マカジキ (真梶木, 突きん棒) makajiki tsukinbou edomae
Jan 30, 2015 16:40:51 GMT 9
Post by 管理人 on Jan 30, 2015 16:40:51 GMT 9
私が子供の頃は、マカジキの刺身が東京のスーパーにはよく並んでいました。
値段は安く、完全に2級品扱いで、食べても美味しくありませんでした。
いつどこで獲ったものだったのか、生だったのか冷凍物だったのか、今となっては分かりません。
そのうち、マカジキの刺身はスーパーの店頭から消えていきました。
東京の江戸前のすし店で、マカジキが使われることは稀です。
昔は使われることも多かったそうですが、チープなイメージが定着してしまった影響が大きいのかもしれません。
その後、グルメブームにより、上物のマカジキの美味しさが注目されるようになりましたが、
相変わらず東京の江戸前のすし店は、マカジキをあまり使いません。
いくつかの江戸前のすしの小さな名店で話を伺うと、皆さん上物のマカジキの良さはよく分かっていました。
でも、本マグロとマカジキを両方置いても使い切れないし、旬が重なる本マグロを置かないわけにはいかないし・・・
とのことでした。
確かに、私がマカジキの握りを食べたのは、中規模又は支店を持つすし店のみでした。
一方、東京の日本料理の名店では、昔から旬の上物のマカジキが比較的多く使われてきました。
私が働いていた日本料理店の親方は、京都での修業時代はマカジキを使うことはなかったそうですが、
東京で独立後は、常連のお客さん達からの要望が多く、また親方自身もその素晴らしさを知り、使うようになったそうです。
常連のお客さん達からの要望があっても、マグロを使うことはありませんでしたが(笑)
使っていたのは、冬の房総沖(千葉)で「突きん棒漁」で獲れた上物です。
「突きん棒漁」は、漫画やテレビ番組などでも採り上げられて知名度が上がったようで、
お客さんに突きん棒漁で獲れたマカジキを出すと話が盛り上がる、ということがよくありました。
「突きん棒漁」は、船上から長いモリを投げて突く漁法です。
モリが頭部の急所を突けば、マカジキはもだえ苦しむことなく死ぬため、身質 ・ 味ともに最高のものとなります。
逆にモリが急所を外せば、電気ショックを与えられるまで、致命傷を負ったマカジキは苦しみ、
即殺されたものに比べると、身質 ・ 味ともに劣ることになります。
突きん棒漁専門の船が無くなり、季節操業の船もどんどん減っていくにしたがって、
一撃必殺の名手も少なくなってしまっているのは残念なことです。
房総沖 ・ 三陸沖 ・ 伊豆諸島周辺のマカジキは、突きん棒漁以外に網 ・ 引き縄 ・ 延縄でも漁獲されます。
今は、それらの漁法が主で、突きん棒漁以外で獲れたマカジキも突きん棒と呼ばれています。
(昔から、東京の業界では、「突きん棒」はマカジキの代名詞だったようです。)
マカジキは夏に多く漁獲されますが、脂がのって美味しくなるのは秋以降で、旬のピークは冬です。
旬の上物のマカジキの身は、オレンジ色っぽく、ムチっとしています。
味は、マグロのように派手ではありませんが、軽い酸味と奥深い味わいを秘めています。
我が家でマカジキを使う日は、マグロは使わず、マカジキがその日の主役を張りました。
1.仕入れ
築地場内では、マカジキは通常3~4つに胴切り(頭と尾を除く)されて販売されます。
頭に近い方から1番 ・ 2番 ・ 3番 ・ 4番と呼ばれます。
体重のかかった下側(下身)よりも、上側(上身)の方が高い値段で取引されるのは、マグロと同じです。
頭と尾に近い身はスジが強く、高級店では使いません。
私が働いていた店では、突きん棒漁で獲れた上物のマカジキの2番の上身の背側(マグロでいえば上身の“背ナカ”)
のみを使っていました。(マカジキの腹側の身は、あまり高く評価されません。)
仕入先は、築地に入る選り抜きの魚介類を届けてくださる、一流料理店御用達の業者さん。
私が働いていた店は、主に産地直送で魚介類を仕入れていたのですが、並行して、その業者さんからも仕入れていました。
私も同じく、突きん棒漁で獲れた上物の2番の上身の背側をその業者さんから仕入れ、同僚と分け合いました。
(突きん棒漁以外の上物の2番の上身の背側も、何度か仕入れました。)
また、築地の仲卸しが旬のマカジキをネット販売していたので、そこから仕入れたこともありますが、
比較的良いものが届きました。
築地場内でマカジキを仕入れたことはありませんが、上物を少量で販売できる仲卸しを見つけるのは大変だと思います。
突きん棒漁が激減した今となっては、突きん棒漁で獲れたものにこだわるよりも、
他の漁法で獲れたものも含めた中で、最上のものを選んでいく方が賢明だと思います。
マカジキそのものが良く、あまりストレスを与えずに漁獲され、船上と流通過程での処理が適切であれば、
突きん棒漁以外のものでも素晴らしいです。
私は、その日築地で最高値をつけた、延縄漁で獲れた上物のマカジキ(突きん棒漁のものよりも高値がついた)
を使ったことがありますが、突きん棒漁で獲れた上物と比べても遜色ないものでした。
他の魚もそうですが、マカジキにもピンからキリまであります。
築地場内でさえ冷凍物が多く、生でも質の良いものはごくわずかです。
なんとか、上物を手に入れていただきたいと思います。
なお、マカジキは大きな魚ですから、マグロと同じく、獲れてからある程度日数が経たなければ、充分な旨味が出てきません。
熟成させるべき日数 (又は大きさ ・ 漁獲日 ・ 漁法) を、仕入先に確認することをオススメします。
2.供し方
マカジキには特に仕事はせず、マグロよりも少し厚めに切りつけ、
脂のノリの強い部分は握りに、それ以外の部分は刺身にして供しました。
握りは、シンプルにワサビを挟み、煮切り醤油をつけて。
値段は安く、完全に2級品扱いで、食べても美味しくありませんでした。
いつどこで獲ったものだったのか、生だったのか冷凍物だったのか、今となっては分かりません。
そのうち、マカジキの刺身はスーパーの店頭から消えていきました。
東京の江戸前のすし店で、マカジキが使われることは稀です。
昔は使われることも多かったそうですが、チープなイメージが定着してしまった影響が大きいのかもしれません。
その後、グルメブームにより、上物のマカジキの美味しさが注目されるようになりましたが、
相変わらず東京の江戸前のすし店は、マカジキをあまり使いません。
いくつかの江戸前のすしの小さな名店で話を伺うと、皆さん上物のマカジキの良さはよく分かっていました。
でも、本マグロとマカジキを両方置いても使い切れないし、旬が重なる本マグロを置かないわけにはいかないし・・・
とのことでした。
確かに、私がマカジキの握りを食べたのは、中規模又は支店を持つすし店のみでした。
一方、東京の日本料理の名店では、昔から旬の上物のマカジキが比較的多く使われてきました。
私が働いていた日本料理店の親方は、京都での修業時代はマカジキを使うことはなかったそうですが、
東京で独立後は、常連のお客さん達からの要望が多く、また親方自身もその素晴らしさを知り、使うようになったそうです。
常連のお客さん達からの要望があっても、マグロを使うことはありませんでしたが(笑)
使っていたのは、冬の房総沖(千葉)で「突きん棒漁」で獲れた上物です。
「突きん棒漁」は、漫画やテレビ番組などでも採り上げられて知名度が上がったようで、
お客さんに突きん棒漁で獲れたマカジキを出すと話が盛り上がる、ということがよくありました。
「突きん棒漁」は、船上から長いモリを投げて突く漁法です。
モリが頭部の急所を突けば、マカジキはもだえ苦しむことなく死ぬため、身質 ・ 味ともに最高のものとなります。
逆にモリが急所を外せば、電気ショックを与えられるまで、致命傷を負ったマカジキは苦しみ、
即殺されたものに比べると、身質 ・ 味ともに劣ることになります。
突きん棒漁専門の船が無くなり、季節操業の船もどんどん減っていくにしたがって、
一撃必殺の名手も少なくなってしまっているのは残念なことです。
房総沖 ・ 三陸沖 ・ 伊豆諸島周辺のマカジキは、突きん棒漁以外に網 ・ 引き縄 ・ 延縄でも漁獲されます。
今は、それらの漁法が主で、突きん棒漁以外で獲れたマカジキも突きん棒と呼ばれています。
(昔から、東京の業界では、「突きん棒」はマカジキの代名詞だったようです。)
マカジキは夏に多く漁獲されますが、脂がのって美味しくなるのは秋以降で、旬のピークは冬です。
旬の上物のマカジキの身は、オレンジ色っぽく、ムチっとしています。
味は、マグロのように派手ではありませんが、軽い酸味と奥深い味わいを秘めています。
我が家でマカジキを使う日は、マグロは使わず、マカジキがその日の主役を張りました。
1.仕入れ
築地場内では、マカジキは通常3~4つに胴切り(頭と尾を除く)されて販売されます。
頭に近い方から1番 ・ 2番 ・ 3番 ・ 4番と呼ばれます。
体重のかかった下側(下身)よりも、上側(上身)の方が高い値段で取引されるのは、マグロと同じです。
頭と尾に近い身はスジが強く、高級店では使いません。
私が働いていた店では、突きん棒漁で獲れた上物のマカジキの2番の上身の背側(マグロでいえば上身の“背ナカ”)
のみを使っていました。(マカジキの腹側の身は、あまり高く評価されません。)
仕入先は、築地に入る選り抜きの魚介類を届けてくださる、一流料理店御用達の業者さん。
私が働いていた店は、主に産地直送で魚介類を仕入れていたのですが、並行して、その業者さんからも仕入れていました。
私も同じく、突きん棒漁で獲れた上物の2番の上身の背側をその業者さんから仕入れ、同僚と分け合いました。
(突きん棒漁以外の上物の2番の上身の背側も、何度か仕入れました。)
また、築地の仲卸しが旬のマカジキをネット販売していたので、そこから仕入れたこともありますが、
比較的良いものが届きました。
築地場内でマカジキを仕入れたことはありませんが、上物を少量で販売できる仲卸しを見つけるのは大変だと思います。
突きん棒漁が激減した今となっては、突きん棒漁で獲れたものにこだわるよりも、
他の漁法で獲れたものも含めた中で、最上のものを選んでいく方が賢明だと思います。
マカジキそのものが良く、あまりストレスを与えずに漁獲され、船上と流通過程での処理が適切であれば、
突きん棒漁以外のものでも素晴らしいです。
私は、その日築地で最高値をつけた、延縄漁で獲れた上物のマカジキ(突きん棒漁のものよりも高値がついた)
を使ったことがありますが、突きん棒漁で獲れた上物と比べても遜色ないものでした。
他の魚もそうですが、マカジキにもピンからキリまであります。
築地場内でさえ冷凍物が多く、生でも質の良いものはごくわずかです。
なんとか、上物を手に入れていただきたいと思います。
なお、マカジキは大きな魚ですから、マグロと同じく、獲れてからある程度日数が経たなければ、充分な旨味が出てきません。
熟成させるべき日数 (又は大きさ ・ 漁獲日 ・ 漁法) を、仕入先に確認することをオススメします。
2.供し方
マカジキには特に仕事はせず、マグロよりも少し厚めに切りつけ、
脂のノリの強い部分は握りに、それ以外の部分は刺身にして供しました。
握りは、シンプルにワサビを挟み、煮切り醤油をつけて。