アラ, クエ, キンキ, クロムツ, キンメダイ ara kue kinki kuromutsu kinmedai
Sept 12, 2015 18:02:48 GMT 9
Post by 管理人 on Sept 12, 2015 18:02:48 GMT 9
深海性の白身魚には、脂と甘味が豊かで、すしに合うものが色々とあります。
既に述べたノドグロ(アカムツ)もその一つです。
このページでは、特に触れておきたい、その他の深海性の白身魚について書きます。
◆アラ (「魚」へんに「荒」)
標準和名と築地での呼称はアラ。
次に述べるクエとよく混同される魚です。
東京のすし店では滅多に見かけません。
太平洋側でも日本海側でも広い範囲に生息するものの、上物(=大型)が漁獲されるのは九州くらいで、
長崎・五島列島あたりの釣り物が特に高く評価されます。
30キロくらいになるものもあるようですが、20キロ以上は稀で、10キロ代に良いものが多いようです。
実際に使えたのは16キロ以下のものでしたが、いずれも素晴らしいものでした。
築地場内で探したことはありませんが、稀に上物サイズの入荷があるという話は聞いたものの、
たまに見かけたのは1~2キロ程度の小さなものばかりでした。
その大きさでは使う意味がないと思うくらい、上物サイズとの質はかけ離れています。
ただし、大型のアラの漁場は限られており、漁獲量も極めて少ないため、
アラの上物を手に入れるのは、クエの上物を手に入れるのよりも難しいかもしれません。
私が使っていたのは料理人時代。
職場の同僚達と共同で、店と取引のあった九州の仲買から送っていただき、分け合いました。
すしにすることが目的ではありませんでしたが、すしにもとても合う美味しい魚です。
ただし、大きいので食べ頃になるまで日数を要します。
すしにする場合は、旨味成分が頂点に達するあたりまで寝かせ、
シンプルに皮を引いてワサビを挟んで握り、煮切り醤油をつけて供することが多かったです。
皮は他の料理に使いましたが、すしにしても美味しいでしょう。
旬は晩秋から真冬にかけてです。
◆クエ (九絵, 垢穢)
標準和名と築地での呼称はクエ。
主な消費地である博多や唐津など九州北西部では、
クエのことをアラと呼び、マスメディアも九州のクエをアラと紹介することが多いため、
上述のアラ(標準和名)と混同されがちです。
一般に、クエの方がアラ(標準和名)よりも遥かによく知られていると思います。
クエも、東京のすし店では滅多に見かけません。
上述のアラ (標準和名)よりもはるかに大きくなる魚ですが、活けの20キロ代に上物が多いようです。
伊豆諸島をはじめ太平洋側の深場でも大型のものが漁獲されますが、
五島列島、壱岐・対馬など玄界灘辺りの活けの釣りものが特に高く評価されます。
クエも築地場内で探したことはありませんが、上物サイズの入荷は稀だそうで、
3~4キロ程度の小さな野締めのものをたまに見かける程度でした。
伊豆諸島など近場で上物サイズが漁獲されたとしても、ほとんど九州や料理店に流れていくのでしょう。
上物の魚介類は相場の高い所に流れます。
クエもアラと同じく、料理人時代に職場の同僚達と共同で、
店と取引のあった九州の仲買から仕入れたこともありますが、
クエの上物はアラの上物よりも大きいため、持て余し気味で尚且つ金額もかさむため長続きせず、
築地通いをする以前にお世話になっていた、上物を扱う地元の鮮魚店が仕入先となりました。
その鮮魚店のご主人は、産地で活け締めされ直送された、
玄界灘辺りで漁獲された主に20キロ代の上物を、年に1~2回扱っていました。
小規模のすし店・日本料理店など常連客からの強い要望があり、
長年自分を支えてくれた常連客への感謝を込めて扱うようになったそうで、
上物の寒ブリと同じく赤字覚悟というか、完全に大赤字の粋な江戸っ子価格でした。m(_ _)m
最近は養殖物(小さい)が流通しているようですが、当時はなく、今以上にめずらしい魚でした。
上述のアラ (標準和名)よりも更に個性的な身質の魚で、
マハタ属の魚だけに、見た目はアラよりもマハタ(真羽太)に近いです。
マハタもクエのように大きくなる魚で、
九州の一部地域では、マハタも「アラ」と呼ぶため、余計にややこしいことになっています。
仕入れの際には、アラ(標準和名)とクエ(標準和名)とマハタ(標準和名)を間違いないよう注意してください。
クエもすしにすることが目的ではありませんでしたが、
すしにする場合は、弾力のある食感が少し残る程度にまで寝かせ(大きい上に活け締めなので何日もかかる)、
皮を引いて握り、紅葉おろし+ポン酢+アサツキ、又はワサビ+塩+カンキツ果汁などで供しました。
クエの皮も他の料理に使っていましたが、すしにしても美味しいでしょう。
クエの旬も晩秋から真冬にかけてです。
◆キンキ (キチジ)
標準和名はキチジ。
北海道のすし店では、よく使われているようです。
東京でも、築地のすし店をはじめ使うところがたまにあります。
キンキの一大名産地といえば、北海道網走。
網走の延縄漁で漁獲されるキンキは、「釣キンキ」として有名で、
扱い方も丁寧なのでしょう、網で漁獲されたキンキとは状態が段違いです。
すしや刺身で使うなら絶対にこれ、という感じです。
旬は冬ですが、中秋あたりからいいものが出てきます。
築地場内には、鮮度・状態抜群で上物サイズ(=大型)の網走産釣キンキがありました。
昔は大衆魚だったキンキですが、漁獲量が激減してから久しく、
網走産釣キンキの大型のキロ当たり単価は、完全に高級魚クラスです。
すしにする場合は、皮を炙るか湯引きして握るのが一般的ですが、
私は、ノドグロ (アカムツ)と同じく昆布締めにすることが多かったです。
ノドグロと違って、ウロコを引いても色が綺麗なので見栄えがいいです。
キンキの昆布締めの方法は、ノドグロと同じですので、
レシピはノドグロのページをご確認ください。
◆クロムツ (黒鯥)
昔は白身の下物ネタ(タネ)として、東京のすし店でムツがよく使われていたそうです。
それがムツ(以下「本ムツ」)だったのか、クロムツだったのか、あるいは両方だったのかは分かりません。
昔はたくさん獲れたことに加え、足が早いため、流通の発達していない時代には鮮度を保てず、
下物とならざるをえなかったのではないかと想像します。
近年は鮮度・状態のいいものが高値で売買され、
築地など都内の客数の多いすし店で、使うところがたまにあります。
寒ムツの言葉通り旬は冬ですが、
特別に珍重される卵や白子を食べるなら、それらが肥大化する3月頃がオススメです。
若い頃に仕入先としていた産地直送中心の比較的大型の鮮魚店では、
本ムツもクロムツも上物サイズの3~3.5キロくらいのものが、
手の届く価格で販売されていたので、両方とも使えました。
私はクロムツの方が好きで、都内のすし店で使われるのも、ほとんどがクロムツなので、
以下クロムツについて書きます。
クロムツは、脂の質といい甘味といい、かなりすしに向いている魚だと思います。
何も仕事をせず、皮を引いてワサビをつけて握り、煮切り醤油をつけて供しました。
皮も美味しいのですが、色が美しくないため私は使いませんでしたが、
すし店の中には湯引きして皮をつけて握るところもあります。
でも、残念ながら、私はクロムツも本ムツも、すしや刺身ではあまり使えませんでした。
父は昔、鮮度が落ち臭みまで出たムツの握りを都内のすし店で食べたことが何度かあったそうで、
それがトラウマになってしまっていて、
加熱調理すればOKでしたが、生ではほとんど食べてくれなかったからです。(._.)
築地場内で仕入れたことはありませんが、関東近海の釣り物の評価が高かったです。
歯が大きく鋭い魚ですので、ケガをしないよう気をつけてください。
◆キンメダイ (金目鯛)
キンメダイの旬は冬から早春。
定番ネタではありませんが、東京のすし店でもそこそこ使われています。
昆布締めか皮を炙って握られることが多く、昆布締めの握りは、東京では80年代には既にありました。
上述のキンキと同じく、ウロコをとっても色が綺麗なので見栄えがいいです。
私が使っていたのは若い頃で、やはり昆布締めにして握りました。
経済的に余裕ができてからは、ノドグロ(アカムツ)やキンキを使ったので、
キンメダイは使わなくなってしまいましたが。
築地場内で仕入れることはありませんでしたが、
旬の時期には赤々と輝くキンメダイがあちらこちらの仲卸しに並んでいたので、よく見ていました。
キンメダイといえば、
伊豆稲取辺りが本場で、魚体が充実した大型のものが多く、築地場内への入荷もありましたが、
当時築地場内で一番評価が高かったのは、一尾ずつ丁寧に釣り上げられる銚子(千葉)の釣り物。
鮮度抜群でウロコがびっしりとついていて状態も最高で、
魚体の充実した大型のものに最高値がつけられていました。
キンメダイの昆布締めの方法も、ノドグロと同じですので、
レシピはノドグロのページをご確認ください。
既に述べたノドグロ(アカムツ)もその一つです。
このページでは、特に触れておきたい、その他の深海性の白身魚について書きます。
◆アラ (「魚」へんに「荒」)
標準和名と築地での呼称はアラ。
次に述べるクエとよく混同される魚です。
東京のすし店では滅多に見かけません。
太平洋側でも日本海側でも広い範囲に生息するものの、上物(=大型)が漁獲されるのは九州くらいで、
長崎・五島列島あたりの釣り物が特に高く評価されます。
30キロくらいになるものもあるようですが、20キロ以上は稀で、10キロ代に良いものが多いようです。
実際に使えたのは16キロ以下のものでしたが、いずれも素晴らしいものでした。
築地場内で探したことはありませんが、稀に上物サイズの入荷があるという話は聞いたものの、
たまに見かけたのは1~2キロ程度の小さなものばかりでした。
その大きさでは使う意味がないと思うくらい、上物サイズとの質はかけ離れています。
ただし、大型のアラの漁場は限られており、漁獲量も極めて少ないため、
アラの上物を手に入れるのは、クエの上物を手に入れるのよりも難しいかもしれません。
私が使っていたのは料理人時代。
職場の同僚達と共同で、店と取引のあった九州の仲買から送っていただき、分け合いました。
すしにすることが目的ではありませんでしたが、すしにもとても合う美味しい魚です。
ただし、大きいので食べ頃になるまで日数を要します。
すしにする場合は、旨味成分が頂点に達するあたりまで寝かせ、
シンプルに皮を引いてワサビを挟んで握り、煮切り醤油をつけて供することが多かったです。
皮は他の料理に使いましたが、すしにしても美味しいでしょう。
旬は晩秋から真冬にかけてです。
◆クエ (九絵, 垢穢)
標準和名と築地での呼称はクエ。
主な消費地である博多や唐津など九州北西部では、
クエのことをアラと呼び、マスメディアも九州のクエをアラと紹介することが多いため、
上述のアラ(標準和名)と混同されがちです。
一般に、クエの方がアラ(標準和名)よりも遥かによく知られていると思います。
クエも、東京のすし店では滅多に見かけません。
上述のアラ (標準和名)よりもはるかに大きくなる魚ですが、活けの20キロ代に上物が多いようです。
伊豆諸島をはじめ太平洋側の深場でも大型のものが漁獲されますが、
五島列島、壱岐・対馬など玄界灘辺りの活けの釣りものが特に高く評価されます。
クエも築地場内で探したことはありませんが、上物サイズの入荷は稀だそうで、
3~4キロ程度の小さな野締めのものをたまに見かける程度でした。
伊豆諸島など近場で上物サイズが漁獲されたとしても、ほとんど九州や料理店に流れていくのでしょう。
上物の魚介類は相場の高い所に流れます。
クエもアラと同じく、料理人時代に職場の同僚達と共同で、
店と取引のあった九州の仲買から仕入れたこともありますが、
クエの上物はアラの上物よりも大きいため、持て余し気味で尚且つ金額もかさむため長続きせず、
築地通いをする以前にお世話になっていた、上物を扱う地元の鮮魚店が仕入先となりました。
その鮮魚店のご主人は、産地で活け締めされ直送された、
玄界灘辺りで漁獲された主に20キロ代の上物を、年に1~2回扱っていました。
小規模のすし店・日本料理店など常連客からの強い要望があり、
長年自分を支えてくれた常連客への感謝を込めて扱うようになったそうで、
上物の寒ブリと同じく赤字覚悟というか、完全に大赤字の粋な江戸っ子価格でした。m(_ _)m
最近は養殖物(小さい)が流通しているようですが、当時はなく、今以上にめずらしい魚でした。
上述のアラ (標準和名)よりも更に個性的な身質の魚で、
マハタ属の魚だけに、見た目はアラよりもマハタ(真羽太)に近いです。
マハタもクエのように大きくなる魚で、
九州の一部地域では、マハタも「アラ」と呼ぶため、余計にややこしいことになっています。
仕入れの際には、アラ(標準和名)とクエ(標準和名)とマハタ(標準和名)を間違いないよう注意してください。
クエもすしにすることが目的ではありませんでしたが、
すしにする場合は、弾力のある食感が少し残る程度にまで寝かせ(大きい上に活け締めなので何日もかかる)、
皮を引いて握り、紅葉おろし+ポン酢+アサツキ、又はワサビ+塩+カンキツ果汁などで供しました。
クエの皮も他の料理に使っていましたが、すしにしても美味しいでしょう。
クエの旬も晩秋から真冬にかけてです。
◆キンキ (キチジ)
標準和名はキチジ。
北海道のすし店では、よく使われているようです。
東京でも、築地のすし店をはじめ使うところがたまにあります。
キンキの一大名産地といえば、北海道網走。
網走の延縄漁で漁獲されるキンキは、「釣キンキ」として有名で、
扱い方も丁寧なのでしょう、網で漁獲されたキンキとは状態が段違いです。
すしや刺身で使うなら絶対にこれ、という感じです。
旬は冬ですが、中秋あたりからいいものが出てきます。
築地場内には、鮮度・状態抜群で上物サイズ(=大型)の網走産釣キンキがありました。
昔は大衆魚だったキンキですが、漁獲量が激減してから久しく、
網走産釣キンキの大型のキロ当たり単価は、完全に高級魚クラスです。
すしにする場合は、皮を炙るか湯引きして握るのが一般的ですが、
私は、ノドグロ (アカムツ)と同じく昆布締めにすることが多かったです。
ノドグロと違って、ウロコを引いても色が綺麗なので見栄えがいいです。
キンキの昆布締めの方法は、ノドグロと同じですので、
レシピはノドグロのページをご確認ください。
◆クロムツ (黒鯥)
昔は白身の下物ネタ(タネ)として、東京のすし店でムツがよく使われていたそうです。
それがムツ(以下「本ムツ」)だったのか、クロムツだったのか、あるいは両方だったのかは分かりません。
昔はたくさん獲れたことに加え、足が早いため、流通の発達していない時代には鮮度を保てず、
下物とならざるをえなかったのではないかと想像します。
近年は鮮度・状態のいいものが高値で売買され、
築地など都内の客数の多いすし店で、使うところがたまにあります。
寒ムツの言葉通り旬は冬ですが、
特別に珍重される卵や白子を食べるなら、それらが肥大化する3月頃がオススメです。
若い頃に仕入先としていた産地直送中心の比較的大型の鮮魚店では、
本ムツもクロムツも上物サイズの3~3.5キロくらいのものが、
手の届く価格で販売されていたので、両方とも使えました。
私はクロムツの方が好きで、都内のすし店で使われるのも、ほとんどがクロムツなので、
以下クロムツについて書きます。
クロムツは、脂の質といい甘味といい、かなりすしに向いている魚だと思います。
何も仕事をせず、皮を引いてワサビをつけて握り、煮切り醤油をつけて供しました。
皮も美味しいのですが、色が美しくないため私は使いませんでしたが、
すし店の中には湯引きして皮をつけて握るところもあります。
でも、残念ながら、私はクロムツも本ムツも、すしや刺身ではあまり使えませんでした。
父は昔、鮮度が落ち臭みまで出たムツの握りを都内のすし店で食べたことが何度かあったそうで、
それがトラウマになってしまっていて、
加熱調理すればOKでしたが、生ではほとんど食べてくれなかったからです。(._.)
築地場内で仕入れたことはありませんが、関東近海の釣り物の評価が高かったです。
歯が大きく鋭い魚ですので、ケガをしないよう気をつけてください。
◆キンメダイ (金目鯛)
キンメダイの旬は冬から早春。
定番ネタではありませんが、東京のすし店でもそこそこ使われています。
昆布締めか皮を炙って握られることが多く、昆布締めの握りは、東京では80年代には既にありました。
上述のキンキと同じく、ウロコをとっても色が綺麗なので見栄えがいいです。
私が使っていたのは若い頃で、やはり昆布締めにして握りました。
経済的に余裕ができてからは、ノドグロ(アカムツ)やキンキを使ったので、
キンメダイは使わなくなってしまいましたが。
築地場内で仕入れることはありませんでしたが、
旬の時期には赤々と輝くキンメダイがあちらこちらの仲卸しに並んでいたので、よく見ていました。
キンメダイといえば、
伊豆稲取辺りが本場で、魚体が充実した大型のものが多く、築地場内への入荷もありましたが、
当時築地場内で一番評価が高かったのは、一尾ずつ丁寧に釣り上げられる銚子(千葉)の釣り物。
鮮度抜群でウロコがびっしりとついていて状態も最高で、
魚体の充実した大型のものに最高値がつけられていました。
キンメダイの昆布締めの方法も、ノドグロと同じですので、
レシピはノドグロのページをご確認ください。