ハゼ (マハゼ, 真鯊, 真沙魚), レシピ haze mahaze recipe edomae
Sept 5, 2015 17:31:16 GMT 9
Post by 管理人 on Sept 5, 2015 17:31:16 GMT 9
マハゼ (以下「ハゼ」)は、物心ついた頃から父とよく釣った魚です。
何万匹も釣ったと思います。
だから、物凄く愛着があります。
私が幼い頃に乗ったハゼ釣り船は、
後部に小さなエンジンの付いた、ボートを少し大きくしたような小さな船で、
船頭はオールを使いながら操縦していました。
船宿に程近い、もうとっくの昔に埋め立てられてしまったであろう場所が主な漁場でした。
そのうちに、船は高速の大型船に変わり、行徳沖や木更津沖などが漁場になりました。
ハゼは夏場に小さなものが河口付近でよく釣れますが、小さなハゼには興味がなく、
9月下旬から10月中旬あたりに河口付近で主にボート(江戸川放水路が有名)に乗って釣り、
ハゼが深場に移る10月下旬から1月初旬頃はハゼ釣り船に乗って海で釣りました。
ハゼ釣りはビギナーの釣りでもありますが、ずっと続けていた最大の理由は、
江戸前のハゼが抜群に美味しいからです。
東京湾は埋立てや汚染で散々痛めつけられ、漁獲量も魚介類の種類も少なくなってしまいましたが、
どこまでも続く遠浅の海で、泥地が多く、潮の流れが穏やかで、
栄養豊富な河川や親潮からの恩恵もあるからでしょう、
その魚介類は今でも特別に美味しいものが多く、ハゼもその一つです。
全国から魚介類が集まる築地場内でも、サイズ・鮮度・状態が同じくらいならば、
アナゴ・クルマエビをはじめとする東京湾の魚介類は、
他の産地のものよりも高値で取引されることが多いのです。
ハゼは何と言っても天ぷらが有名です。
江戸前天ぷらの店の中には、天つゆのダシにハゼの骨や頭を使うところもあります。
我が家でも、ハゼを江戸前天ぷらにする場合は、天つゆのダシにハゼの骨を使いました。
昔父が都内の船宿の方に教えてもらったそうです。
素焼きして干したハゼは、宮城などでは正月の雑煮に使われます。
我が家でも、12月にハゼをたくさん釣った時は、
エラと内臓を取ってから素焼きして干し、正月の雑煮のダシに使いました。
刺身もとても美味しく、またキモや卵も絶品です。
他にもハゼは色々な料理にできます。
ハゼ釣り好きの方はよくご存じでしょう。
東京の江戸前のすし店でハゼは定番ネタ (タネ)ではありませんが、ハゼのすしを出す店もたまにあります。
1.仕入れ (築地場内市場)
ハゼは活けを仕入れ、調理するまで生きた状態を保ちます。
築地場内では、秋になるとあちらこちらの仲卸しが活けのハゼを扱いました。
そのほとんどが松島湾産(宮城)。
水面から見た時に、東京湾産はやや茶色っぽいのに対し、松島湾産は黒っぽい感じでした。
私が狙うのは東京湾産。
松島湾産も悪くないのですが、質は東京湾産が勝ります。
ところが、いくら探しても東京湾産が見つかりませんでした。
東京湾にハゼはそれなりにいるものの、
ハゼを漁獲できるような漁があまり行われていないため、ほとんど流通しないそうです。
そこで、活魚でお世話になっていた情報通の仲卸し(ハゼの扱いは無し)のご主人に紹介していただき、
なんとか江戸前のハゼの仕入先を確保できました。
目立つ場所に置かず、奥の方に隠してあったので、普通に探しても見つからない訳です。
活けのハゼを仕入れると、仲卸しは大きなビニール袋にハゼと海水を入れ、
更に酸素ボンベからたっぷりと酸素を注入し手渡してくださいます。
生命力が強い魚なので、そのままでも夜まで生き続けますが、
私は自宅に帰ってからはエアーポンプを使い、水温にも気をつけました。
旬は秋から初冬。
東京湾産のハゼが一番いい時期は、11月下旬から12月下旬あたりで、
その頃はふっくらと大きくなり小さな卵を持ちます。
2.仕込み
ハゼのすしや刺身は、ふっくらと大きくなったものの方が美味しいです。
それを、コリッとした食感があるうちに食べます。
ハゼのすしや刺身を出す飲食店でも、身がのびてしまったものは普通使いません。
食べる直前に締めると旨味成分が足りませんが、
あまり早く締めてしまうと、小さな魚だけに、すぐに活けの身質を失い、
コリッとした食感が無くなってしまいます。
私が身を刺身やすしにする場合は、
食べる少し前に生きているハゼの頭部を包丁の背でゴツンと叩くことにより締め、
表面の汚れをタワシを使って洗い落してから、ウロコ・頭・内臓を取り、
洗って水気をとってから冷蔵庫に入れておきます。
美味しい卵やキモを傷つけないよう要注意。
そして、供する直前に3枚に卸し、腹骨をすき取り、小骨を抜き、皮を引きます。
締めたばかりだと小骨が抜きにくいですが、少し置くとやや抜きやすくなります。
ここでは、釣り人にはお馴染みの卵の塩辛を紹介します。
美味しい魚卵は色々とありますが、ハゼの卵は間違いなくトップクラスに入ると思います。
ハゼの卵は小さいので、たくさん釣った時や、たくさん仕入れた時などに作るといいでしょう。
ハゼの卵の塩辛は、すしにも使えます。
【レシピ】
活けのハゼから卵を取り出したら、すぐに作ります。
(材料)
・ ハゼの卵 適量
・ あら塩 (精製塩は不可) 適量
・ 造りの良い純米酒 (ただし苦みを感じさせないもの) 適量
・ 水 (高性能の浄水器で、水道水を浄水・軟水化したもの) 適量
①活けのハゼから取り出した卵を、薄い塩水がたっぷり入ったボウルの中で洗ってザルに上げ、水気を切ります。
②卵に軽く塩を振り、塩が馴染んできたら、別のボウルに入れたたっぷりの水の中で洗い、
別のザルに上げ、脱水シート又はキッチンペーパー等で水気を取り除きます。
※この処理は、寝かせている間にクセが出にくくするためのものですが、省略してもかまいません。
省略する場合は、①の後に脱水シート又はキッチンペーパー等で水気を取り除いてください。
③卵に塩を振り、ふた付きの容器に入れ、極少量の純米酒を加えて軽くかき混ぜ、
ふたをして冷蔵庫で寝かせます。
塩の量は好みによりますが、少な過ぎると失敗しますので気をつけてください。
④4~5日くらい経つと、いい感じにネットリとした、美味しいハゼの卵の塩辛が出来上がります。
ハゼの卵の塩辛は、カラスミやウニに近い系統の味です。
日本酒との相性も抜群です。
3.供し方
◆身
基本的には皮を引いて刺身で供しましたが、リクエストが多かったので握りにすることも度々ありました。
ハゼの握りにも色々とあります。
特に仕事をしていないもの、塩で軽く締めたもの、
甘酢(砂糖+酢)又は塩を加えた日本酒にくぐらせたもの、皮を湯引きしたものなど様々で、
ハゼのキモをのせて出す店もあります。
それぞれワサビを挟んで握り、煮切り醤油又は塩+カンキツ果汁で供されることが多いです。
我が家では、主に半身で2カンとれる大きなハゼを使い(半身で1カンになるサイズがすし店では一般的)、
小骨を抜いて皮を引き、尾の方の身を落として1カンのサイズにし、
身全体に薄く塩を振って甘味を引き出し、ワサビを挟んで少量のシャリで握り、
煮切り醤油をわずかにつけたものが特に人気でした。
◆卵の塩辛
ハゼの卵の塩辛は、そのままツマミで食べるのが普通で、
すしは見たことも聞いたこともありませんでしたが、海苔巻き(細巻)にしてみたらとても美味しく、大好評でした。
ただ、ハゼの卵は小さいので、作れる量はわずかです。
我が家の江戸前天ぷらデイには、100匹前後の活けのハゼを仕入れていたのですが、
それでもたかが知れています。
ですから、人数が多く大食いぞろいの我が家では、少しずつしか食べさせてあげられないのが何とも残念でした。
ワサビや醤油又は煮切り醤油は、使っても使わなくても美味しく食べられます。
巻き方は、握り方 ・ 巻き方のページを参考にしてください。
何万匹も釣ったと思います。
だから、物凄く愛着があります。
私が幼い頃に乗ったハゼ釣り船は、
後部に小さなエンジンの付いた、ボートを少し大きくしたような小さな船で、
船頭はオールを使いながら操縦していました。
船宿に程近い、もうとっくの昔に埋め立てられてしまったであろう場所が主な漁場でした。
そのうちに、船は高速の大型船に変わり、行徳沖や木更津沖などが漁場になりました。
ハゼは夏場に小さなものが河口付近でよく釣れますが、小さなハゼには興味がなく、
9月下旬から10月中旬あたりに河口付近で主にボート(江戸川放水路が有名)に乗って釣り、
ハゼが深場に移る10月下旬から1月初旬頃はハゼ釣り船に乗って海で釣りました。
ハゼ釣りはビギナーの釣りでもありますが、ずっと続けていた最大の理由は、
江戸前のハゼが抜群に美味しいからです。
東京湾は埋立てや汚染で散々痛めつけられ、漁獲量も魚介類の種類も少なくなってしまいましたが、
どこまでも続く遠浅の海で、泥地が多く、潮の流れが穏やかで、
栄養豊富な河川や親潮からの恩恵もあるからでしょう、
その魚介類は今でも特別に美味しいものが多く、ハゼもその一つです。
全国から魚介類が集まる築地場内でも、サイズ・鮮度・状態が同じくらいならば、
アナゴ・クルマエビをはじめとする東京湾の魚介類は、
他の産地のものよりも高値で取引されることが多いのです。
ハゼは何と言っても天ぷらが有名です。
江戸前天ぷらの店の中には、天つゆのダシにハゼの骨や頭を使うところもあります。
我が家でも、ハゼを江戸前天ぷらにする場合は、天つゆのダシにハゼの骨を使いました。
昔父が都内の船宿の方に教えてもらったそうです。
素焼きして干したハゼは、宮城などでは正月の雑煮に使われます。
我が家でも、12月にハゼをたくさん釣った時は、
エラと内臓を取ってから素焼きして干し、正月の雑煮のダシに使いました。
刺身もとても美味しく、またキモや卵も絶品です。
他にもハゼは色々な料理にできます。
ハゼ釣り好きの方はよくご存じでしょう。
東京の江戸前のすし店でハゼは定番ネタ (タネ)ではありませんが、ハゼのすしを出す店もたまにあります。
1.仕入れ (築地場内市場)
ハゼは活けを仕入れ、調理するまで生きた状態を保ちます。
築地場内では、秋になるとあちらこちらの仲卸しが活けのハゼを扱いました。
そのほとんどが松島湾産(宮城)。
水面から見た時に、東京湾産はやや茶色っぽいのに対し、松島湾産は黒っぽい感じでした。
私が狙うのは東京湾産。
松島湾産も悪くないのですが、質は東京湾産が勝ります。
ところが、いくら探しても東京湾産が見つかりませんでした。
東京湾にハゼはそれなりにいるものの、
ハゼを漁獲できるような漁があまり行われていないため、ほとんど流通しないそうです。
そこで、活魚でお世話になっていた情報通の仲卸し(ハゼの扱いは無し)のご主人に紹介していただき、
なんとか江戸前のハゼの仕入先を確保できました。
目立つ場所に置かず、奥の方に隠してあったので、普通に探しても見つからない訳です。
活けのハゼを仕入れると、仲卸しは大きなビニール袋にハゼと海水を入れ、
更に酸素ボンベからたっぷりと酸素を注入し手渡してくださいます。
生命力が強い魚なので、そのままでも夜まで生き続けますが、
私は自宅に帰ってからはエアーポンプを使い、水温にも気をつけました。
旬は秋から初冬。
東京湾産のハゼが一番いい時期は、11月下旬から12月下旬あたりで、
その頃はふっくらと大きくなり小さな卵を持ちます。
2.仕込み
ハゼのすしや刺身は、ふっくらと大きくなったものの方が美味しいです。
それを、コリッとした食感があるうちに食べます。
ハゼのすしや刺身を出す飲食店でも、身がのびてしまったものは普通使いません。
食べる直前に締めると旨味成分が足りませんが、
あまり早く締めてしまうと、小さな魚だけに、すぐに活けの身質を失い、
コリッとした食感が無くなってしまいます。
私が身を刺身やすしにする場合は、
食べる少し前に生きているハゼの頭部を包丁の背でゴツンと叩くことにより締め、
表面の汚れをタワシを使って洗い落してから、ウロコ・頭・内臓を取り、
洗って水気をとってから冷蔵庫に入れておきます。
美味しい卵やキモを傷つけないよう要注意。
そして、供する直前に3枚に卸し、腹骨をすき取り、小骨を抜き、皮を引きます。
締めたばかりだと小骨が抜きにくいですが、少し置くとやや抜きやすくなります。
ここでは、釣り人にはお馴染みの卵の塩辛を紹介します。
美味しい魚卵は色々とありますが、ハゼの卵は間違いなくトップクラスに入ると思います。
ハゼの卵は小さいので、たくさん釣った時や、たくさん仕入れた時などに作るといいでしょう。
ハゼの卵の塩辛は、すしにも使えます。
【レシピ】
活けのハゼから卵を取り出したら、すぐに作ります。
(材料)
・ ハゼの卵 適量
・ あら塩 (精製塩は不可) 適量
・ 造りの良い純米酒 (ただし苦みを感じさせないもの) 適量
・ 水 (高性能の浄水器で、水道水を浄水・軟水化したもの) 適量
①活けのハゼから取り出した卵を、薄い塩水がたっぷり入ったボウルの中で洗ってザルに上げ、水気を切ります。
②卵に軽く塩を振り、塩が馴染んできたら、別のボウルに入れたたっぷりの水の中で洗い、
別のザルに上げ、脱水シート又はキッチンペーパー等で水気を取り除きます。
※この処理は、寝かせている間にクセが出にくくするためのものですが、省略してもかまいません。
省略する場合は、①の後に脱水シート又はキッチンペーパー等で水気を取り除いてください。
③卵に塩を振り、ふた付きの容器に入れ、極少量の純米酒を加えて軽くかき混ぜ、
ふたをして冷蔵庫で寝かせます。
塩の量は好みによりますが、少な過ぎると失敗しますので気をつけてください。
④4~5日くらい経つと、いい感じにネットリとした、美味しいハゼの卵の塩辛が出来上がります。
ハゼの卵の塩辛は、カラスミやウニに近い系統の味です。
日本酒との相性も抜群です。
3.供し方
◆身
基本的には皮を引いて刺身で供しましたが、リクエストが多かったので握りにすることも度々ありました。
ハゼの握りにも色々とあります。
特に仕事をしていないもの、塩で軽く締めたもの、
甘酢(砂糖+酢)又は塩を加えた日本酒にくぐらせたもの、皮を湯引きしたものなど様々で、
ハゼのキモをのせて出す店もあります。
それぞれワサビを挟んで握り、煮切り醤油又は塩+カンキツ果汁で供されることが多いです。
我が家では、主に半身で2カンとれる大きなハゼを使い(半身で1カンになるサイズがすし店では一般的)、
小骨を抜いて皮を引き、尾の方の身を落として1カンのサイズにし、
身全体に薄く塩を振って甘味を引き出し、ワサビを挟んで少量のシャリで握り、
煮切り醤油をわずかにつけたものが特に人気でした。
◆卵の塩辛
ハゼの卵の塩辛は、そのままツマミで食べるのが普通で、
すしは見たことも聞いたこともありませんでしたが、海苔巻き(細巻)にしてみたらとても美味しく、大好評でした。
ただ、ハゼの卵は小さいので、作れる量はわずかです。
我が家の江戸前天ぷらデイには、100匹前後の活けのハゼを仕入れていたのですが、
それでもたかが知れています。
ですから、人数が多く大食いぞろいの我が家では、少しずつしか食べさせてあげられないのが何とも残念でした。
ワサビや醤油又は煮切り醤油は、使っても使わなくても美味しく食べられます。
巻き方は、握り方 ・ 巻き方のページを参考にしてください。