海苔 (ノリ) noriedomae
Apr 25, 2015 17:02:31 GMT 9
Post by 管理人 on Apr 25, 2015 17:02:31 GMT 9
江戸前のすしにとって、海苔はとても重要です。
経済的にゆとりが出来てから、すしに使う素材の見直しをする中で、海苔も当然その対象となりました。
1.仕入れ
江戸前のすしの名店を食べ歩いていて、いい海苔だなぁと思った時に必ず産地を聞いていたのですが、
その多くが、佐賀有明海産(川副産他)、次いで千葉東京湾産(特に船橋産)でした。
ちなみに、すしの値段に不釣り合いな質の海苔を使っている高級店もいくつかありました。
ワサビ ・ 米 ・ 醤油 ・ ミリンなどと同じく、海苔も経費削減の対象となっているようです。
佐賀有明海産は予想通りでしたが、船橋産は意外でした。
というのも、当時船橋は海苔の名産地として、一般には認知されていなかったからです。
(今はある程度認知されていると思います。)
私は使ったことがありませんでした。
でも、かつて東京湾奥は、今や希少なアサクサノリ(海苔の品種)の本場でした。
そのかつての名産地の一等浜は、とっくの昔に埋め立てられてしまいましたが、
少し離れた東京湾奥の干潟「三番瀬」で育てられているのが、船橋の海苔です。(品種はスサビノリ)
ぜひ試してみたいと思い、当時はまだあった天日干しも含め、
船橋産の上質の海苔を仕入れ、しばらく使ってみましたが、
それまで私が使っていた海苔よりも満足のいくもので、豊かな香りに特徴がありました。
次いで、佐賀有明海産、更にその他複数の産地の上質の海苔を仕入れ、使ってみました。
海苔は産地によって、風味に特徴があることをつくづく感じました。
最終的には、味と香りが私の素晴らしいシャリ(自画自賛)にピッタリで、
すしにした時にどのネタ(タネ)とも調和し、歯切れ・口どけも良く、
私と家族の好みに一番合う、佐賀有明海産の初摘みの海苔がベストという結論に至りました。
海苔をテストする時にオススメなのが、シャリだけの海苔巻きを作って食べてみることです。
海苔にシャリを置いた時に立ち上がってくる香りが素晴らしく、食べて抜群に美味しければ、
少なくともその海苔は、あなたのシャリに合っています。
それをクリアできない海苔は×です。
当初は産地直送で満足な海苔を仕入れることが出来たのですが、翌年度の海苔に変わったとたん品質が落ち、
また、こちらの微妙な要求に応じることができなかったため、新たな仕入先を選定する必要に迫られました。
私自身、海苔についての知識が不足していたので、勉強もしました。
それで分かったことは、海苔の品質はとても多くの変数によって決定されるということです。
それまでは漠然と、干満の差が大きい名産地の天日乾燥品が良い、くらいのイメージしか持っていなかったのですが、
同じ浜 ・ 同じ年度 ・ 同じ品種の海苔でも、生産者の考えや技術によって質にかなり差があり、
乾燥法は天日乾燥が一番良いのですが、それもたくさんの変数の一つに過ぎない(重要な変数ではありますが)のです。
結局、常に高品質の海苔を仕入れるためには、一流の海苔のプロにお願いした方がいいと思い、
都内の海苔の名店をいくつも回り、その中の一つを仕入先として選定しました。
さすがに、江戸前のすしの名店御用達の店だけあって、そのニーズをよく押さえていて、
仕入れの都度いくつものサンプルを味見させていただきましたが、同じ産地の海苔でも選択肢に幅がありました。
私が求めたのは、味・香り・食感・口どけ・厚さなどに加え、高いレベルで質が安定していることと、
乾海苔(焼き加工していない海苔)を仕入れることでしたが、いずれもかないました。
私の要求に見合う海苔は業務用しかなく、量が多いのですが、すし以外でも使えますし、
適切に保管すれば問題ないので、以後長きに渡りその海苔店とお付き合いさせていただくことになりました。
海苔にあまりお金をかけたくない方には、
海苔の名店から、上物のすし海苔の"はねだし"(キズ海苔)を仕入れることをオススメします。
私も、その海苔店からサービスで頂いたことがありますが、
多くのすし店の海苔よりも、美味しさの点では上まわる海苔だと思いました。
少量ずつの仕入れが可能ならば、ネタや用途に応じて、何種類かの海苔を使い分けるのも良いと思います。
2.供し方 (炙り方)
使う直前に炙ることが肝心です。
乾海苔を自店で炙っているすし店でも、直前に炙る店はまだまだ少ないですが、今後は増えていくのではないかと思います。
その方が断然美味しいですから。
◆乾海苔の場合
凝り性の私と、それに付き合わされる助手の妻(笑)は、上質の紀州備長炭で炙りました。
海苔にキズをつけない構造の網を七輪に載せ、その上を海苔で軽くたたくような感じで、素早く手返ししながら炙ります。
2枚の海苔のツルツルした面同士を重ね、
ザラザラとした面だけを、海苔を持つ位置を変えながら、ムラなく程よく炙ってください。(炙り過ぎに注意)
炙りにくければ、2枚に重ねた海苔を半分に折って炙り、その後に逆に折って炙ってもOKです。
炙ると、黒っぽい色が緑色っぽくなります。
炭火の扱いに慣れていない方や、そこまでやるつもりはないという方には、
熱々にしたオーブントースターを使って、こまめにひっくり返しながら炙ることをオススメします。
◆焼き海苔の場合
江戸前のすし店のほとんどが、焼き海苔を仕入れてそのまま使っていますが、
中には焼き海苔を使う直前にさっと炙る店もあります。
その方が、香りが引き立ちます。
上質の焼き海苔を炙る場合は、乾海苔とは炙る面を逆にした方が良いと思います。
2枚の海苔のザラザラとした面同士を重ね、ツルツルした面だけを、少し炙ってください。
オーブントースターで充分だと思います。
経済的にゆとりが出来てから、すしに使う素材の見直しをする中で、海苔も当然その対象となりました。
1.仕入れ
江戸前のすしの名店を食べ歩いていて、いい海苔だなぁと思った時に必ず産地を聞いていたのですが、
その多くが、佐賀有明海産(川副産他)、次いで千葉東京湾産(特に船橋産)でした。
ちなみに、すしの値段に不釣り合いな質の海苔を使っている高級店もいくつかありました。
ワサビ ・ 米 ・ 醤油 ・ ミリンなどと同じく、海苔も経費削減の対象となっているようです。
佐賀有明海産は予想通りでしたが、船橋産は意外でした。
というのも、当時船橋は海苔の名産地として、一般には認知されていなかったからです。
(今はある程度認知されていると思います。)
私は使ったことがありませんでした。
でも、かつて東京湾奥は、今や希少なアサクサノリ(海苔の品種)の本場でした。
そのかつての名産地の一等浜は、とっくの昔に埋め立てられてしまいましたが、
少し離れた東京湾奥の干潟「三番瀬」で育てられているのが、船橋の海苔です。(品種はスサビノリ)
ぜひ試してみたいと思い、当時はまだあった天日干しも含め、
船橋産の上質の海苔を仕入れ、しばらく使ってみましたが、
それまで私が使っていた海苔よりも満足のいくもので、豊かな香りに特徴がありました。
次いで、佐賀有明海産、更にその他複数の産地の上質の海苔を仕入れ、使ってみました。
海苔は産地によって、風味に特徴があることをつくづく感じました。
最終的には、味と香りが私の素晴らしいシャリ(自画自賛)にピッタリで、
すしにした時にどのネタ(タネ)とも調和し、歯切れ・口どけも良く、
私と家族の好みに一番合う、佐賀有明海産の初摘みの海苔がベストという結論に至りました。
海苔をテストする時にオススメなのが、シャリだけの海苔巻きを作って食べてみることです。
海苔にシャリを置いた時に立ち上がってくる香りが素晴らしく、食べて抜群に美味しければ、
少なくともその海苔は、あなたのシャリに合っています。
それをクリアできない海苔は×です。
当初は産地直送で満足な海苔を仕入れることが出来たのですが、翌年度の海苔に変わったとたん品質が落ち、
また、こちらの微妙な要求に応じることができなかったため、新たな仕入先を選定する必要に迫られました。
私自身、海苔についての知識が不足していたので、勉強もしました。
それで分かったことは、海苔の品質はとても多くの変数によって決定されるということです。
それまでは漠然と、干満の差が大きい名産地の天日乾燥品が良い、くらいのイメージしか持っていなかったのですが、
同じ浜 ・ 同じ年度 ・ 同じ品種の海苔でも、生産者の考えや技術によって質にかなり差があり、
乾燥法は天日乾燥が一番良いのですが、それもたくさんの変数の一つに過ぎない(重要な変数ではありますが)のです。
結局、常に高品質の海苔を仕入れるためには、一流の海苔のプロにお願いした方がいいと思い、
都内の海苔の名店をいくつも回り、その中の一つを仕入先として選定しました。
さすがに、江戸前のすしの名店御用達の店だけあって、そのニーズをよく押さえていて、
仕入れの都度いくつものサンプルを味見させていただきましたが、同じ産地の海苔でも選択肢に幅がありました。
私が求めたのは、味・香り・食感・口どけ・厚さなどに加え、高いレベルで質が安定していることと、
乾海苔(焼き加工していない海苔)を仕入れることでしたが、いずれもかないました。
私の要求に見合う海苔は業務用しかなく、量が多いのですが、すし以外でも使えますし、
適切に保管すれば問題ないので、以後長きに渡りその海苔店とお付き合いさせていただくことになりました。
海苔にあまりお金をかけたくない方には、
海苔の名店から、上物のすし海苔の"はねだし"(キズ海苔)を仕入れることをオススメします。
私も、その海苔店からサービスで頂いたことがありますが、
多くのすし店の海苔よりも、美味しさの点では上まわる海苔だと思いました。
少量ずつの仕入れが可能ならば、ネタや用途に応じて、何種類かの海苔を使い分けるのも良いと思います。
2.供し方 (炙り方)
使う直前に炙ることが肝心です。
乾海苔を自店で炙っているすし店でも、直前に炙る店はまだまだ少ないですが、今後は増えていくのではないかと思います。
その方が断然美味しいですから。
◆乾海苔の場合
凝り性の私と、それに付き合わされる助手の妻(笑)は、上質の紀州備長炭で炙りました。
海苔にキズをつけない構造の網を七輪に載せ、その上を海苔で軽くたたくような感じで、素早く手返ししながら炙ります。
2枚の海苔のツルツルした面同士を重ね、
ザラザラとした面だけを、海苔を持つ位置を変えながら、ムラなく程よく炙ってください。(炙り過ぎに注意)
炙りにくければ、2枚に重ねた海苔を半分に折って炙り、その後に逆に折って炙ってもOKです。
炙ると、黒っぽい色が緑色っぽくなります。
炭火の扱いに慣れていない方や、そこまでやるつもりはないという方には、
熱々にしたオーブントースターを使って、こまめにひっくり返しながら炙ることをオススメします。
◆焼き海苔の場合
江戸前のすし店のほとんどが、焼き海苔を仕入れてそのまま使っていますが、
中には焼き海苔を使う直前にさっと炙る店もあります。
その方が、香りが引き立ちます。
上質の焼き海苔を炙る場合は、乾海苔とは炙る面を逆にした方が良いと思います。
2枚の海苔のザラザラとした面同士を重ね、ツルツルした面だけを、少し炙ってください。
オーブントースターで充分だと思います。