲れる漁場で、クルマエビ ・ アナゴなどが特に知られていますが、
小柴と云えばなんといってもシャコが有名で、
東京の一定レベル以上のすし店のほとんどが、小柴のシャコを使っていたと思います。
小柴のシャコ漁は、漁獲量が激減したため長いこと全面禁漁になってしまい、
最近は漁はあるもののかなり制限があるようで、入手が難しくなってしまったようです。
また再びシャコがたくさん獲れるようになることを願います。
シャコは小さいので、品数を増やすのに最適です。
しかも父の大好物だったので、小柴のシャコの入荷があれば、時期を問わず良いものを選別して必ず仕入れました。
爪(ツメ)と呼ばれる捕脚(前脚)の身肉も父の大好物だったので、よく仕入れました。
私が築地通いをしていた最後の頃は、小柴のシャコの入荷がゼロになり、その後全面禁漁となってしまったのですが。
1.仕入れ(築地場内)
入荷の多いのは春と秋。
築地場内でシャコといえば、小柴をはじめほとんどが産地で加工(塩茹で・殻剥き)されたものでした。
瀬戸内海産などの活け物を扱う仲卸しもありましたが、私もすしの名店も狙うは小柴のシャコ。
小柴のシャコは、港に着くと直ちに各漁師の加工場で塩茹で・殻剥きされるのですが、その加工技術も高く評価されています。
築地場内に並ぶ小柴のシャコの全てが産地加工されたものでしたが、それにもかかわらず、評価はズバ抜けていました。
私は、小柴沖で釣ったシャコを当日に茹でたてで食べる美味しさを知っていますが、
それには及ばないものの、前日加工の小柴のシャコはとても美味しかったです。
ともかく、私の中で小柴のシャコは絶対的なものです。
市場の活けのシャコを塩茹でするとどうなるのか、
つまり漁獲から塩茹でまで長時間生かした場合、シャコはどの程度味を落とすのかは、経験がないため分かりません。
いくつかのすしの名店で、小柴ではない産地の活けのシャコを店で塩茹でしたものを食べたことはありますが、
いずれも小柴産の前日加工品に比べると味も香りも大分劣り、
店側でもそのことは自覚していました。(小柴のシャコは禁漁でした。)
シャコ自体の質の差なのか、長時間生かされている間に味を落としたのか、塩茹での方法が悪いのかは不明です。
どの時期に獲れたシャコを特別に美味しいと感じるかは人それぞれで、
小柴のシャコでその時期を分類すると、概ね以下のようになるかと思います。
a. 抱卵に備えて身を充実させた真冬
b. 縦長で少し硬い卵の入った(「カツブシ入り」と称される)早春から晩春
c. 卵がパンパンに入った晩春から初夏
d. 脱皮に備えて身を充実させた晩秋
・身の美味しさを重視するならば、産卵・脱皮の直後と c の卵がパンパンになったものは避けた方がいいです。
・b と c の時期でも、卵の入っていないシャコもあります。
・値段と希少さという点では、c の卵がパンパンになったものが一番上です。
・いずれの場合も大きいものほど高値がつきます。
・爪は希少で、値段は身よりも上です。
2.仕込み
東京のすし店で一番多いのが塩茹で(産地加工又は自店での加工)です。
産地加工品の場合、短時間蒸したり、あぶったりする店もありますが、それで美味しくなるわけではなく、むしろ不味くなります。
最大の目的は、念のための殺菌でしょう。
握って、醤油 ・ 煮切り醤油 ・ 塩 ・ 煮ツメ(アナゴの煮汁で作ったものがほとんど)のいずれかで食べるのが一般的で、
海苔で帯する店もあります。
ワサビを挟むか挟まないかは店によりマチマチですが、煮ツメをつける場合は挟まない方が多いと思います。
すし店では、普通尾を切り落として形を整えてから握ります。
握りやすくするためにシャコを押しつぶす店がよくありますが (-_-)
そのまま握れないのならシャリと接する面に包丁を入れる程度にしてほしいものです。
爪は、軍艦巻にされることが多いです。
江戸前の伝統的な仕込みは「漬け込み」で、
水 ・ 白ザラメ(又は砂糖) ・ ミリン(日本酒を使う店もあり) ・ 醤油などで作った薄めの煮汁に、
塩茹で済みのシャコの身(多くは産地加工品)を漬け込むものです。
沸かした煮汁にシャコを入れて軽く火を通し、火を止めてからそのまま漬け込む店と、
煮汁を冷ましてから漬け込む店とがあります。
握って、そのまま又は煮ツメをつけて供されます。
煮汁に甘味を加えない店や、煮汁の代わりに、カツオと昆布でとったダシに塩を加えて漬け込む店もあります。
漬け込むと、塩茹でしただけのものよりもシャリとの相性は良くなります。
また、卵がパンパンになったシャコの場合、
落ちてしまった身の味を補うことができ、同時に卵に味をしみ込ませることもできます。
でも、私は漬け込みのシャコが好きではありません。
自分が美味しいと思えないものを家族に食べさせたいとは思わなかったので、シャコを漬け込むことはありませんでした。
やはり、塩茹でしたものが一番だと思います。(ただし、すしにはしませんでした。)
【レシピ】 (塩茹で)
私が食べた最高のシャコは、小柴沖で釣ったその日に、生きたまま家で塩茹でしたものです。
子供の頃から数えきれないほど何度も食べましたが、甘味と香りの濃さは格別です。
私が働いていた日本料理店ではシャコは使いませんでしたし、
築地通いをする前から産地加工された小柴のシャコばかり仕入れていましたので、
自分で塩茹でしたのは、若い頃に父と二人で釣った時だけです。
子供の頃は、父か母が塩茹でしていましたが、
塩茹での方法は、昔父が柴漁港か金沢八景の船宿で教えていただいたそうです。
私もそのやり方を踏襲しましたが、我が家流になっているところもあるかと思います。
ずいぶん昔のことなので、ちょっと記憶があいまいです(汗)
気をつけなければいけないことは、以下の通り。
・シャコは自己消化が極めて早いため、生きたシャコでなければ、茹でるとフニャフニャになってしまう。
(当日釣ったものでも、死んだものはフニャフニャになる。)
・身にはきちんと火を通した方が美味しい。
・茹ですぎると味が抜ける。
・半生で茹で上げると殻が剥きにくい。
(塩茹で)
①大きな鍋に水をたっぷりと入れて強火で沸騰させ、海水よりも少し塩分が薄いくらいになるよう塩を加えてかき混ぜます。
②強火にしたまま、生きたシャコを、大きなものから鍋に入れます。
一度に多量のシャコを入れて湯の温度を急激に下げてしまうと、美味しく出来上がりませんのでご注意ください。
アクが出てきたら取ってください。(この後も)
③再度沸騰してきたら火を弱めます。
④シャコが浮いたらザルに上げます。
シャコ投入からザル上げまでの時間は、
火力・水の量・シャコの量・シャコの大きさなどにより異なりますが、そんなに長い時間ではありません。
せいぜい4~5分程度です。
⑤殻が剥ける程度に冷めたら、殻を剥きます。
⑥食します。(茹でたカニ同様、温かすぎず、冷めすぎない温度が一番美味しいと思います。)
※爪をより美味しく食べたければ、捕脚だけ先に茹で上げる(切り離す)と良いでしょう。
胴の身と同じ時間茹でると、若干茹ですぎになってしまいます。
(殻剥き)
①ハサミで頭を付け根から切り落とします。
②身が無駄にならないよう、ハサミで尾をV字型に切ります。
③両サイド(脇腹)のカラをハサミで切ります。(大胆に切らないと殻がきれいにはがせない)
④腹側の殻を尾側から手ではがします。
⑤背側の殻を尾側から手ではがします。
⑥爪肉を取り出します。
・頭から左右2本の捕脚 (前脚) を切り外します。
捕脚は関節を境に、カマキリのカマのような部分と、胴体に近い方の二の腕のような部分から成ります。
この二の腕のような部分の身肉が珍重されるシャコの爪です。
・二の腕の部分を持ち、反対側の手でカマをスーっと引き抜くと、カマに二の腕側のスジが一緒に付いてきます。
・スジが抜けた二の腕の身肉を取り出しやすいように、カマと接していた関節部分に指で切れ目を入れ、
軽く押し出すようにしてそこから身を取り出します。
※カマキリのカマのような部分の身肉も美味しく食べられます。
、
3.供し方
上述の通り、私はすしにはしませんでした。
塩茹でのシャコは、シャリと合わせるよりも、そのまま食べるのが一番だと思います。
身は包丁で切らずに丸ごと、爪はケチケチせずに一度にガバッと食べると、より一層美味しく感じられます。
小柴で加工されたものや、上記の茹で方ならば、ほどよく塩が効いていますので、何もつけなくても大丈夫です。
好みで塩 ・ ワサビ ・ 醤油 ・ 酢醤油などを使ってもOKです。
小柴沖とその周辺は、質の良い魚介類が獲れる漁場で、クルマエビ ・ アナゴなどが特に知られていますが、
小柴と云えばなんといってもシャコが有名で、
東京の一定レベル以上のすし店のほとんどが、小柴のシャコを使っていたと思います。
小柴のシャコ漁は、漁獲量が激減したため長いこと全面禁漁になってしまい、
最近は漁はあるもののかなり制限があるようで、入手が難しくなってしまったようです。
また再びシャコがたくさん獲れるようになることを願います。
シャコは小さいので、品数を増やすのに最適です。
しかも父の大好物だったので、小柴のシャコの入荷があれば、時期を問わず良いものを選別して必ず仕入れました。
爪(ツメ)と呼ばれる捕脚(前脚)の身肉も父の大好物だったので、よく仕入れました。
私が築地通いをしていた最後の頃は、小柴のシャコの入荷がゼロになり、その後全面禁漁となってしまったのですが。
1.仕入れ(築地場内)
入荷の多いのは春と秋。
築地場内でシャコといえば、小柴をはじめほとんどが産地で加工(塩茹で・殻剥き)されたものでした。
瀬戸内海産などの活け物を扱う仲卸しもありましたが、私もすしの名店も狙うは小柴のシャコ。
小柴のシャコは、港に着くと直ちに各漁師の加工場で塩茹で・殻剥きされるのですが、その加工技術も高く評価されています。
築地場内に並ぶ小柴のシャコの全てが産地加工されたものでしたが、それにもかかわらず、評価はズバ抜けていました。
私は、小柴沖で釣ったシャコを当日に茹でたてで食べる美味しさを知っていますが、
それには及ばないものの、前日加工の小柴のシャコはとても美味しかったです。
ともかく、私の中で小柴のシャコは絶対的なものです。
市場の活けのシャコを塩茹でするとどうなるのか、
つまり漁獲から塩茹でまで長時間生かした場合、シャコはどの程度味を落とすのかは、経験がないため分かりません。
いくつかのすしの名店で、小柴ではない産地の活けのシャコを店で塩茹でしたものを食べたことはありますが、
いずれも小柴産の前日加工品に比べると味も香りも大分劣り、
店側でもそのことは自覚していました。(小柴のシャコは禁漁でした。)
シャコ自体の質の差なのか、長時間生かされている間に味を落としたのか、塩茹での方法が悪いのかは不明です。
どの時期に獲れたシャコを特別に美味しいと感じるかは人それぞれで、
小柴のシャコでその時期を分類すると、概ね以下のようになるかと思います。
a. 抱卵に備えて身を充実させた真冬
b. 縦長で少し硬い卵の入った(「カツブシ入り」と称される)早春から晩春
c. 卵がパンパンに入った晩春から初夏
d. 脱皮に備えて身を充実させた晩秋
・身の美味しさを重視するならば、産卵・脱皮の直後と c の卵がパンパンになったものは避けた方がいいです。
・b と c の時期でも、卵の入っていないシャコもあります。
・値段と希少さという点では、c の卵がパンパンになったものが一番上です。
・いずれの場合も大きいものほど高値がつきます。
・爪は希少で、値段は身よりも上です。
2.仕込み
東京のすし店で一番多いのが塩茹で(産地加工又は自店での加工)です。
産地加工品の場合、短時間蒸したり、あぶったりする店もありますが、それで美味しくなるわけではなく、むしろ不味くなります。
最大の目的は、念のための殺菌でしょう。
握って、醤油 ・ 煮切り醤油 ・ 塩 ・ 煮ツメ(アナゴの煮汁で作ったものがほとんど)のいずれかで食べるのが一般的で、
海苔で帯する店もあります。
ワサビを挟むか挟まないかは店によりマチマチですが、煮ツメをつける場合は挟まない方が多いと思います。
すし店では、普通尾を切り落として形を整えてから握ります。
握りやすくするためにシャコを押しつぶす店がよくありますが (-_-)
そのまま握れないのならシャリと接する面に包丁を入れる程度にしてほしいものです。
爪は、軍艦巻にされることが多いです。
江戸前の伝統的な仕込みは「漬け込み」で、
水 ・ 白ザラメ(又は砂糖) ・ ミリン(日本酒を使う店もあり) ・ 醤油などで作った薄めの煮汁に、
塩茹で済みのシャコの身(多くは産地加工品)を漬け込むものです。
沸かした煮汁にシャコを入れて軽く火を通し、火を止めてからそのまま漬け込む店と、
煮汁を冷ましてから漬け込む店とがあります。
握って、そのまま又は煮ツメをつけて供されます。
煮汁に甘味を加えない店や、煮汁の代わりに、カツオと昆布でとったダシに塩を加えて漬け込む店もあります。
漬け込むと、塩茹でしただけのものよりもシャリとの相性は良くなります。
また、卵がパンパンになったシャコの場合、
落ちてしまった身の味を補うことができ、同時に卵に味をしみ込ませることもできます。
でも、私は漬け込みのシャコが好きではありません。
自分が美味しいと思えないものを家族に食べさせたいとは思わなかったので、シャコを漬け込むことはありませんでした。
やはり、塩茹でしたものが一番だと思います。(ただし、すしにはしませんでした。)
【レシピ】 (塩茹で)
私が食べた最高のシャコは、小柴沖で釣ったその日に、生きたまま家で塩茹でしたものです。
子供の頃から数えきれないほど何度も食べましたが、甘味と香りの濃さは格別です。
私が働いていた日本料理店ではシャコは使いませんでしたし、
築地通いをする前から産地加工された小柴のシャコばかり仕入れていましたので、
自分で塩茹でしたのは、若い頃に父と二人で釣った時だけです。
子供の頃は、父か母が塩茹でしていましたが、
塩茹での方法は、昔父が柴漁港か金沢八景の船宿で教えていただいたそうです。
私もそのやり方を踏襲しましたが、我が家流になっているところもあるかと思います。
ずいぶん昔のことなので、ちょっと記憶があいまいです(汗)
気をつけなければいけないことは、以下の通り。
・シャコは自己消化が極めて早いため、生きたシャコでなければ、茹でるとフニャフニャになってしまう。
(当日釣ったものでも、死んだものはフニャフニャになる。)
・身にはきちんと火を通した方が美味しい。
・茹ですぎると味が抜ける。
・半生で茹で上げると殻が剥きにくい。
(塩茹で)
①大きな鍋に水をたっぷりと入れて強火で沸騰させ、海水よりも少し塩分が薄いくらいになるよう塩を加えてかき混ぜます。
②強火にしたまま、生きたシャコを、大きなものから鍋に入れます。
一度に多量のシャコを入れて湯の温度を急激に下げてしまうと、美味しく出来上がりませんのでご注意ください。
アクが出てきたら取ってください。(この後も)
③再度沸騰してきたら火を弱めます。
④シャコが浮いたらザルに上げます。
シャコ投入からザル上げまでの時間は、
火力・水の量・シャコの量・シャコの大きさなどにより異なりますが、そんなに長い時間ではありません。
せいぜい4~5分程度です。
⑤殻が剥ける程度に冷めたら、殻を剥きます。
⑥食します。(茹でたカニ同様、温かすぎず、冷めすぎない温度が一番美味しいと思います。)
※爪をより美味しく食べたければ、捕脚だけ先に茹で上げる(切り離す)と良いでしょう。
胴の身と同じ時間茹でると、若干茹ですぎになってしまいます。
(殻剥き)
①ハサミで頭を付け根から切り落とします。
②身が無駄にならないよう、ハサミで尾をV字型に切ります。
③両サイド(脇腹)のカラをハサミで切ります。(大胆に切らないと殻がきれいにはがせない)
④腹側の殻を尾側から手ではがします。
⑤背側の殻を尾側から手ではがします。
⑥爪肉を取り出します。
・頭から左右2本の捕脚 (前脚) を切り外します。
捕脚は関節を境に、カマキリのカマのような部分と、胴体に近い方の二の腕のような部分から成ります。
この二の腕のような部分の身肉が珍重されるシャコの爪です。
・二の腕の部分を持ち、反対側の手でカマをスーっと引き抜くと、カマに二の腕側のスジが一緒に付いてきます。
・スジが抜けた二の腕の身肉を取り出しやすいように、カマと接していた関節部分に指で切れ目を入れ、
軽く押し出すようにしてそこから身を取り出します。
※カマキリのカマのような部分の身肉も美味しく食べられます。
、
3.供し方
上述の通り、私はすしにはしませんでした。
塩茹でのシャコは、シャリと合わせるよりも、そのまま食べるのが一番だと思います。
身は包丁で切らずに丸ごと、爪はケチケチせずに一度にガバッと食べると、より一層美味しく感じられます。
小柴で加工されたものや、上記の茹で方ならば、ほどよく塩が効いていますので、何もつけなくても大丈夫です。
好みで塩 ・ ワサビ ・ 醤油 ・ 酢醤油などを使ってもOKです。