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Post by 管理人 on Dec 30, 2014 19:15:13 GMT 9
モジャコ→ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
と呼称(関東)が変わる出世魚。
東京のすし店では、主にイナダとワラサが使われています。
イナダは秋頃に良いモノが出回り、値段も安いので、若い頃はよく使いました。
ワラサになると、シャリとの相性がグッと良くなります。
ブリは大きく、色持ちが悪く、しかも高価なので、使いたくても使えない店が多いです。
また、脂が強すぎて江戸前のすしには合わない、という考えで使わない店もあります。
私も、ブリはちょっと合わないかなぁ、と長いこと思っていたのですが、
上物の寒ブリを手に入れ、すしにしたところ、その素晴らしさにビックリ。
香りも味わいも、イナダやワラサとは別格で、強めのシャリとの相性は抜群です。
◆仕入れ (寒ブリ)
名産地の最高級の魚介類は、わずかな例外を除き、最高値をつける築地にやってきます。
ブリは、そのわずかな例外の一つ。
北陸や関西の寒ブリの相場は、東京よりもはるかに上です。
寒ブリの時期に築地場内を歩いていても、ほれぼれするような上物は、たまに見かける程度でした。 (ブリは半身でも使い切れませんので、築地では仕入れませんでした。)
私が寒ブリの上物を仕入れていたのは、地元の上物を扱う鮮魚店。
築地通いをする以前のことです。
ご主人の寒ブリへの情熱はすさまじく、
産地は氷見 ・ 能登に限定し、12~3キロ級の上物を、集散地金沢から仕入れていらっしゃいました。
さすがに、12月下旬の狂乱相場の時期は避けていらっしゃいましたが、
おかげさまで毎年、上物の寒ブリのすしを握ることが出来ました。
値段は、相場を考えれば、かなり安い。ご主人に、
「この値段だと、赤字じゃないですか?」 と聞くと、
「そりゃあそうだよ。1本で万単位の赤字だよ。でも、高く売るわけにいかないだろ、恩返しだから。」 とのこと。
よっ、江戸っ子!
私が常連になった時点で、すでに高齢のご主人。
自分を支えてくれたお客を喜ばせたい、そんな気持ちがいつも伝わってきました。
長年の顧客には、日本料理やすしの小規模店が多く、
少量での仕入れができない大型の魚は、この鮮魚店に頼っていました。
だから、ブリの他にも、マグロ ・ カンパチ ・ サワラ ・ カツオ ・ クエなどの大型の魚には、特にこだわったご主人でした。
◆供し方 (寒ブリ)
私がすしに使う部位は、背側の身。
マグロでいえば「背ナカ」のあたりです。
私も家族も、脂至上主義ではないので、この部位を握るのがベストでした。
他の魚でも、魚体の充実した上物であれば、腹側よりも背側の身の方が、香りも味も上だと思います。
寒ブリには特に仕事をせず、ストレートにその美味しさを味わいました。
上物の寒ブリのすしを最高に楽しむために必要なのは、
強めのシャリ ・ たっぷりの最高級ワサビ ・ 上等な煮切り醤油です。
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