握り方 ・ 巻き方, レシピ recipe edomae nigirikata makikata
Dec 26, 2014 19:11:45 GMT 9
Post by 管理人 on Dec 26, 2014 19:11:45 GMT 9
1.握り ・ 巻き物に関して特に大切にしたこと
①ネタ (タネ) とシャリの量的バランス
それぞれのネタとシャリを味覚上最適な量で合わせます。見かけ上ではなく味覚上のバランスです。
②ネタとシャリの最適な温度
ネタにはそれぞれ最適な温度があります。
シャリは基本的には人肌の温度。ただし、少し高め又は低めの方が合う場合もあります。
③シャリとネタの一体感
シャリとネタがバラバラではなく、きちっと密着して一体感がなければ、すしらしさに欠けます。
④シャリに空気を含め、フワっとした食感にすること。ただし、手や箸で持った時に崩れないこと。
⑤見た目の美しさ
包丁の技術も大切です。
⑥用いる手酢とその使い方
手酢: 握り・巻き物をつくる前に手指につける、酢を同割程度の水で薄めたもの、又は100%の酢。
手指にシャリがつくのを防ぐだけでなく、消毒と消臭の効果がある。
・手酢には、軽く酸味のまろやかな酢又はシャリに用いた酢をミネラルウォーターで同割にしたものを用いる。
・一度に手指につける手酢の量は必要最小限とする。
・ネタ (タネ) を替える時は、必ず手酢をつけてネタの匂いを消す。
手酢は味をつけるためのものではありませんが、手指につけて握る以上すしの味に影響を与えます。
この影響は最小限にした方が良いと思います。
名人と謳われる有名な方がすしを握っている時の手指の写真を本で見てびっくり。
手酢でびしょびしょになっていました。
その方のすしを食べたことがありますが、手酢でびしょびしょの手指で手数多く握る悪影響がはっきりと出ていました。
⑦手数少なく素早く仕上げること
手酢のすしへの影響を小さくすることにもなります。
⑧まめに手指を洗う
いくら手酢でネタの匂いを消しても、手指には酢とネタの混じった匂いがついていきますので、
まめに手指を洗う必要があります。
⑨シャリと手指の温度を同じくらいに保つこと
温度差があると手指にシャリが付きやすくなります。
2.握り方
専門書で見た、若い頃から天才として知られたある有名な職人の少し小ぶりな握りを手本にしました。
(その方のすしを何度か食べに行きました。私とは違う握り方で手数が多く、写真ほど美しい握りではなかったのですが、
左手の使い方や包丁技など、とても参考になりました。)
握り方にはいくつかあり全て試しましたが、
手数が少なくネタと手指との接触が少なくて済む「小手返し」と「縦返し」 (握りにくいネタの時) を採用しました。
「小手返し」は、現代の江戸前のすし職人の間で最も多く用いられている握り方だと思います。
握りの形もいくつかありますが、食感も見た目も良い地紙型 (扇子を広げた時の紙の形) としました。
いずれの場合も外側だけを固めるようなイメージでフワッと握ってください。
指の跡が残るようでは美しい握りとは言えません。
私は、ティッシュペーパーを丸めてセロテープで巻いたものなどを常に携帯し、練習していました。
捨てシャリはせず、一発でシャリの量を決めることにもこだわりました。
◆小手返し 三手 (右利きで説明)
小手返しにも色々とあります。下記はあくまでも一例です。
慣れてきてからは二手でも握りました。(二手の場合は下記と若干異なる握り方をしました。)
①右手の中指の第一関節に手酢をつけ、左手に「の」の字を書くように広げながら左右の手指に広げます。
②おひつの中のシャリを右手でふわりと空気を含ませて少し細長く丸めつつ、
左手の人差し指と親指でネタの端をつまむようにとります。シャリはネタに最適な量とします。
③そのまま左手の手のひらを上に向け、人差し指の第二間接から小指にかけて縦にネタを置きつつ、
右手人差し指で適量のワサビをとります。
④ネタの中央にワサビをつけます。
⑤右手でネタの上にシャリを置き、左手の親指でシャリの真ん中を押します。
この後の手順でシャリの両端の形が整えられないネタの場合は、
左手の親指でシャリを押している時に、右手の人差し指と親指でシャリの両端を軽く押して形をつけます。
⑥右手人差し指と中指でシャリを軽く均等に押します (一手目)。
この時、左手の他の指は全体を包むように右手中指に添えます。
⑦左手の指を伸ばしその反動でシャリを指先の方へ転がしネタを上にします。
転がせなければ左手の親指ではじいて転がしてください。
⑧右手中指と親指で両脇をはさみ、ネタがシャリを包むようにして形を決めつつ元の位置に戻します。
左手の親指は軽くネタの上に添えます。
⑨右手人差し指と中指でネタを軽く均等に押しながら左手全体も使って握ります(二手目)。
この時、左手の親指でシャリの端を軽く押さえ形を決めます。左手の他の指は全体を包むように右手中指に添えます。
⑩右手人差し指と親指ですしを時計回りに180度回転させ、右手中指と親指で両脇をはさみ、
ネタがシャリを包むようにして両脇の形を決めます。左手の親指は軽くネタの上に添えます。
⑪右手人差し指と中指でシャリを軽く均等に押しながら左手全体も使って握ります(三手目)。
この時、左手の親指でシャリの端を軽く押さえ形を決めます。左手の他の指は右手中指に添えます。
右手人差し指と中指は、最後は第二間接を少し曲げ、全体を包むように軽く締めます。
◆縦返し (右利きで説明)
握りにくい (小手返しの⑦で横に転がしにくい) ネタの時に便利です。
小手返しの⑥の後、左親指でシャリを軽く押さえながら、
左手の甲を上にし、ネタが上になった状態で右手の人差し指と親指で受け、
さらに、右手の下で、手のひらを上に向けた左手の人差し指から小指にかけて移し、
右手人差し指と親指でネタがシャリを包むようにして形を決めます。左手の親指は軽くネタの上に添えます。
以降は小手返し (⑨~) と同じです。
3.巻き物
細巻と軍艦巻を説明します。(太巻・中巻・手巻は作りませんでした。)
海苔は紀州備長炭で直前に焼くことにこだわりました。(もちろん、焼き海苔でも美味しくできます。)
◆細巻 (右利きで説明)
シャリとシャリの間に均一に空気を入れ、ネタはど真ん中になるよう、美しく仕上げてください。
かんぴょう巻は丸く巻き三等分又は四等分にしてネタを横向きに置き、
その他は、四角っぽくパン型に巻き六等分し切り口を上に置くのが江戸前の流儀です。
(おぼろ巻は四等分してネタを横向きに置くことも多い。)
共に美味しく食べられる大きさだと思います。
(例)細巻用の巻き簾で鉄火巻をつくる場合
①適切な量のマグロを、鉄火巻の芯用にきれいに切り付けておきます。
②巻き簾の表を上、ひもを向こうにし、半分に切った海苔を裏表にして巻き簾の上に横長に置きます。
横位置は真ん中、縦位置は巻き簾の一番手前の竹一本分くらい(5mmくらい)を空けたあたりに
海苔の手前側の端が来るように。
③手酢をつけます。
④適切な量のシャリを右手でおひつから取り、ふわりと空気を含ませながら横長に丸めます。
⑤シャリを海苔の左端、真ん中よりやや上に置き、左手で左端を支えながら右の指先でシャリを右に広げ、
右端の方は右手で右端を支えながら左の指先で広げます。きれいに広げてください。
シャリの向こうは、海苔が1~1.5cmくらい均一の幅で残るようにします。(最初にシャリを置く位置が大事です。)
⑥今度はシャリを手前に広げていきます。シャリをつぶさないよう気を付けてください。
左手で左端を支えながら右手指先で左の方を、次に両手指先で中のあたりを、
最後に右手で右端を支えながら左手指先でシャリを手前にきれいに広げていきます。
シャリの手前は、海苔が0.5~1cmくらい均一の幅で残るようにします。
シャリの左右は端まできっちりと、上下は上記の幅を残しまっすぐに、シャリは全て均一の高さで揃っていればOKです。
⑦マグロを置く位置(シャリの真ん中)にワサビをつけ、マグロを置きます。
⑧海苔の位置を②に戻します。
⑨両手の親指以外の4本指でネタを押さえながら巻き簾を巻き込まないように一気に巻き、
軽く締めます(手前に少し引く)。
この時点では、まだ巻き終えていない海苔が少しだけあります。
⑩巻き簾を少し向こうに進める(巻く)と、少しだけ残っていた海苔も巻かれ、海苔の合わせ目が真下にきます。
⑪巻き簾の向こうを両手の中指で、手前を両手の親指で中央から左右の端に向けてさっさっと1~2回軽く撫でるようにし、
両手の中指と親指で両端を軽く支えながら、巻き簾の上を、伸ばした両手人差し指で軽く押さえます。
これで形が整います。
⑫巻き簾をはずし、両端を確認し整えます。
⑬包丁を拭き、出来上がった鉄火巻をまず2等分し、さらに並べて3等分して6つ切りとします。
柳刃包丁など片刃の包丁を使う場合は、少しだけ左側を切るようにするときちんと等分できます。
⑭切り口を上にして並べ、煮切り醤油をつけて供します。
◆軍艦巻 (右利きで説明)
ネタに必要な量のシャリを右手でフワッと丸めて形作り (さらに握って形を整える店も多い)、
切った海苔の端に一粒シャリをつけて巻き、そのシャリで端をとめ、右手人差し指でワサビをつけ、ネタを載せます。
①ネタ (タネ) とシャリの量的バランス
それぞれのネタとシャリを味覚上最適な量で合わせます。見かけ上ではなく味覚上のバランスです。
②ネタとシャリの最適な温度
ネタにはそれぞれ最適な温度があります。
シャリは基本的には人肌の温度。ただし、少し高め又は低めの方が合う場合もあります。
③シャリとネタの一体感
シャリとネタがバラバラではなく、きちっと密着して一体感がなければ、すしらしさに欠けます。
④シャリに空気を含め、フワっとした食感にすること。ただし、手や箸で持った時に崩れないこと。
⑤見た目の美しさ
包丁の技術も大切です。
⑥用いる手酢とその使い方
手酢: 握り・巻き物をつくる前に手指につける、酢を同割程度の水で薄めたもの、又は100%の酢。
手指にシャリがつくのを防ぐだけでなく、消毒と消臭の効果がある。
・手酢には、軽く酸味のまろやかな酢又はシャリに用いた酢をミネラルウォーターで同割にしたものを用いる。
・一度に手指につける手酢の量は必要最小限とする。
・ネタ (タネ) を替える時は、必ず手酢をつけてネタの匂いを消す。
手酢は味をつけるためのものではありませんが、手指につけて握る以上すしの味に影響を与えます。
この影響は最小限にした方が良いと思います。
名人と謳われる有名な方がすしを握っている時の手指の写真を本で見てびっくり。
手酢でびしょびしょになっていました。
その方のすしを食べたことがありますが、手酢でびしょびしょの手指で手数多く握る悪影響がはっきりと出ていました。
⑦手数少なく素早く仕上げること
手酢のすしへの影響を小さくすることにもなります。
⑧まめに手指を洗う
いくら手酢でネタの匂いを消しても、手指には酢とネタの混じった匂いがついていきますので、
まめに手指を洗う必要があります。
⑨シャリと手指の温度を同じくらいに保つこと
温度差があると手指にシャリが付きやすくなります。
2.握り方
専門書で見た、若い頃から天才として知られたある有名な職人の少し小ぶりな握りを手本にしました。
(その方のすしを何度か食べに行きました。私とは違う握り方で手数が多く、写真ほど美しい握りではなかったのですが、
左手の使い方や包丁技など、とても参考になりました。)
握り方にはいくつかあり全て試しましたが、
手数が少なくネタと手指との接触が少なくて済む「小手返し」と「縦返し」 (握りにくいネタの時) を採用しました。
「小手返し」は、現代の江戸前のすし職人の間で最も多く用いられている握り方だと思います。
握りの形もいくつかありますが、食感も見た目も良い地紙型 (扇子を広げた時の紙の形) としました。
いずれの場合も外側だけを固めるようなイメージでフワッと握ってください。
指の跡が残るようでは美しい握りとは言えません。
私は、ティッシュペーパーを丸めてセロテープで巻いたものなどを常に携帯し、練習していました。
捨てシャリはせず、一発でシャリの量を決めることにもこだわりました。
◆小手返し 三手 (右利きで説明)
小手返しにも色々とあります。下記はあくまでも一例です。
慣れてきてからは二手でも握りました。(二手の場合は下記と若干異なる握り方をしました。)
①右手の中指の第一関節に手酢をつけ、左手に「の」の字を書くように広げながら左右の手指に広げます。
②おひつの中のシャリを右手でふわりと空気を含ませて少し細長く丸めつつ、
左手の人差し指と親指でネタの端をつまむようにとります。シャリはネタに最適な量とします。
③そのまま左手の手のひらを上に向け、人差し指の第二間接から小指にかけて縦にネタを置きつつ、
右手人差し指で適量のワサビをとります。
④ネタの中央にワサビをつけます。
⑤右手でネタの上にシャリを置き、左手の親指でシャリの真ん中を押します。
この後の手順でシャリの両端の形が整えられないネタの場合は、
左手の親指でシャリを押している時に、右手の人差し指と親指でシャリの両端を軽く押して形をつけます。
⑥右手人差し指と中指でシャリを軽く均等に押します (一手目)。
この時、左手の他の指は全体を包むように右手中指に添えます。
⑦左手の指を伸ばしその反動でシャリを指先の方へ転がしネタを上にします。
転がせなければ左手の親指ではじいて転がしてください。
⑧右手中指と親指で両脇をはさみ、ネタがシャリを包むようにして形を決めつつ元の位置に戻します。
左手の親指は軽くネタの上に添えます。
⑨右手人差し指と中指でネタを軽く均等に押しながら左手全体も使って握ります(二手目)。
この時、左手の親指でシャリの端を軽く押さえ形を決めます。左手の他の指は全体を包むように右手中指に添えます。
⑩右手人差し指と親指ですしを時計回りに180度回転させ、右手中指と親指で両脇をはさみ、
ネタがシャリを包むようにして両脇の形を決めます。左手の親指は軽くネタの上に添えます。
⑪右手人差し指と中指でシャリを軽く均等に押しながら左手全体も使って握ります(三手目)。
この時、左手の親指でシャリの端を軽く押さえ形を決めます。左手の他の指は右手中指に添えます。
右手人差し指と中指は、最後は第二間接を少し曲げ、全体を包むように軽く締めます。
◆縦返し (右利きで説明)
握りにくい (小手返しの⑦で横に転がしにくい) ネタの時に便利です。
小手返しの⑥の後、左親指でシャリを軽く押さえながら、
左手の甲を上にし、ネタが上になった状態で右手の人差し指と親指で受け、
さらに、右手の下で、手のひらを上に向けた左手の人差し指から小指にかけて移し、
右手人差し指と親指でネタがシャリを包むようにして形を決めます。左手の親指は軽くネタの上に添えます。
以降は小手返し (⑨~) と同じです。
3.巻き物
細巻と軍艦巻を説明します。(太巻・中巻・手巻は作りませんでした。)
海苔は紀州備長炭で直前に焼くことにこだわりました。(もちろん、焼き海苔でも美味しくできます。)
◆細巻 (右利きで説明)
シャリとシャリの間に均一に空気を入れ、ネタはど真ん中になるよう、美しく仕上げてください。
かんぴょう巻は丸く巻き三等分又は四等分にしてネタを横向きに置き、
その他は、四角っぽくパン型に巻き六等分し切り口を上に置くのが江戸前の流儀です。
(おぼろ巻は四等分してネタを横向きに置くことも多い。)
共に美味しく食べられる大きさだと思います。
(例)細巻用の巻き簾で鉄火巻をつくる場合
①適切な量のマグロを、鉄火巻の芯用にきれいに切り付けておきます。
②巻き簾の表を上、ひもを向こうにし、半分に切った海苔を裏表にして巻き簾の上に横長に置きます。
横位置は真ん中、縦位置は巻き簾の一番手前の竹一本分くらい(5mmくらい)を空けたあたりに
海苔の手前側の端が来るように。
③手酢をつけます。
④適切な量のシャリを右手でおひつから取り、ふわりと空気を含ませながら横長に丸めます。
⑤シャリを海苔の左端、真ん中よりやや上に置き、左手で左端を支えながら右の指先でシャリを右に広げ、
右端の方は右手で右端を支えながら左の指先で広げます。きれいに広げてください。
シャリの向こうは、海苔が1~1.5cmくらい均一の幅で残るようにします。(最初にシャリを置く位置が大事です。)
⑥今度はシャリを手前に広げていきます。シャリをつぶさないよう気を付けてください。
左手で左端を支えながら右手指先で左の方を、次に両手指先で中のあたりを、
最後に右手で右端を支えながら左手指先でシャリを手前にきれいに広げていきます。
シャリの手前は、海苔が0.5~1cmくらい均一の幅で残るようにします。
シャリの左右は端まできっちりと、上下は上記の幅を残しまっすぐに、シャリは全て均一の高さで揃っていればOKです。
⑦マグロを置く位置(シャリの真ん中)にワサビをつけ、マグロを置きます。
⑧海苔の位置を②に戻します。
⑨両手の親指以外の4本指でネタを押さえながら巻き簾を巻き込まないように一気に巻き、
軽く締めます(手前に少し引く)。
この時点では、まだ巻き終えていない海苔が少しだけあります。
⑩巻き簾を少し向こうに進める(巻く)と、少しだけ残っていた海苔も巻かれ、海苔の合わせ目が真下にきます。
⑪巻き簾の向こうを両手の中指で、手前を両手の親指で中央から左右の端に向けてさっさっと1~2回軽く撫でるようにし、
両手の中指と親指で両端を軽く支えながら、巻き簾の上を、伸ばした両手人差し指で軽く押さえます。
これで形が整います。
⑫巻き簾をはずし、両端を確認し整えます。
⑬包丁を拭き、出来上がった鉄火巻をまず2等分し、さらに並べて3等分して6つ切りとします。
柳刃包丁など片刃の包丁を使う場合は、少しだけ左側を切るようにするときちんと等分できます。
⑭切り口を上にして並べ、煮切り醤油をつけて供します。
◆軍艦巻 (右利きで説明)
ネタに必要な量のシャリを右手でフワッと丸めて形作り (さらに握って形を整える店も多い)、
切った海苔の端に一粒シャリをつけて巻き、そのシャリで端をとめ、右手人差し指でワサビをつけ、ネタを載せます。