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Post by 管理人 on Feb 14, 2015 15:30:39 GMT 9
真冬から春先にかけての時期、美味しい白身魚がたくさんあります。
ホウボウもその一つ。
この時期の大型の上物には、淡白でありながら、質の軽いたっぷりの脂、強い甘味、上品な風味があります。
東京湾の外海に近い場所で釣りをしている時にたまに釣れた魚で、浮き袋を使って鳴き声を出します。
外見は、美しいと思う人と気持ち悪いと思う人とに分かれますが、正面から見ると、とても可愛らしい顔をしています。
ホウボウは、江戸前のすしの定番ネタ(タネ)ではないので、扱う店はそう多くはありません。
高級店でも、小さな店ではこの時期ヒラメかマダイを優先しますし、客数の多い店でもほとんど使われません。
どちらかと云えば、「ヒラメやタイが高かったから、今日はホウボウにしよう。」というタイプの店が、
イマイチの中型サイズを仕入れて使っていることが多いように思います。
このように、ヒラメやタイと比べると、ホウボウは格下扱いされています。(築地での価格も格下です。)
私は、これまで仕事で(自分たちが食べる賄い用も含む)、個人で、大小さまざまな種類の白身魚を扱ってきました。
私以上に多種類の白身魚を扱ったことのある人は、あまりいないと思います。
その私が、生で食べる白身魚としてトップクラスの一つに選ぶのが、大型のホウボウです。 (ホウボウは、加熱調理されることも多い魚です。)
なお、ホウボウに似た魚にカナガシラがありますが、間違えたり騙されたりしないよう、お気を付けください。
1.仕入れ(築地場内市場)
1キロくらいから良いものがありますが、私が使ったのは主に1.5キロ以上の大型です。
大型といっても、卵が大きくなったものは他の魚と同様×で、特に春先は要注意です。
築地には各地から入荷がありましたが、特に評価が高かったのは、
竹岡(東京湾)や外房(千葉)の釣り物で、活け物はけっこういい値段でした。
ホウボウは、活け締めしたその日でも、締めた翌日・翌々日に甘味・旨味がグッと出てから食べても、
それぞれに美味しい魚です。
私と家族は、後者の方がより好みなので、産地で締めたもので良いものがあれば、それを優先して仕入れました。
他の魚にも云えることですが、活魚はいくら上物でも、
産地からの運搬中と市場の生け簀で活かされている間に、味も香りも落とします。
ですから、活け締め当日のコリコリっとした食感を伴う美味しさを味わいたい時以外は、
高価な活け物を仕入れるよりも、産地で適切に締められたものを使った方が、満足な結果を得ることができるわけです。
ちなみに、活け締め当日に使う場合で理想的なのは、産地で活け締めされたその日に当日便で送ってもらうことです。
私が働いていた日本料理店では、活け締め当日に使う魚は、その方法で仕入れていました。
その場合、出荷調整のために産地の生け簀で何日も泳がされたものをつかまされないよう、
信頼できる仕入先を選定してください。
2.供し方
活け締め当日の場合は刺身で、甘味・旨味がグッと出たものは、刺身と握りで。
握る場合は、厚めに切りつけた後に包丁目を入れ(大型のホウボウは、締めた翌日でも身がしっかりしています。)、
少な目のシャリとの間にワサビを挟み、煮切り醤油をつけて供します。
淡白なネタを握る時は、このネタとシャリの量的バランスに特に気を付けてください。
意識せずに握ってしまうと、シャリがネタの繊細な持ち味を殺してしまいます。
名店も含め、ネタが殺されているすしがとても多いと思います。
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