イワシ (マイワシ, 真鰯) iwashi maiwashi edomae
May 16, 2015 16:26:34 GMT 9
Post by 管理人 on May 16, 2015 16:26:34 GMT 9
一般にイワシと呼ばれるものには、マイワシ・ウルメイワシ・カタクチイワシと3種ありますが、
以下はマイワシについてです。
伝統的な江戸前のすしネタ(タネ)ではありませんが、シャリとの相性はとても良いです。
大衆魚の代表といってよい魚ですが、東京の高級すし店でも使っているところがあります。
ただ大きいだけの普通のマイワシを使って、高い料金をとる高級店もありますが、私が使ったのは別物です。
1.仕入れ
流通するマイワシのほとんどが、外洋で漁獲されるものですが、内海で漁獲されるものもあります。
梅雨時あたりから東京湾内で漁獲されるマイワシの中には、大型でツチノコ(死語?)のような体型のものがあります。
ツチノコは少し大げさですが、胴体がズドーンと太っているため、頭がとても小さく見えるのです。
これを狙います。
このタイプの内海のマイワシと、普通のマイワシの味覚上の最大の差は、脂の質にあります。
脂はたっぷりとのっていますが、しつこくなく、マイワシ特有の臭みが希薄なのです。
ただし、漁獲量が極めて少ない上に、とても美味しいので、キロあたりの単価は、完全に高級魚クラスです。
若い頃は、上物を扱う地元の鮮魚店で、東京湾産の素晴らしいのを、たまに仕入れることが出来ましたが、
その後は手に入らなくなりました。
私が築地通いをしていた頃は、東京湾産のズングリしたのをごく稀に見かけましたが、
残念ながら生で使いたいと思うレベルではなかったので、仕入れることはありませんでした。
魚自体は新しかったのですが、網での漁獲の際に受けたダメージが大きかったようで、
使うまでに血合いの色を赤く保つことが出来ないと判断しました。
マイワシは元々足が早い上に網で漁獲されるため、鮮度が落ちていくのがとても早いです。
鮮度抜群で、ウロコがたくさんついたものを仕入れ、持ち帰る際は氷をたくさん使い、静かに運んでください。
私が使ったことのある内海のマイワシは、東京湾産だけなのですが、
他の内海でも場所によっては、同じような素晴らしいマイワシが獲れるのではないかと思います。
見つけたら、ぜひ試してみてください。
2.仕込みと供し方
塩と酢で締めたり、炙ったりする仕込みもありますが、内海の上物は生で握るのが一番だと思います。
生で食べる場合、血合いがきれいな赤色でなければ、食べる気になりません。
とにかく足が早いので、鮮度を保持するために細心の注意を払います。
なお、私は酢を使わなかったので、好塩菌の腸炎ビブリオのリスクを低減するため、
仕込みには、塩水ではなく氷入りの真水を使いました。
◆持ち帰ったらすぐにやること
低温とスピードが肝心です。
もたもたしていると、鮮度が落ちていきます。
①よく冷やした真水にたくさんの氷を入れた大きなボウルを、いくつも用意します。
②マイワシの表面を、冷水で洗い、水気を拭き取ります。(真水に弱い腸炎ビブリオ対策でもあります。)
③尾の方から頭に向かって、包丁で丁寧にウロコをとります。
④胸ビレと一緒に頭を切り落とします。
⑤腹の端を、頭側から肛門まで縦長に細く切ります。
⑥ワタと血を包丁でかき出します。
⑦別の冷水で腹の中を手早く洗い、血をきれいに取り除きます。
⑧別の冷水でマイワシの表面を手早く洗います。
⑨キッチンペーパーで水気を拭き取ります。
⑩尾を切り落とします。
⑪氷を平らに敷き詰めた冷蔵庫の氷温室(チルド)にラップを敷き、その上にマイワシを置き、
上からもラップして更にその上に氷を敷き詰めて保冷します。
※マイワシをビニール袋に入れて氷詰めすると、傷みやすくなります。
◆供する直前にやること (右利きで説明)
手開きします。
手開きの最大の目的は、小骨を取ることです。
包丁で卸すと、小骨を抜くのに時間がかかり鮮度が落ちます。
身を荒らさないよう、丁寧に。
また、鮮度を落とさぬよう、出来るだけマイワシに触らないで処理します。
①マイワシの表面に出た水分を、キッチンペーパーで拭き取ります。
②まな板に、頭側を向こう、尾側を手前、背側を左、腹側を右にして置きます。
③左手でマイワシを少し起こし、右手親指を腹の中に入れ、頭側と尾側の中間地点あたりから、
中骨の上を滑らせるようにして尾側に向かって開きます。
中骨は、下側(右側)の身についた状態です。
④まな板に、頭側を向こう、尾側を手前、背側を右、腹側を左にして置きます。
⑤右手でマイワシを少し起こし、左手親指を腹の中に入れ、頭側と尾側の中間地点あたりから、
中骨の下を滑らせるようにして、下側(左側)の身から小骨をはがしながら、頭側に向かって開きます。
⑥まな板に、頭側を右、尾側を左、皮を下、身を上にして置きます。
⑦尾側の中骨の端を起こし、右手人差し指と親指で中骨を支えながら、
左手で尾側から頭側方向に中骨を持ち上げて丁寧にはがします。
⑧まな板に、尾側を向こう、頭側を手前、皮を下、身を上にして置きます。
⑨左右の内臓と接していた部分を、小骨と共に包丁ですき取ります。
⑩身に残っている小骨を骨抜きで抜きます。
⑪まな板を替え、片身ずつ皮をはがします。
片身の頭側の身を少し起こし、身を下にしてまな板の上に置き、手で皮をはがします。
もう一方の片身も、同様に皮をはがします。
3.供し方
普通、マイワシのすしは、ギラギラの銀皮 (皮の下の銀色部分) を表面にし、縦長に包丁目を入れて握ります。
でも、私が使った内海育ちの大型のマイワシは、身が分厚く幅も広いため、
そのやり方だと、見た目も味覚上もバランスが悪くなってしまいます。
そこで、銀皮を上、身を下にし、包丁を寝かせて尾側から頭側に向けて包丁を入れ、薄くそぎ切りします。
最初の1切れと尾の近くは使いません。
銀皮はあまり見せず、血合いの赤色が目立つよう、美しく見える角度で切りつけます。
鮮度抜群のものを仕入れ、その後も細心の注意をもって処理した苦労が、ここで報われます。
ショウガを挟んで握り、煮切り醤油をつけて供します。
刻んだアサツキを使いたい方は、シャリのネタ(タネ)に接する部分につけて握ってください。
握りにくければ、ショウガやアサツキは、煮切り醤油をつけたネタの上にのせてください。
以下はマイワシについてです。
伝統的な江戸前のすしネタ(タネ)ではありませんが、シャリとの相性はとても良いです。
大衆魚の代表といってよい魚ですが、東京の高級すし店でも使っているところがあります。
ただ大きいだけの普通のマイワシを使って、高い料金をとる高級店もありますが、私が使ったのは別物です。
1.仕入れ
流通するマイワシのほとんどが、外洋で漁獲されるものですが、内海で漁獲されるものもあります。
梅雨時あたりから東京湾内で漁獲されるマイワシの中には、大型でツチノコ(死語?)のような体型のものがあります。
ツチノコは少し大げさですが、胴体がズドーンと太っているため、頭がとても小さく見えるのです。
これを狙います。
このタイプの内海のマイワシと、普通のマイワシの味覚上の最大の差は、脂の質にあります。
脂はたっぷりとのっていますが、しつこくなく、マイワシ特有の臭みが希薄なのです。
ただし、漁獲量が極めて少ない上に、とても美味しいので、キロあたりの単価は、完全に高級魚クラスです。
若い頃は、上物を扱う地元の鮮魚店で、東京湾産の素晴らしいのを、たまに仕入れることが出来ましたが、
その後は手に入らなくなりました。
私が築地通いをしていた頃は、東京湾産のズングリしたのをごく稀に見かけましたが、
残念ながら生で使いたいと思うレベルではなかったので、仕入れることはありませんでした。
魚自体は新しかったのですが、網での漁獲の際に受けたダメージが大きかったようで、
使うまでに血合いの色を赤く保つことが出来ないと判断しました。
マイワシは元々足が早い上に網で漁獲されるため、鮮度が落ちていくのがとても早いです。
鮮度抜群で、ウロコがたくさんついたものを仕入れ、持ち帰る際は氷をたくさん使い、静かに運んでください。
私が使ったことのある内海のマイワシは、東京湾産だけなのですが、
他の内海でも場所によっては、同じような素晴らしいマイワシが獲れるのではないかと思います。
見つけたら、ぜひ試してみてください。
2.仕込みと供し方
塩と酢で締めたり、炙ったりする仕込みもありますが、内海の上物は生で握るのが一番だと思います。
生で食べる場合、血合いがきれいな赤色でなければ、食べる気になりません。
とにかく足が早いので、鮮度を保持するために細心の注意を払います。
なお、私は酢を使わなかったので、好塩菌の腸炎ビブリオのリスクを低減するため、
仕込みには、塩水ではなく氷入りの真水を使いました。
◆持ち帰ったらすぐにやること
低温とスピードが肝心です。
もたもたしていると、鮮度が落ちていきます。
①よく冷やした真水にたくさんの氷を入れた大きなボウルを、いくつも用意します。
②マイワシの表面を、冷水で洗い、水気を拭き取ります。(真水に弱い腸炎ビブリオ対策でもあります。)
③尾の方から頭に向かって、包丁で丁寧にウロコをとります。
④胸ビレと一緒に頭を切り落とします。
⑤腹の端を、頭側から肛門まで縦長に細く切ります。
⑥ワタと血を包丁でかき出します。
⑦別の冷水で腹の中を手早く洗い、血をきれいに取り除きます。
⑧別の冷水でマイワシの表面を手早く洗います。
⑨キッチンペーパーで水気を拭き取ります。
⑩尾を切り落とします。
⑪氷を平らに敷き詰めた冷蔵庫の氷温室(チルド)にラップを敷き、その上にマイワシを置き、
上からもラップして更にその上に氷を敷き詰めて保冷します。
※マイワシをビニール袋に入れて氷詰めすると、傷みやすくなります。
◆供する直前にやること (右利きで説明)
手開きします。
手開きの最大の目的は、小骨を取ることです。
包丁で卸すと、小骨を抜くのに時間がかかり鮮度が落ちます。
身を荒らさないよう、丁寧に。
また、鮮度を落とさぬよう、出来るだけマイワシに触らないで処理します。
①マイワシの表面に出た水分を、キッチンペーパーで拭き取ります。
②まな板に、頭側を向こう、尾側を手前、背側を左、腹側を右にして置きます。
③左手でマイワシを少し起こし、右手親指を腹の中に入れ、頭側と尾側の中間地点あたりから、
中骨の上を滑らせるようにして尾側に向かって開きます。
中骨は、下側(右側)の身についた状態です。
④まな板に、頭側を向こう、尾側を手前、背側を右、腹側を左にして置きます。
⑤右手でマイワシを少し起こし、左手親指を腹の中に入れ、頭側と尾側の中間地点あたりから、
中骨の下を滑らせるようにして、下側(左側)の身から小骨をはがしながら、頭側に向かって開きます。
⑥まな板に、頭側を右、尾側を左、皮を下、身を上にして置きます。
⑦尾側の中骨の端を起こし、右手人差し指と親指で中骨を支えながら、
左手で尾側から頭側方向に中骨を持ち上げて丁寧にはがします。
⑧まな板に、尾側を向こう、頭側を手前、皮を下、身を上にして置きます。
⑨左右の内臓と接していた部分を、小骨と共に包丁ですき取ります。
⑩身に残っている小骨を骨抜きで抜きます。
⑪まな板を替え、片身ずつ皮をはがします。
片身の頭側の身を少し起こし、身を下にしてまな板の上に置き、手で皮をはがします。
もう一方の片身も、同様に皮をはがします。
3.供し方
普通、マイワシのすしは、ギラギラの銀皮 (皮の下の銀色部分) を表面にし、縦長に包丁目を入れて握ります。
でも、私が使った内海育ちの大型のマイワシは、身が分厚く幅も広いため、
そのやり方だと、見た目も味覚上もバランスが悪くなってしまいます。
そこで、銀皮を上、身を下にし、包丁を寝かせて尾側から頭側に向けて包丁を入れ、薄くそぎ切りします。
最初の1切れと尾の近くは使いません。
銀皮はあまり見せず、血合いの赤色が目立つよう、美しく見える角度で切りつけます。
鮮度抜群のものを仕入れ、その後も細心の注意をもって処理した苦労が、ここで報われます。
ショウガを挟んで握り、煮切り醤油をつけて供します。
刻んだアサツキを使いたい方は、シャリのネタ(タネ)に接する部分につけて握ってください。
握りにくければ、ショウガやアサツキは、煮切り醤油をつけたネタの上にのせてください。