シャリ (酢飯, すし飯) , レシピ recipe edomae syari sumeshi sushimeshi
Dec 12, 2014 1:21:34 GMT 9
Post by 管理人 on Dec 12, 2014 1:21:34 GMT 9
「すしはシャリが命」のはずが、シャリに関して、お金と手間と研究を惜しまない店が少ないのは、何とも残念なことです。
私が、自分のすしがどこの名店よりも美味しいと感じた最大の理由は、シャリが自分好みだったからです。
本格的に江戸前のすしに取り組むつもりはない方でも、好みのシャリがあれば家庭での手巻きずしもグッと美味しくなる
と思いますので、無理のない範囲でトライしてみてください。
1.米の選択
江戸前ずしのシャリは、口の中で噛みしめた時にパラっとほどけるものでなければなりません。
米の炊き方、握り方・巻き方も大事ですが、米の質が大きく影響します。
江戸前のすし用の米は、小粒で丸みのある粒のそろった天日乾燥 (自然乾燥)の古米が良いと云われます。
あまり有名ではない品種も含め、小粒の米を試しましたが、気に入ったものはありませんでした。
粒の大きさよりも味や使用感を重視した方が良いと思います。(同一品種の中では小粒の方が良い)
粒の丸み、そろっているかどうかについては、上物の米であれば問題ありませんし、
砕けたりヒビが入ったりしたものもありません。
天日乾燥米は、機械乾燥米と比べヒビが入りにくく、味も勝ります。
(残念ながら、高価希少の天日乾燥米を使うすし店は、名店を含めほとんどないようです。)
古米は、前年度の米と捉えてください。
ただし、米は玄米で適正に保管されていても時間の経過と共に劣化・酸化が進みますので、味は落ちていきます。
ですから、新米が出てからしばらくの時期は古米だけを使い、徐々に新米をブレンドしていくというすし店が多いようです。
同じ県の同一品種でも、場所・作り手・年度によって質が異なりますので、その点も留意して米を選択する必要があります。
このように種々の条件がありますので、すしに適した上物の米を扱うこだわりの強い仕入先を確保することをおススメします。
米は冷蔵庫で保管することをお忘れなく。
なお、無洗米は江戸前のすしには不向きです。
◆ 東京の名店で多く使われている米
北陸地方や東北地方の銘柄米、特にコシヒカリが圧倒的に多いようです。
コシヒカリは脂質が多く粘りが強い米ですが、劣化・酸化に比較的強いため、
古米を美味しく使える期間が長いのが特徴です。
産地の異なるコシヒカリ同士をブレンドしたり、他の品種の米とブレンドして使われることもあります。
以前は、コシヒカリとササニシキのブレンドが主流でしたが、ササニシキの生産が減っていくに従い、
良質のものが手に入りにくくなったことに加え、一般にモチっとした食感の米が好まれるようになったため、
今でもササニシキにこだわる名店もありますが、使用する店はだいぶ減ったようです。
◆ 私の選んだ米
ある程度金銭的に余裕ができてからは、厳選した玄米を適正な状態で保管している上物の米店で、
とても品質の良い天日乾燥米を量り売りしていただき、色々と試しました。
新潟県産や福島県産のコシヒカリと、宮城県産のササニシキのブレンドを使っていた時期も長かったのですが、
最終的には宮城県産の天日乾燥のササニシキのみを使うようになりました。
ササニシキは、コシヒカリと比べると脂質が少なく粘りが弱いため、口の中でパラっとなりやすく、
また後口の良いシャリになります。
反面、劣化・酸化にはコシヒカリほど強くないため、古米を美味しく使える期間は短いことに留意しなければなりません。
私は、トロやアナゴのような脂質の多いネタ(タネ)をたくさん使いましたから、
比較的脂質が少なく後口の良いササニシキの選択は必然だったと思います。
2.炊飯
◆ 釜または鍋について
シャリに理想の炊飯は、薪でカマド炊きする「羽釜のカマド炊き」と云われます。
今もなお、薪でカマド炊きする店や、蒸しカマドといわれる特殊な釜を炭で炊くことにこだわるすし店もありますが、
多くの場合、羽釜または他の釜を使ってガス火で炊いています。
我が家には、年代物の小さな家庭用の羽釜と、その羽釜のための小さなガス用カマドがあり、
強力なガス火で炊くのですが、仕上がりは最高で、すしの時はいつもこれを使いました。
土鍋で米を炊いたこともありますが、ねばりが強く出るので、江戸前のすしには不向きだと思います。
私が使った羽釜と同じような家庭用製品をネット上で調べましたが、残念ながら見つかりませんでした。
家庭で江戸前のすしに合うご飯を炊くための釜(または鍋)に必要な条件は、次の通りだと思います。
・金属製のもの(ある程度の熱伝導率の高さが必要だと思います。)
・火を弱めたり止めたりした後も高い温度を保つことが出来る(保温性が高い)
・コゲつきにくい(ただし、おコゲが出来ないものは不可)
・火力と米の量に見合った大きさである
◆ 湯炊きか、水炊きか
湯炊きは湯から米を炊く、水炊きは水から米を炊く。
江戸前ずしの伝統的な炊飯方法は湯炊きですが、自動ガス炊飯器の普及と共に、湯炊きする店は減っていったようです。
湯炊きの場合、米を入れる時の湯の温度が高すぎると、
現代の米ではヒビが入って粘りが強く出ますので気を付けてください。
どちらも色々と工夫し何度も試しましたが、私が最終的にたどり着いた炊飯方法は湯炊きに近いものです。
◆ 私の炊飯法
米の美味しさを引き出すこと、江戸前ずしのシャリらしく、噛みしめたときに口の中でパラっとなること、
これらを両立させるために私がたどり着いた方法です。
芯が残るようでは駄目ですが、合わせ酢を吸収した時にちょうど良くなるようなイメージで、少しだけ固めに炊きます。
「60℃」、「20分」は、どこかの大学の学者がどこかに書いていた(笑)ことを参考にさせていただきました。
羽釜で炊いていた時のやり方をもとに、ごく一般的なガスコンロと少し厚めのごく一般的なホーロー製の鍋で、
2合炊きと3合炊きの実験を何回かしたところ、うまくいきましたのでそれを紹介します。
使う鍋、米の量や状態により、多少の修正は必要になるかと思います。
①洗米 (高性能の浄水器で、水道水を浄水・軟水化したものを使用。)
・ ボールに米と水を入れ、ざっくりまぜたら、水を捨てる。
※米はこの時に多量の水を吸水しますので、水道水をそのまま使うのは避けた方が良いと思います。
・ 水を入れる→力を入れずに軽く研ぐ(洗う)→水を捨てる
これを水が澄むまで繰り返します。
※特に機械乾燥米は、力を入れてゴシゴシ研ぐとヒビが入ったり割れたりしやすく、
それが粘りの元になるので、軽くサラサラと洗う感じで。
②米をザルにあげる
米をザルにあげ水を切り、
・ ヒビ割れしにくい自然乾燥米ならば、そのまま置き、時々ザルを振って上下を返してください。
米の表面が乾いてきたら、次の炊飯に移ります。
いくら自然乾燥米でも、長い時間放置すると米にヒビが入ってしまいますので、あくまでも短時間です。
・ 機械乾燥米又はヒビ割れしやすい自然乾燥米ならば、次の炊飯に移ります。
すぐに米にヒビが入るからです。
③炊飯
・ 鍋に水(ミネラルウォーター)を入れ加熱し、60℃の湯にします。
ミネラルウォーターは、軟水でカルシウムの含有量がナトリウムの含有量を上回るものにしてください。
その方が美味しいと思います。
水の量は、自然乾燥米ならば米と同量を目安に増減、
機械乾燥米又はヒビ割れしやすい自然乾燥米は、ザルあげ後すぐに炊くので少し多めに。
※昆布の旨味を加えたシャリがお好きな方は、適量の真昆布をミネラルウォーターに浸け、
1時間程度経ったら取り除き、その後に炊飯に用いてください。(昆布の香りは表に出ないように)
※水に日本酒やミリンを少量加える店もあります。
・ 鍋に米を入れます。米がかたよらず平均に湯に浸るように。
フタをした状態で20分間置きます。
この間、厨房の温度が低い場合は、鍋を暖かい部屋に持っていくなど、急激な温度の低下を防いでください。
・ 強火で加熱します。
音・湯気の出方・湯気の匂いに神経を集中させてください。
・ しばらくすると沸騰する音がしてきます。そして、湯気が漏れてきます。
湯気の量が増えてきて間もなく吹きこぼれますが、その一歩手前で、弱火にしてください。
(吹きこぼれの心配がない鍋の場合は、湯気が勢いよく漏れ始めた時。)
鍋の中の沸騰音は、水が減ると共に小さくなっていきます。
・ 10分くらいすると「チリチリ」という音がし、少なくなった湯気にはおコゲの匂いがわずかに混じります。
ここで火を止めてください。
・ 15分間蒸らします。
ここでも、厨房の温度が低い場合は鍋を暖かい部屋に持っていくなど、急激な温度の低下を防いでください。
・ 蒸らしが終わったら、強火で5秒間熱し、水気を飛ばします。
そして、シャリ切りに移ります。おコゲは使いません。
もしもご飯に芯があれば、日本酒を振りかけフタをしてしばらく置いてください。
3.合わせ酢 (シャリ酢)
米を2合(360cc) 炊く場合で説明します。
合わせ酢は炊飯後すぐに使えるよう、前もって作っておいてください。
・ 酢
炊く米の1割(ここでは36cc)がすし店の使う標準的な量です。(私はもっと多く使うことが多かったです。)
ただし、おコゲ以外のご飯に対する量ですから、おコゲの出来ない炊飯器で炊飯した場合は、酢の量を増やしてください。
酢は、好みやネタに合わせブレンドするなどして使ってください。
私は、造りの良い米酢のみをそのまま又はブレンドして使いました。
使う酢によって、シャリの味が大きく変わりますので、吟味してください。
酢については、こちらに書きましたので参考になさってください。
・ 塩 (精製塩以外のもの)
小さじ1/2杯 (2.5cc) +アルファ(使う塩により量は異なります) すし店によって塩の量はまちまちです。
(私は+アルファを多めにすることが多かったです。)
ただし、おコゲを除いたご飯に対する量ですから、おコゲの出来ない炊飯器で炊飯した場合は、塩の量を増やしてください。
塩の量により、酢の効きが変わりますので、好みやネタに合わせて調整してください。
例えば、マグロのトロのような力強いネタには酢の効いたシャリが合いますので、塩を多めにしてください。
・ 造りの良いコクのある純米酒 (ただし苦みを感じさせないもの。古酒は不可。)
酢の1割程度
※日本酒は入れなくてもかまいません。(代わりにミリンを入れても結構です。)
※甘いシャリがお好きな方は、砂糖を塩の半量~3倍程度入れてください。
砂糖を入れると大福の皮と同じように、シャリの寿命(使える時間)が延びます。
伝統的な江戸前のすしは、塩と赤酢だけで砂糖は使いませんでしたが、
現在は東京の店のほとんどが、砂糖を使用しています。
私と家族は、砂糖を使わないシャリを好みましたが少数派だと思います。
(ちなみに、私と家族は砂糖を使ったソバつゆも苦手です。)
※化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)がお好きな方は(-_-)、適量を入れてください。
※砂糖や化学調味料をたくさん使う店では、酢を加熱して溶かしています。(+_+)
4.シャリ切りとシャリの保温
・ シャリ切り
飯台を水で湿らせた布巾で拭き、蒸らし終わったご飯を入れ(おコゲを除く)、合わせ酢を全体にかけた後、
「シャカシャカ」 とシャモジで切るように、手早くムラなく合わせます。粘りが出ないよう練らずに手早く。
※ミツカンの「三ツ半山吹」のようなはっきりと色のつく赤酢を使うと、
ムラなく、きちんと酢が合わさっているかどうかが分かります。練習用にオススメです。
その後、うちわで軽く風を送り、無駄な水分を飛ばしツヤを出します。(温度が下がり過ぎないように注意。)
・ シャリの保温
おひつを水で湿らせた布巾で拭き、酢合わせの終わったシャリを押しつぶさないように「フワッ、フワッ」と移します。
シャリが美味しくなりますので、ぜひおひつを使っていただきたいと思います。
水で湿らせた別の布巾をシャリの上にかぶせ、おひつのフタをし、
「保温」にした電気炊飯器の釜を入れる部分におひつを入れます。
おひつごと電気炊飯器に突っ込んでシャリを保温するというこの発想は、おそらく私の一生で最高のものとなるでしょう(笑)
30分くらい経つとシャリが使い頃になりますので、このあたりから使い始め、なるべく早く使い切りましょう。
握っている間も、ひと肌の温度を保つため、おひつは「保温」にした電気炊飯器に入れたままにします。
私が、自分のすしがどこの名店よりも美味しいと感じた最大の理由は、シャリが自分好みだったからです。
本格的に江戸前のすしに取り組むつもりはない方でも、好みのシャリがあれば家庭での手巻きずしもグッと美味しくなる
と思いますので、無理のない範囲でトライしてみてください。
1.米の選択
江戸前ずしのシャリは、口の中で噛みしめた時にパラっとほどけるものでなければなりません。
米の炊き方、握り方・巻き方も大事ですが、米の質が大きく影響します。
江戸前のすし用の米は、小粒で丸みのある粒のそろった天日乾燥 (自然乾燥)の古米が良いと云われます。
あまり有名ではない品種も含め、小粒の米を試しましたが、気に入ったものはありませんでした。
粒の大きさよりも味や使用感を重視した方が良いと思います。(同一品種の中では小粒の方が良い)
粒の丸み、そろっているかどうかについては、上物の米であれば問題ありませんし、
砕けたりヒビが入ったりしたものもありません。
天日乾燥米は、機械乾燥米と比べヒビが入りにくく、味も勝ります。
(残念ながら、高価希少の天日乾燥米を使うすし店は、名店を含めほとんどないようです。)
古米は、前年度の米と捉えてください。
ただし、米は玄米で適正に保管されていても時間の経過と共に劣化・酸化が進みますので、味は落ちていきます。
ですから、新米が出てからしばらくの時期は古米だけを使い、徐々に新米をブレンドしていくというすし店が多いようです。
同じ県の同一品種でも、場所・作り手・年度によって質が異なりますので、その点も留意して米を選択する必要があります。
このように種々の条件がありますので、すしに適した上物の米を扱うこだわりの強い仕入先を確保することをおススメします。
米は冷蔵庫で保管することをお忘れなく。
なお、無洗米は江戸前のすしには不向きです。
◆ 東京の名店で多く使われている米
北陸地方や東北地方の銘柄米、特にコシヒカリが圧倒的に多いようです。
コシヒカリは脂質が多く粘りが強い米ですが、劣化・酸化に比較的強いため、
古米を美味しく使える期間が長いのが特徴です。
産地の異なるコシヒカリ同士をブレンドしたり、他の品種の米とブレンドして使われることもあります。
以前は、コシヒカリとササニシキのブレンドが主流でしたが、ササニシキの生産が減っていくに従い、
良質のものが手に入りにくくなったことに加え、一般にモチっとした食感の米が好まれるようになったため、
今でもササニシキにこだわる名店もありますが、使用する店はだいぶ減ったようです。
◆ 私の選んだ米
ある程度金銭的に余裕ができてからは、厳選した玄米を適正な状態で保管している上物の米店で、
とても品質の良い天日乾燥米を量り売りしていただき、色々と試しました。
新潟県産や福島県産のコシヒカリと、宮城県産のササニシキのブレンドを使っていた時期も長かったのですが、
最終的には宮城県産の天日乾燥のササニシキのみを使うようになりました。
ササニシキは、コシヒカリと比べると脂質が少なく粘りが弱いため、口の中でパラっとなりやすく、
また後口の良いシャリになります。
反面、劣化・酸化にはコシヒカリほど強くないため、古米を美味しく使える期間は短いことに留意しなければなりません。
私は、トロやアナゴのような脂質の多いネタ(タネ)をたくさん使いましたから、
比較的脂質が少なく後口の良いササニシキの選択は必然だったと思います。
2.炊飯
◆ 釜または鍋について
シャリに理想の炊飯は、薪でカマド炊きする「羽釜のカマド炊き」と云われます。
今もなお、薪でカマド炊きする店や、蒸しカマドといわれる特殊な釜を炭で炊くことにこだわるすし店もありますが、
多くの場合、羽釜または他の釜を使ってガス火で炊いています。
我が家には、年代物の小さな家庭用の羽釜と、その羽釜のための小さなガス用カマドがあり、
強力なガス火で炊くのですが、仕上がりは最高で、すしの時はいつもこれを使いました。
土鍋で米を炊いたこともありますが、ねばりが強く出るので、江戸前のすしには不向きだと思います。
私が使った羽釜と同じような家庭用製品をネット上で調べましたが、残念ながら見つかりませんでした。
家庭で江戸前のすしに合うご飯を炊くための釜(または鍋)に必要な条件は、次の通りだと思います。
・金属製のもの(ある程度の熱伝導率の高さが必要だと思います。)
・火を弱めたり止めたりした後も高い温度を保つことが出来る(保温性が高い)
・コゲつきにくい(ただし、おコゲが出来ないものは不可)
・火力と米の量に見合った大きさである
◆ 湯炊きか、水炊きか
湯炊きは湯から米を炊く、水炊きは水から米を炊く。
江戸前ずしの伝統的な炊飯方法は湯炊きですが、自動ガス炊飯器の普及と共に、湯炊きする店は減っていったようです。
湯炊きの場合、米を入れる時の湯の温度が高すぎると、
現代の米ではヒビが入って粘りが強く出ますので気を付けてください。
どちらも色々と工夫し何度も試しましたが、私が最終的にたどり着いた炊飯方法は湯炊きに近いものです。
◆ 私の炊飯法
米の美味しさを引き出すこと、江戸前ずしのシャリらしく、噛みしめたときに口の中でパラっとなること、
これらを両立させるために私がたどり着いた方法です。
芯が残るようでは駄目ですが、合わせ酢を吸収した時にちょうど良くなるようなイメージで、少しだけ固めに炊きます。
「60℃」、「20分」は、どこかの大学の学者がどこかに書いていた(笑)ことを参考にさせていただきました。
羽釜で炊いていた時のやり方をもとに、ごく一般的なガスコンロと少し厚めのごく一般的なホーロー製の鍋で、
2合炊きと3合炊きの実験を何回かしたところ、うまくいきましたのでそれを紹介します。
使う鍋、米の量や状態により、多少の修正は必要になるかと思います。
①洗米 (高性能の浄水器で、水道水を浄水・軟水化したものを使用。)
・ ボールに米と水を入れ、ざっくりまぜたら、水を捨てる。
※米はこの時に多量の水を吸水しますので、水道水をそのまま使うのは避けた方が良いと思います。
・ 水を入れる→力を入れずに軽く研ぐ(洗う)→水を捨てる
これを水が澄むまで繰り返します。
※特に機械乾燥米は、力を入れてゴシゴシ研ぐとヒビが入ったり割れたりしやすく、
それが粘りの元になるので、軽くサラサラと洗う感じで。
②米をザルにあげる
米をザルにあげ水を切り、
・ ヒビ割れしにくい自然乾燥米ならば、そのまま置き、時々ザルを振って上下を返してください。
米の表面が乾いてきたら、次の炊飯に移ります。
いくら自然乾燥米でも、長い時間放置すると米にヒビが入ってしまいますので、あくまでも短時間です。
・ 機械乾燥米又はヒビ割れしやすい自然乾燥米ならば、次の炊飯に移ります。
すぐに米にヒビが入るからです。
③炊飯
・ 鍋に水(ミネラルウォーター)を入れ加熱し、60℃の湯にします。
ミネラルウォーターは、軟水でカルシウムの含有量がナトリウムの含有量を上回るものにしてください。
その方が美味しいと思います。
水の量は、自然乾燥米ならば米と同量を目安に増減、
機械乾燥米又はヒビ割れしやすい自然乾燥米は、ザルあげ後すぐに炊くので少し多めに。
※昆布の旨味を加えたシャリがお好きな方は、適量の真昆布をミネラルウォーターに浸け、
1時間程度経ったら取り除き、その後に炊飯に用いてください。(昆布の香りは表に出ないように)
※水に日本酒やミリンを少量加える店もあります。
・ 鍋に米を入れます。米がかたよらず平均に湯に浸るように。
フタをした状態で20分間置きます。
この間、厨房の温度が低い場合は、鍋を暖かい部屋に持っていくなど、急激な温度の低下を防いでください。
・ 強火で加熱します。
音・湯気の出方・湯気の匂いに神経を集中させてください。
・ しばらくすると沸騰する音がしてきます。そして、湯気が漏れてきます。
湯気の量が増えてきて間もなく吹きこぼれますが、その一歩手前で、弱火にしてください。
(吹きこぼれの心配がない鍋の場合は、湯気が勢いよく漏れ始めた時。)
鍋の中の沸騰音は、水が減ると共に小さくなっていきます。
・ 10分くらいすると「チリチリ」という音がし、少なくなった湯気にはおコゲの匂いがわずかに混じります。
ここで火を止めてください。
・ 15分間蒸らします。
ここでも、厨房の温度が低い場合は鍋を暖かい部屋に持っていくなど、急激な温度の低下を防いでください。
・ 蒸らしが終わったら、強火で5秒間熱し、水気を飛ばします。
そして、シャリ切りに移ります。おコゲは使いません。
もしもご飯に芯があれば、日本酒を振りかけフタをしてしばらく置いてください。
3.合わせ酢 (シャリ酢)
米を2合(360cc) 炊く場合で説明します。
合わせ酢は炊飯後すぐに使えるよう、前もって作っておいてください。
・ 酢
炊く米の1割(ここでは36cc)がすし店の使う標準的な量です。(私はもっと多く使うことが多かったです。)
ただし、おコゲ以外のご飯に対する量ですから、おコゲの出来ない炊飯器で炊飯した場合は、酢の量を増やしてください。
酢は、好みやネタに合わせブレンドするなどして使ってください。
私は、造りの良い米酢のみをそのまま又はブレンドして使いました。
使う酢によって、シャリの味が大きく変わりますので、吟味してください。
酢については、こちらに書きましたので参考になさってください。
・ 塩 (精製塩以外のもの)
小さじ1/2杯 (2.5cc) +アルファ(使う塩により量は異なります) すし店によって塩の量はまちまちです。
(私は+アルファを多めにすることが多かったです。)
ただし、おコゲを除いたご飯に対する量ですから、おコゲの出来ない炊飯器で炊飯した場合は、塩の量を増やしてください。
塩の量により、酢の効きが変わりますので、好みやネタに合わせて調整してください。
例えば、マグロのトロのような力強いネタには酢の効いたシャリが合いますので、塩を多めにしてください。
・ 造りの良いコクのある純米酒 (ただし苦みを感じさせないもの。古酒は不可。)
酢の1割程度
※日本酒は入れなくてもかまいません。(代わりにミリンを入れても結構です。)
※甘いシャリがお好きな方は、砂糖を塩の半量~3倍程度入れてください。
砂糖を入れると大福の皮と同じように、シャリの寿命(使える時間)が延びます。
伝統的な江戸前のすしは、塩と赤酢だけで砂糖は使いませんでしたが、
現在は東京の店のほとんどが、砂糖を使用しています。
私と家族は、砂糖を使わないシャリを好みましたが少数派だと思います。
(ちなみに、私と家族は砂糖を使ったソバつゆも苦手です。)
※化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)がお好きな方は(-_-)、適量を入れてください。
※砂糖や化学調味料をたくさん使う店では、酢を加熱して溶かしています。(+_+)
4.シャリ切りとシャリの保温
・ シャリ切り
飯台を水で湿らせた布巾で拭き、蒸らし終わったご飯を入れ(おコゲを除く)、合わせ酢を全体にかけた後、
「シャカシャカ」 とシャモジで切るように、手早くムラなく合わせます。粘りが出ないよう練らずに手早く。
※ミツカンの「三ツ半山吹」のようなはっきりと色のつく赤酢を使うと、
ムラなく、きちんと酢が合わさっているかどうかが分かります。練習用にオススメです。
その後、うちわで軽く風を送り、無駄な水分を飛ばしツヤを出します。(温度が下がり過ぎないように注意。)
・ シャリの保温
おひつを水で湿らせた布巾で拭き、酢合わせの終わったシャリを押しつぶさないように「フワッ、フワッ」と移します。
シャリが美味しくなりますので、ぜひおひつを使っていただきたいと思います。
水で湿らせた別の布巾をシャリの上にかぶせ、おひつのフタをし、
「保温」にした電気炊飯器の釜を入れる部分におひつを入れます。
おひつごと電気炊飯器に突っ込んでシャリを保温するというこの発想は、おそらく私の一生で最高のものとなるでしょう(笑)
30分くらい経つとシャリが使い頃になりますので、このあたりから使い始め、なるべく早く使い切りましょう。
握っている間も、ひと肌の温度を保つため、おひつは「保温」にした電気炊飯器に入れたままにします。